出版者
医学書院
雑誌
精神看護 (ISSN:13432761)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29, 2019-01-15

シンポジウム「オープンダイアローグと中動態の世界」に行ってきました。参加者は450名で満員札止め。5日前にはチケット入手不能という盛況ぶり。「オープンダイアローグ」と「中動態」の直接コンタクト、しかも『中動態の世界』の著者、國分功一郎さんご本人が登壇とくれば、各方面からオーディエンスが集まるのも納得ですね。 そして実際、これがまあ素晴らしい体験でした。思うところがたくさんあったのですが、ここではいちばん印象に残ったことを記しておきます。
著者
大嶋 栄子
出版者
医学書院
雑誌
精神看護 (ISSN:13432761)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.100-103, 2020-01-15

それは社会から隔絶された場所にあった 刑務所と精神科病院は、とてもよく似た場所だ。どちらも、望んで行く場所ではないこと。自由が制限されること。そこから出るためには、できる限り本当のことは話さないほうがよく、周囲の人に心を許さないほうがいいとされてきたこと、などなど相似点が多い。 昨年秋、この映画の舞台となった「島根あさひ社会復帰促進センター」★1という民間が運営する刑務所を訪問し、TC(セラピューティック・コミュニティ=治療共同体)★2ユニットのプログラムを見学する機会を得た。そこは広島空港から高速バスを乗り継ぎ、インターチェンジまで迎えに来てもらわないとたどり着けない場所だ。ずいぶん不便な所にあると驚きながら、これも多くの精神科病院と同じだなと思った。監督の坂上香さんがちょうど映画を撮影していた頃、レンタカーを飛ばして飛行場に駆け込んで間に合ったとか、途中の風景があまりに綺麗でカメラに収めたとか、思うように進まない撮影の現場で起こるアクシデントについてのぼやきを聞いたりSNSで見たりしていた。だから、自分がその場所に立った時に、初めてなのにここに帰ってきたような気がした。
著者
漆原 正貴
出版者
医学書院
雑誌
精神看護 (ISSN:13432761)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.182-184, 2015-03
著者
秋山 里子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.74-79, 2005-05-01

1.はじめに 秋山里子の自己病名は「人間アレルギー症候群」である。「人間アレルギー症候群」とは、自分も含めた「人間」に対して起きるアレルギー反応である。抗原-アレルゲンと化した人間に接するとさまざまな症状が出現し、生きていくことが困難になる。そして、外敵から自分を守る「免疫のシステム」が混乱を来たし、敵味方の識別ができなくなり、無差別に人間に反応する。その結果、この8年間で仕事を12回、転居を14回行ない、常に自分の居場所を探し求め続けてきた。 この人間アレルギー症候群は、図1のような多彩な症状をもたらす。その症状のベースには、巨大な自己否定の感情が地下水脈のように張り巡らされている。だから生きるテンションが低い自分がみんなの中にいると、周りの人間のテンションも低くしてしまうように感じて申し訳ない気持ちになり、職場の輪の中にいられなくなる。 人をまるで「異物」と感じ、はじこうとする身体の反応を明らかに意識するようになったのは、19歳のときであったが、今思うと高校1年生のときにすでにその兆候があり、みんなが楽しみと思うことを楽しむことができない自分がいた。そのとき以来、脳裏には常に「死」という言葉が浮かび、周りに合わせることで必死になっていた。 秋山里子は朝日新聞の連載で浦河を知り、昨年10月に来町し母と2人で暮らすようになった。浦河に来ても相変わらず引きこもる自分に、母は「自殺行為」を恐れ、外出するときにはいつも包丁をバックにしまい家に置かないようにしていた。 しかし、しだいに秋山里子は1人でいる時間が虚しくなり、自然と人が恋しくなり、日赤病院のデイケアに通い、ベてるのメンバーと触れ合うようになる。そして同じような苦労をかかえている仲間と出会うなかで、「人間アレルギー」というテーマが見えてきた。
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.22-25, 2021-01-15

生活保護を受給するということ。それはこの匿名の方にとってはどういう体験だったのかを綴っていただきました。
著者
中島 裕子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.172-177, 2015-03-15

研究の動機 「私って看護師に向いてない」。看護師になった今もずっとそう思っている。いつからそう考えるようになったのか……思い返してもわからない。たぶん子どもの頃から「救命病棟24時」的なテレビの影響で、看護師というと「てきぱきしていて、よく気が利く」イメージが強かったのかも。私はとにかくどんくさい。 ホスピスでのボランティアを経て、看護師になろうと決めた時も、「まあ、絶対向いてはいないけど、でもやってみたいし、向いてなくてもやってみよう」と思っていた。私のやることに反対したことのなかった父親も、「看護師はやめておけ」と忠告してきた。案の定、看護学校に入学してからも、実習では先生に怒られてばかりいた。そもそもプライベートでも、気を利かせたり、頼られたりすることはとにかく苦手。居酒屋でサラダを取り分けるのすら恐怖。
著者
中島 裕子 渡邊 乾 木村 純一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.548-555, 2020-11-15

琵琶湖病院のこと 今回、私たち就労継続支援B型BaseCamp★1の職員は、滋賀県大津市にある琵琶湖病院を取材する機会をいただいた。 琵琶湖病院は、2017年から組織的にオープンダイアローグをベースにしたケアミーティングに取り組んでいることで有名な病院で、NHKでも取り上げられたことがある。『精神看護』2019年11月号の特集(「琵琶湖病院で始まっているオープンダイアローグを取り入れた日常診療」)を読んでいた私は、前々から興味を持っていた。その琵琶湖病院の医師の村上純一さんが、私たちを病院へ招待してくださったのだ。