著者
山尾 泰 梅田 成視 大津 徹 中嶋 信生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.10, pp.1364-1373, 2000-10-25
参考文献数
26
被引用文献数
123

携帯電話に代表される移動通信サービスの急速な普及は, 人々のライフスタイルを大きく変えつつある.また社会の情報化の著しい進展に伴い, 21世紀の移動通信においては, 従来支配的であった電話によるトラヒックから, データ/マルチメディアのトラヒックへと比重が大きく移行し, 移動通信システムの高速・大容量化が必須となると考えられる.本論文では, このような社会・経済環境の変化に対応できる第4世代の移動通信システムについて, その課題と性能・機能面での要求条件について考察する.またこれを達成するうえで必要な技術課題, 特に無線システムを中心とした課題について展望する.
著者
藤原 淳 竹田 真二 吉野 仁 大津 徹 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2073-2079, 2002-12-01
参考文献数
8
被引用文献数
36

CDMAセルラ方式に,移動局と基地局の間の局が伝送の中継を行うマルチホップ接続を適用すると,エリアカバレッジの増大やホップ当りの送信電力の低減が期待できる.これにより,干渉電力を低減させ,システム容量を増大できる可能性があるが,適用方法によっては,中継による干渉のためにシステム容量が低下する可能性がある.本検討では,初めにマルチホップ接続による干渉低減効果に関して基礎的考察を行う.次に,干渉電力低減効果の高い中継局選択法について提案する.そして,CDMA(Code Division Multiple Access)セルラ方式のマルチセル環境において,マルチホップ接続時の特性をパケットアクセスを想定した計算機シミュレーションを用いて評価し,マルチホップ接続がシステム容量増大効果をもつことを明らかにする.
著者
中嶋 信生 唐沢 好男 本城 和彦 山尾 泰 藤井 威生
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

自動車事故防止を目的として,高信頼な車車間情報通信,高精度測位,危険の表示方法等の研究開発を行った.具体的にはMIMO+アダプティブ複号化,路側無線機中継,車の置かれた状況に応じたルーティング手法等の適用により,車車間通信の高信頼化を図ると共に,電波干渉の強い車車間通信に耐える低歪・高能率な無線回路を開発した.衝突防止に向けた車対人の相対測位ならびに歩行者の高精度電波測位では, 2. 4 GHzの周波数で推定誤差1m以下を達成した.ウェアラブル型の常時即時認識可能なドライバー用情報表示機器を実現した.
著者
山尾 泰 斉藤 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.453-461, 1993-11-25
被引用文献数
17

ディジタル移動通信用の低消費電力モノリシック直交変調器を800MHz帯および140MHz帯で実現した.超小形携帯電話機への適用を考慮し,消費電力を著しく低減すると共に,調整箇所を無くしかつ外付部品の不要な完全1チップ構成として設計を行った.このため,回路構成においていくつかの提案を行った.まず定位相差形90度合成器による全体構成を提案し,回路規模およびチップ面積を大幅に削減すると共に,位相調整を無調整化した.次に変調特性の鍵を握るダブルバランスミキサ(DBM)には,アナログスイッチ形DBMを800MHz帯用に採用し,半導体製造プロセスにおける素子バラツキの影響を受けずに高精度の変調波を得ている.更に電流利用効率の高いブートストラップ形バッファ増幅器を出力段用に考案した.試作した800MHz(GzAS)および140MHz帯(Si)直交変調ICは,π/4シフトQPSK変調器として優れた性能を有することが確認された.その消費電流はそれぞれ65mWおよび32.5mWであり,従来に比べ大幅な低消費電力化を達成した.
著者
小畠 直人 高岸 智 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.319-324, 2009-02-25

大規模なワイヤレスアドホックネットワークの実現には,ネットワークを階層的に構築,管理するクラスタツリーネットワークが適している.しかし,クラスタツリーネットワークではネットワークコーディネータにトラヒックが集中し,ボトルネックが発生してスループットが低下する.また,隠れ端末による干渉が大きな問題となる。本稿では,CSMA/CA方式とマルチコード受信によるSS多重アクセスを組み合わせたアドホックネットワーク用MACプロトコルとして,マルチコード受信SS-CSMA/CAを提案する.また、有効にSS効果を得るため,提案法に対して階層化ネットワークでの二重拡散符号の割当法と,逆拡散後キャリアセンス法を提案する。この提案方式をスループット,パケット伝送成功率をIEEE802.15.4/ZigBeeを想定した環境で計算機シミュレーションにより評価した.この結果,提案法によって,総合スループットが大きく改善され,ネットワークコーディネータでのボトルネックを解消できることを明らかにした.
著者
池田 武弘 岡島 一郎 梅田 成視 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.185, pp.13-18, 2001-07-09

モバイル環境から高速なインターネットアクセスを可能とし、移動ネットワークのサポートも含めたより高度なシステムの構築を可能とするIPベース移動通信システムが注目されている。しかし、移動通信システムでは、無線リンクの有する高い伝送誤りのため、インターネットアクセスに求められる小さなEnd-to-End伝送遅延の実現は困難である。そこで、本稿ではIPベース移動通信システムにおいて、無線チャネルの有効利用を実現しつつ、無線区間における伝送遅延の低減を目的とした仮想基地局構成法を提案する。提案法では、複数の基地局を仮想的なひとつの基地局(Virtual Base Station:VBS)とみなし、ダイバーシチ受信を行う。提案法を計算機シミュレーションにより評価し、その有効性を検証する。