著者
坂本 弘志 古平 真一郎 石島 隆志 山本 利一 鈴木 道義 針谷 安男
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
no.30, pp.529-538, 2007-07-01
被引用文献数
1

中等教育における『技術・家庭科』の技術分野(以下:技術科)は,産業社会への橋渡し役を担う教科である.そして,近年,子どもたちの科学技術離れが叫ばれ,新卒者の3年以内の離職率が35%にも及ぶなどの状況の中,技術科は,キャリア教育としての側面や,持続可能な成長につながる人間性の育成にも多大の寄与をするものとして期待がかけられている.本研究は,技術科教育を通して,今後の社会の中でも夢の実現に向け大きな課題に立ち向かっていける人材の育成を最終目標とする.そして,ものづくり企業等で急速に広がっているPDCAサイクルを教育的見地から分析し,その中から,持続可能な成長につながる人間力を育むために必要と考えられる複数の力を抽出した.それらの力を本研究で定義する『学習マネジメント能力』と,これまで提唱されてきている『生きる力』との2つに分類し,それらを育成するための題材の一例として,ロボットコンテスト(以下:ロボコン)製作題材をモデルとしたループ・スパイラル型の学習プログラムを提案する.
著者
鈴木 勲 川島 芳昭 石川 賢
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-10, 2007-07-01

「理科」は形式的には全学共通教育関係科目・教養教育科目の選択科目としての自然科学系科目の一つであるが、小学校一種あるいは二種を取得するため必修科目でもある。したがって、教育学部学校教育教員養成課程の学生には必修科目であり、多くの教育学部学生が「理科」に履修登録をすることになる。学習指導要領小学校理科の目標には「科学的な見方や考え方を養う」とあるが、後期の文系向け「理科」の受講者約100名のほとんどは「科学的な見方や考え方」とは距離をおいてきた学生である。平成17年度から、率先して後期「理科」にe-ラーニングを試みたのは、授業者の力不足から後期「理科」受講生に「科学的な見方や考え方を養う」ことが機能しなかった現実との溝を多少とも埋めることを期待したからである。
著者
南 伸昌 伊東 明彦 堀田 直巳
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.153-160, 2006-07-01

理科離れの象徴ともいえる物理の力学分野の理解を助けるために,運動方程式の導出までを指導する教室レベルの実験プログラムを検討した。方法としては,力学台車をバネばかりで一定のカが加わるように押すもの,軽量台車を扇風機の風力で自走させるもの,の二つを用い,それぞれサイエンス・パートナーシップ・プログラムの高校生講座において実施した。
著者
中村 清
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.93-104, 2007-07-01

教育において、思想信条の自由はどのように理解されるべきか。教育は、思想信条の自由を尊重する人間を育成することをめざす。この目的によって、そしてこの目的のために必要とされるかぎりにおいて、教育において思想信条の自由は制限される。社会において現に対立しつつも平和的に共存している諸思想信条について、教育が特定の立場に立つことは許されない。しかし、各教師は特定の立場に立つほかない。教育における思想信条の自由は、公平な教育をめざす各教師の努力と教育界における思想信条の多様性とによって維持される。