- 著者
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瀬田 智恵子
- 出版者
- 放送大学
- 雑誌
- 研究報告 (ISSN:13431080)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.77-99, 1998-11
近年の情報通信技術の進展は、我が国の教育改革の要請とあいまって、教育の分野にも大きな変化をもたらし、高等教育の一層の充実という文脈の中で「遠隔授業」「通信制大学院」などマルチメディアを活用した新しい教育の形態を可能にしている。イギリスにおいては、1989年以来CTI(Computers in Teaching Initiative : 教育におけるコンピュータ活用)と呼ぶシステムの下に、専門領域別に24大学がCTI Centreとなり、高等教育におけるコミュニケーション&情報テクノロジー(C&IT)の活用を目的に活動をしている。本稿では、CTI Human ServicesのSocial Work on the Webに所蔵の、The World Wide Web Virtual Libraryの中のMen's Issues Pageから、特にFatherhoodとSingle Dad lndexに見る「家族の中のジェンダー」の概観を試みた。The Men's Issues Pageに現れた父親の問題で目立つのは、「男は仕事」という役割期待を待つ故に、男性が父親として直面するジェンダーバイアスである。専業主夫、離婚後の扶養料負担、子どもの監護権、伝統的な性役割分業観に基づく裁判所命令、悪用される女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツなど。「男女共同参画」の推進という国際的な取り組みの中では、「女は家庭」という役割期待を担う故の、家族の中の女性の不利益に焦点が当てられがちである。しかし、今回の試みを通して、家族という枠組みの中で男性にとってのジェンダーバイアスも決して小さなものではないことを知ることが出来た。また、本稿の作成作業を通して、時間的・空間的制約を越えて資料へのアクセスが手軽にできる、比較的up-to-dateな情報を得易い、などのThe Virtual Libraryのメリットとその限界を体験できた。