著者
奥田 純
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.1-5, 2009-05

本稿は2008年の米国大統領選を米国世論の変遷の中でとらえつつ選挙の争点、選出されたオバマの政治家としての資質や選挙中に発信したメッセージに焦点をあてながら、米国の政治状況を考察したもの。大統領制という制度論の観点ではなく、その器に入る大統領の政策と人となりを分析することで今後のアメリカ政治の方向を探った。
著者
荊木 治恵
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.38-58, 2014-05

本稿では、東北大学附属図書館狩野文庫所蔵の『豊後肥前風土記』の解説をするとともに翻刻をする。本書は古風土記の名を呈しているが、その実態は類書的書物である。風土記そのものの写本ではないが、全体として豊後国風土記・肥前国風土記の本文のかなりの部分を網羅している。部立てや掲出語句を含めて全貌を明らかにし、その体裁、使用テキスト、特徴等について述べる。本書成立当時の風土記の受容のあり方や認識等の研究に資することを目的とする。
著者
奥田 純
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.44, pp.43-47, 2011

第二次大戦とその後の米国による日本の占領とも対比して、9-11(テロ)とその後のイラク戦争に翻弄される米国を歴史家の観点から批判した歴史家ジョン・ダワーによる労作の書評。本書評では、非戦闘員の殺戮という行為が、正当性を認められた過去の戦争で如何に恒常化してきたかに焦点をあて、本書の題名の意味するところを明らかにしようとした。
著者
工藤 真由美
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.1-5, 2012-05

経済協力開発機構(OECD)による「生徒の学習到達度調査」(PISA)により、日本の子どもの学力が低下していることが明らかにされた。従来の「ゆとり教育」を見直し、学力向上へと視点を移すきっかけになった。その後2010年12月、「PISA2009」の結果が公表された。3年ごとの実施を受け、毎回参加国が増え現在では65か国が参加するまでになり、PISAの世界に対する影響の大きさを窺い知ることができる。「PISA2009」の結果から日本の子どもの学力が読解リテラシーを中心に上昇に転じたことがわかる。しかし、PISAに対応した全国学力調査の実施等から、実はPISAもテスト形式であり、訓練成果が反映される様相がみられる。他方「高等教育における学習成果の評価」(Assessment of Higher Education Learning Outcomes)ーAHELOーいわゆる大学版PISA)の導入の動きがなされている。今後大学教育の成果の国際比較や、同じくDECECOのDeSeCo(「コンピテンシーの定義と選択:その論理的・概念的基礎」プロジェクト)が示す社会人としての能力(キー・コンピテンシー)との関係も考察しながら、学生を社会に送り出す大学教育のあり方が検討されるべきである。
著者
北村 瑞穂
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.30-38, 2012-05

本研究では、親切行動を心がけさせる介入と、親切にされたことへの感謝の表明を心がけさせる介入をそれぞれ実施し、1ヶ月後に親切行動への動機づけや親切行動の生起や主観的幸福感の高まりが見られるかを比較検討した。実験協力者は女子短期大学生82名(感謝群18名、親切群35名、統制群29名)であった。介入の結果、感謝群の親切行動への動機づけが高まった。さらに親切群の親切行動を実行する人数が増えた。また、介入直後の嬉しかった・感謝した経験が介入群は統制群より高いため、これらの介入が親切行動への動機づけやポジティブな感情の認知につながる可能性が示唆された。しかし主観的幸福感については感謝行動と親切行動の介入の効果は確認できなかった。
著者
鍜治谷 静
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.75-79, 2012-05

連携の困難性を、専門職であっても心(感情)をもった一個の人間であるという視点から検討した。連携という相互関係を通して、専門職個人にはさまざまな感情ー援助対象者をめぐって、連携相手・機関に対して、自身の専門性に対して等ーが去来する。そうした個人の感情は連携を阻害する要因になりうることを複数の先行研究や筆者の授業実践報告は示している。中でも本人が気づきにくい(意識されない)感情の問題をどう乗り越えるのかについて、精神分析の逆転移の概念を援用し論じた。すなわち、自身の内面でなく自身の外側で生じた「できごと」を観察・記録し、他者と話し合うといった地道な作業が自己理解につながると考えられた。
著者
山戸 隆也 Takaya Yamato
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.42, pp.21-26, 2009

パーソンセンタードケアの提唱者であるトム・キットウッドは「医学モデル」に基づく従来の認知症についての捉えかたを見直し、認知症の人の「その人らしさ(personhood)」を尊重するケア、すなわち「パーソンセンタードケア」の実践を主張した。日本における介護福祉士養成課程において新カリキュラムが導入されたが、「人間の尊厳」に配慮した介護福祉士養成に向けて、パーソンセンタードケアの理念が、どのような可能性を有するかについては、今後の教育実践を踏まえての検討が必要となる。
著者
中家 洋子 Yoko Nakaya
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
no.42, pp.27-35, 2009

終末期ケアに関する調査によると、利用者や家族がもっとも不安や揺らぎを感じるのは在宅療養前であることが明らかにされている。本研究では、在宅終末期ケアの現状を先行研究や制度から概観し、事例を通じて介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」という)の在宅移行期の課題を整理し、役割を検討した。先行研究より在宅医療を重視した医療や福祉制度の推進で環境は整備されてきているが、現実には困難な状況が明らかにされた。また事例検討の結果、安心して在宅生活に移行するためには、本人家族の意思表示が明らかであること以外に、ケアマネジャーの役割として(1)入院による状態の変化を丁寧にマネジメントし退院後の1日の生活の流れを利用者・家族が具体的にイメージできるようにすること(2)できるだけ早期から利用者・家族と関わり、担当者会議を実施し情報の共有や目標の設定を行なうこと(3)利用者のストレングスを把握し活用することが必要であることが明らかになった。
著者
香月 欣浩
出版者
四條畷学園短期大学
雑誌
四條畷学園短期大学紀要 (ISSN:18811043)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.59-62, 2008-05

暮らしはどんどん便利になっていく一方で、人間はどんどん余裕を失っていっている。洗濯機や掃除機が発明され、自分に使える時間が増えたはずなのに、全く余裕なく逆に忙しくなっている。学校も同じで、昔は『読み書きそろばん』ができればよかった。なの今は、日本語もろくにできていない子どもに英語だ、コンピューターだとせかす。芸術と勉強どちらが大切?迷うことなく勉強を選ぶ世の中だ。だからこそ、芸術の存在は重要だ。学生に美術は好きか?と聞いたことがある。するとクラスの半分は『嫌い』もしくは『苦手』に手を挙げた。しかし人間は本来、ものを作り出す事や表現する欲求を持っている。生まれ育っていく環境のどこかで、苦手意識を植え付けられていると考える。今からそれを分析し、美術という表現を楽しく行える手だてを考えていこうと思う。