- 著者
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林 琢也
- 出版者
- 首都大学東京
- 雑誌
- 観光科学研究 (ISSN:18824498)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.143-154, 2010-03-30
- 被引用文献数
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都市住民の農業・農村体験,農産物の直接購入の需要を満たす観光農園の経営は,農家にとっては,労力の軽減や所得向上のための大きな手段となる。本稿では,同一品目を主な「商品」とする観光農園の入園料が地域において大きく異なる点に注目し,YAHOO!JAPAN のキーワード検索において「サクランボ狩り」で上位100件に挙げられた地域を取り上げ,価格設定と集客圏,所得の関係を考察した。その結果,価格設定は,食べ放題の時間制限と入園料により「短時間・低価格」と「短時間・高価格」,「長時間・低価格」の地域に分類できた.さらに,価格と集客圏となる地域の所得水準の高低は総じて比例関係にあるとともに,低価格地域の多くは,大都市(圏)から離れた地域にみられた。すなわち,観光農園の入園料は,集客圏とする地域の所得や大都市(圏)との距離に大きく影響を受けており,それによって同じ品目を「商品」として利用する場合でも価格設定をはじめとする経営内容に差異を生み出すことが明らかとなった。