著者
延 恩株 Eunju YON
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
no.2, pp.83-100, 2011-03

本稿は古代新羅の始祖神話と日にっしん神信仰の考察である。古代の韓国には壇君(タングン)神話・朱蒙(チュモン)神話などの建国の始祖神話が多くあるが、これらの神話も視野に入れて、本稿ではまず、新羅の始祖と見なされている、朴・昔・金という三氏の始祖神話の特性を分析している。高句麗の始祖神話には、東北アジアの民族に特徴的である日光感精説話が見られるが、新羅の三氏の始祖神話にはこれが明確には現れていない。新羅では日神信仰は日光感精などの神話よりも海洋型・水平型の太陽崇拝にその源泉を有する傾向が強い。その意味では三氏のうち昔氏の脱解(タルヘ)神話に最も多く日神信仰が反映しているように思われる。しかし三氏の神話は新羅の始祖神話の全体像を構成しているとは言えない。これに、赫居世(ヒョッコセ)やその王妃閼英(アリョン)を生んだとされる、慶州の仙桃(ソンド)山(西岳)の神、娑蘇(サソ)神母説話ないし神話と、延烏郎(ヨノラン)・細烏女(セオニョ)説話とを加えて総合的に考察することによって、初めてその全体像を知ることができるであろう。本稿では娑蘇神母に特に注目し、まず新羅の始祖女神としての神母を『三国史記』(12世紀。本稿では「國」はすべて新字体に直した)と『三国遺事』(13世紀)に則して取り上げ、その後で、中国の伝説上の神仙である西王母に娑蘇の神話的ルーツを探っている。なお延烏郎・細烏女説話については紙幅の制約があり、後日の発表を期すことにした。
著者
MCDONALD Peter
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.35-50, 2011-03

最近、原書のテキストから簡略したテキストを授業で使用することが推奨されている。最近の研究では、この簡略化されたテキストが原本と同様に真の学習経験を第二言語学習者に提供していることを多くの研究者が示唆している。しかし、簡略化されたテキストの効用、つまり意味、背景、人物に関するテキストの持つ重要な特徴に関しては、ほとんど研究されていない。そこで、この研究では、簡略化テキスト自体が原書のテキストが持つ潜在的な独自性をどのように変更され、この変更に対して機能的な文法表現をどのように採用されているかを研究することを目的とする。この研究を進める上で、アーサー・コナン・ドイル(Arthur Conan Doyle)の`The Copper Beeches' の冒頭部分を抽出し、そのオープニングの表現をリチャード・ゲアリー(Richard Geary)の簡略テキストを使用し比較する。さらに、これらの発見が授業に対してどのような意義があるのかを検討していく。
著者
延 恩株 Eunju YON
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 = The journal of J. F. Oberlin University. Studies in language and culture (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-100, 2011-03-01

本稿は古代新羅の始祖神話と日にっしん神信仰の考察である。古代の韓国には壇君(タングン)神話・朱蒙(チュモン)神話などの建国の始祖神話が多くあるが、これらの神話も視野に入れて、本稿ではまず、新羅の始祖と見なされている、朴・昔・金という三氏の始祖神話の特性を分析している。高句麗の始祖神話には、東北アジアの民族に特徴的である日光感精説話が見られるが、新羅の三氏の始祖神話にはこれが明確には現れていない。新羅では日神信仰は日光感精などの神話よりも海洋型・水平型の太陽崇拝にその源泉を有する傾向が強い。その意味では三氏のうち昔氏の脱解(タルヘ)神話に最も多く日神信仰が反映しているように思われる。しかし三氏の神話は新羅の始祖神話の全体像を構成しているとは言えない。これに、赫居世(ヒョッコセ)やその王妃閼英(アリョン)を生んだとされる、慶州の仙桃(ソンド)山(西岳)の神、娑蘇(サソ)神母説話ないし神話と、延烏郎(ヨノラン)・細烏女(セオニョ)説話とを加えて総合的に考察することによって、初めてその全体像を知ることができるであろう。本稿では娑蘇神母に特に注目し、まず新羅の始祖女神としての神母を『三国史記』(12世紀。本稿では「國」はすべて新字体に直した)と『三国遺事』(13世紀)に則して取り上げ、その後で、中国の伝説上の神仙である西王母に娑蘇の神話的ルーツを探っている。なお延烏郎・細烏女説話については紙幅の制約があり、後日の発表を期すことにした。
著者
COOKSON Simon
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-33, 2011-03

1990年1月25日、アビアンカ航空52便は、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港へ着陸を試みたあとに、燃料切れで墜落した。いくつかの要因が墜落に関わっているが、その中には言語的要因も含まれる。そのためにこの事故は、ICAO(国際民間航空機関)によって、操縦士と管制官の航空英語能力の向上を、世界規模で目指すプログラムを立ち上げる必要性を訴えるために引用された。そして、2011年3月5日より、このプログラムの適応が開始された。本稿では、この事故を「スイスチーズ」の事故原因モデルを使って分析した。このモデルは、Reason(1990)が提唱したもので、後にWiegmannとShappell(2003)によって改定されたものである。分析結果は、言語的要因の重大性を確認するとともに、数々の言語以外の重大要因を示唆した。特に、ストレス、疲労、文化的要因が、フライト・クルーのコミュニケーションに影響を与えたことを明らかにした。
著者
中山 市太郎 Ichitaro NAKAYAMA
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 = The journal of J. F. Oberlin University. Studies in language and culture (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.39-56, 2010-03-01

メディアのデジタル化が急速にすすむ今日、「表現」の世界では、多くの表現手法の新しい試みと失敗が繰り返されている。メディアの、変化のスピードが速いため、表現に関わる編集者やプロデューサーは、ハードウェア技術の壁に翻弄されて、新しいメディア表現の確立に戸惑っているように見える。本稿は、電子出版などデジタルメディア誕生直前の、ビデオディスクにおける静止画映像出版の実験的ともいえる表現上の試みや、ハードウェアとソフトの互換性というデジタルメディアが避けて通れない技術的問題点を、ソフト制作者や編集技術者らは当時どう乗り越えてきたかを検証し、デジタルメディア時代の技術の継承と課題について考察するものである。
著者
中山 市太郎 Ichitaro NAKAYAMA
出版者
桜美林大学
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-56, 2012-03

メディアのデジタル化が急速にすすむ今日、「表現」の世界では、多くの表現手法の新しい試みと失敗が繰り返されている。メディアの、変化のスピードが速いため、表現に関わる編集者やプロデューサーは、ハードウェア技術の壁に翻弄されて、新しいメディア表現の確立に戸惑っているように見える。本稿は、電子出版などデジタルメディア誕生直前の、ビデオディスクにおける静止画映像出版の実験的ともいえる表現上の試みや、ハードウェアとソフトの互換性というデジタルメディアが避けて通れない技術的問題点を、ソフト制作者や編集技術者らは当時どう乗り越えてきたかを検証し、デジタルメディア時代の技術の継承と課題について考察するものである。
著者
浅井 亜紀子 Akiko ASAI
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 = The journal of J. F. Oberlin University. Studies in language and culture (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.67-82, 2011-03-01

Social identity is defined as one's knowledge of identification with a social group, and its theory has been developed based on experimental research in group-to-group relationships. This qualitative study examines how social identity theory is applicable to college students' feelings of identification with their college. In this study, factors influencing undergraduate students'feelings of identification with their college are investigated, including the roles of college jargon in their identification with their college.Two investigations were conducted. In the first investigation, a total of 24 first grade students were asked the following: (1)to report their transitional experiences from their high school to college in one year;(2)to complete a three day journal twice a year;(3)to join group discussions on two occasions;(4)to write a report about their one year transitional experiences upon entering college. In another investigation, a total of 159 undergraduates were asked to write a report of their feelings of identification with their college, and they were examined on their knowledge of jargons used on campus.The results found three factors influencing their sense of identification with their college:(1)human relationships in college, (2)knowledge and skills of goal-achievement in college, and (3)comparison of their college with other colleges. Jargon also plays an important role in promoting relationships with other members, utilizing university knowledge effectively, and giving authentic feelings of memberships of their college in informal ways. Theoretical implications of social identity are also discussed.
著者
山岡 洋
雑誌
桜美林論考. 言語文化研究 (ISSN:21850674)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-35, 2017-03-21