著者
水谷 みゆき 牛田 享宏 西原 真理
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.191-202, 2017-09-15 (Released:2017-09-26)
参考文献数
30

Chronic pain is a complex state that involves unpleasant emotion, autono­mic responses, helplessness against pain and movement disorder, as well as the sensation of pain itself. These memorized responses influence the present experience and behavior of the patient. A single treatment option is not enough to treat such a complex clinical state. Thus, our facility has several treatment programs to fit individual patients’ needs. We applied an individualized hypnotic approach to 161 patients who had not shown satisfactory improvement and were considered suitable subjects for psychotherapy.A hypnosis session consisted of the introduction stage, which prepared the therapeutic contexts accommodated to the change in chronic pain as well as each patient’s history, and the induction stage, which mainly targeted non–pain body sensations. Among the patients who tried hypnosis, 71.1% experienced in–session analgesia (ISA), and 46.3% experienced out–of–session analgesia (OSA). The most of the first ISA was experienced before approximately the 10th session, and the most of the first OSA was experienced by approximate­ly the 15th session after ISA.Based on the process and degree of analgesia, the number of sessions, the leaning rate of self–hypnosis, and the patients’ characteristics and experiences in the above process, we attempted to determine the conditions under which the patients were successfully engaged in hypnosis, the stage of changes in their chronic pain, and the inhibitory factors against analgesia. Despite clinical differences among the patients and their pain situations, their responses to the hypnosis implied the importance of achieving pain cessation through their own therapeutic efforts.
著者
梶谷 みゆき 平松 喜美子 三瓶 まり Miyuki KAJITANI Kimiko HIRAMATSU Mari SANPEI
雑誌
島根県立大学出雲キャンパス紀要 (ISSN:2187199X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.107-112, 2019-12-25

ドイツの保健医療福祉について知見を得る目的でドイツのデュッセルドルフ市を訪問した。ドイツの代表的な公益福祉団体のひとつであるディアコニー福祉団体(Diakonisches Werk der EKD)が運営する高齢者施設を訪問し,管理者から入居者の状況や運営について説明を受ける機会を得た。ドイツもわが国も「社会保険モデル」を基盤とする介護保険制度を展開している。介護保険法を制定した後,社会のニーズや高齢化の様相に合わせて短期間で改正を重ねている点や,ケアスタッフの不足,認知症者の増加や老老介護などを背景とする在宅介護継続困難事例の増加などの共通性を認めた。一方で個人の自立に対する考え方,福祉や社会活動に対する考え方などにおける相違点を認めた。今回の研修成果を踏まえ,高齢者ケアや高齢者福祉の現状についてわが国と諸外国との比較など教育内容に反映させたい。
著者
伊藤 智子 加藤 真紀 梶谷 みゆき 常松 さゆり 諸井 望 金築 真志 Tomoko ITO Maki KATO Miyuki KAJITANI Sayuri TSUNEMATSU Nozomu MOROI Masashi KANETSUKI
出版者
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-34, 2008

2007年本紀要第1巻にて標記の第1報を報告した(伊藤、2007)。2008年は、特養で生活する高齢者のエンパワメントには、ケアスタッフの意識・行動が大きく関わつていると考え、前年度調査対象とした高齢者を担当するケアスタッフにケア意識に関する半構成的面接を行い、この2年間の調査結果を合わせて再度検討を行った。その結果、 1)特養入居受け入れ支援 2)生活の継続性を重視する意志の尊重 3)視聴覚機能を補うケア 4)家族とのほどよい距離感を感じるケア 5)馴染みの人との関係維持と新たな人間関係づくり支援 6)日常生活の中での役割づくり 7)落ち着く居場所づくり 8)看護職による疾病の管理の8点が明らかとなった。
著者
伊藤 智子 加藤 真紀 梶谷 みゆき 常松 さゆり 諸井 望 金築 真志 Tomoko ITO Maki KATO Miyuki KAJITANI Sayuri TSUNEMATSU Nozomu MOROI Masashi KANETSUKI
出版者
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-58, 2007

生活の場が変化することでエンパワメントの維持が困難になりやすいと考えられている特別養護老人ホームで生活をする高齢者の施設入居前後の社会関連性の変化を把握した。そして、その変化の理由を本人へのインタビュー、家族への質問紙調査、施設内既存資料で得られた結果から事例検討により分析した。その結果、特養で生活する高齢者のエンパワメント支援として1.本人の施設入居受け入れ支援2.特養生活の中で役割を創る3.家族とのほどよい距離感を感じる支援4.本人の落ち着く居場所づくり5.視聴覚機能を補う支援の5点が明らかとなった。今後、事例別の結果を現在のケア内容と照らし合わせ、エンパワメントを支援するケアの改善が必要である。
著者
山下 一也 井山 ゆり 松本 亥智江 井上 千晶 松岡 文子 磯村 由美 飯塚 桃子 梶谷 みゆき 吾郷 美奈恵 齋藤 茂子 湯澤 雄一郎 片倉 賢紀 橋本 道男 加藤 節司 Kazuya YAMASITA Yuri IYAMA Ayako MATSUOKA Yumi ISOMURA Momoko IIZUKA Miyuki KAJITANI Minae AGO Sigeko SAITO Yoichiro FUKUZAWA Masanori KATAKURA Michio HASHIMOTO Setsuji KATO
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.25-30, 2007-12-10

高齢者の趣味の有無が認知機能と関連しているとの報告が多くなされている。今回、地域在住一般高齢者272名(平均年齢72.3歳)を対象に趣味の有無と認知機能の関連を検討した。趣味を有する群(186名)と無趣味群(86名)では、主観的幸福感、抑うつ程度、 日常生活動作には有意差は見られなかったが、認知機能においては、趣味を有する群では無趣味群に比して有意に高値であった。また、趣味を有する群では、無趣味群に比して、物事に好奇心があり、社交的な性格であった。認知症予防において、趣味を持つことを積極的に勧めることは重要と思われる。
著者
林 健司 荒木 さおり 岡安 誠子 平松 喜美子 梶谷 みゆき
出版者
日本運動器看護学会
雑誌
日本運動器看護学会誌 (ISSN:2186635X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-42, 2022-02-28 (Released:2022-03-11)
参考文献数
27

本研究の目的は,大腿骨近位部骨折術後高齢者における居宅での生活様相を明らかにすることである.データ収集方法は大腿骨近位部骨折術後で居宅での生活が1ヵ月経過した高齢者に対し半構造化面接を実施した.分析方法は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチとした.結果,9名の研究参加者を得た.分析の結果,19個の概念が生成され,7つのカテゴリーに分類された.大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は『自由を手に入れる』一方で,『想定外の現実』に直面し,次第に『生活環境の狭小化』状況にあった.そんな中,徐々に『老いと折り合う』ことで,居宅で暮らす自分を客観視するようになっていた.そして,大腿骨近位部骨折術後に居宅退院した高齢者は,『前向きな依存』と『無理のない自律』の二方向で生活の再構築を始めつつあった.また,一度骨折を経験した高齢者は退院後,『脳裏によぎる再転倒』を抱えながら生活していた.
著者
森下 伊三男 服部 哲明 亀谷 みゆき 米田 真理
雑誌
朝日大学一般教育紀要 = Journal of Liberal Arts and Science Asahi University (ISSN:13413589)
巻号頁・発行日
no.46, pp.1-17, 2022-03-31

朝日大学教養教育開発室(以下「開発室」という。)は、発足から一般教育課程における英語教育の在り方について調査研究をおこない、その成果を「朝日大学一般教育紀要第42号」[1 ]にて報告した。その後、一般教育に限らず、大学教育の場における日本語教育の在り方について調査検討を行い今日に至っている。本稿は、開発室が2019年1 月31日付で学長に提出した報告書を基に、更に日本語教育についての方向性を開発室で検討しまとめたものである。本学の教養教育は、人文科学・社会科学・自然科学・語学・保健体育等の広い分野・領域を占めているが、本稿では、それらの教養教育に限らず、専門教育を含めたあらゆる教育活動において日本語教育を推進していくための指針を検討した。その結果として、縦軸に「文字情報」・「音声情報」、横軸に「理解する(Input)」・「表現する(Output)」をとり、そこにさまざまな日本語活動をマッピングし、それらの活動を有機的に結び付ける図を作成した。その図をベースに何種類かの科目について、本来の科目指導とともに付帯的に指導できる日本語活動とその流れを具体的に示した。それらの図を活用することにより、朝日大学での日本語教育活動がますます充実し、学生の日本語力増強に繋がることを期待している。
著者
竹野谷 みゆき
出版者
札幌学院大学人文学会
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
no.72, pp.17-29, 2002-12

本研究は、職場の会話を権力関係(パワー)に焦点をあて、パワーが談話にどのようにあらわれているかを分析した。テレビで放映されたドキュメンタリー番組をデータとして取り上げ、特に、教育係の先輩アナウンサーが新人アナウンサーにテレビ・レポートの仕方を指導するシーンに注目した。分析の結果、Fairclough(1989)がクリティカル・ディスコース分析の枠組の中で指摘しているように、パワーがある話者のない話者の発言に対する「さえぎり」、「訂正」、「評価」という行為において、そのパワーが行使されている様子が示された。また、日本語談話にあらわれる終助詞の「よ」と「ね」のパワーを表す道具としての役割に注目し、その特徴を吟味した。
著者
長谷川 孝子 沼沢 忠祐 松谷 みゆき
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.17-24, 1988
被引用文献数
1

市販の食パン,フランスパンのレオメータ一による弾性率と水分量及び水分活性を測定し,パンの硬さと水分の関係を明らかにした1)パンの弾性率は保存につれて増大するとともに水分量は減少した.2)パンの水分減少につれて,水分活性の低下がみられた.特にフランスパンにその傾向が大であった.3)フランスパンではパンの弾性率の増加につれて水分活性の低下がみられたが,食パンにはその傾向はみられなかった.終わりに,本研究はエリザベス・アーノルド財団の研究費助成によった.また本研究に対し,ご好意を賜わったフジパン株式会社なちびに同財団及びご指導頂いた諸先生に深く感謝の意を表す.
著者
水谷 みゆき 鈴木 千春 大道 裕介 櫻井 博紀 森元 温子 西原 真理 牛田 亨宏 新井 健一 佐藤 純
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.175-188, 2012-08-10 (Released:2013-02-19)
参考文献数
44

The effect of hypnotic intervention for the refractory chronic pain patients was examined along with the process of patients' selection and their psychological characteristics. The total 596 visit patients in the first year were statistically examined concerning duration of pain, scores of psychological distress (Hospital Anxiety and Depression Scale) and disability (Pain Disability Assessment Scale) at the initial visit and the treatment outcome at the end of the first year. The duration of chronic pain was significantly related to disability but not to psychological distress at the initial visit. At the end of the first year of multidisciplinary pain treatment, 44% of total patients were under treatment, 19% finished treatment (10% evidently improved and 9% accepted their pain), 12% were referred and 25% dropped out. The group of patients who were evidently improved was not different concerning the duration of pain, but significantly less anxious, less depressed and less disabled at the initial visit than the other groups. Among the 261 patients under treatment, 33 patients (5.6% of total patients) were introduced into individual psychological interventions in consideration of 1) poor outcome in pharmacological and physical treatments, 2) unstable treatment relationship and marked pain behaviors, 3) obvious psychological distress, 4) event-related fluctuations in pain. They were significantly more anxious and depressed at the initial visit, than those who were not introduced to psychological intervention. Multiple bio-psycho-social factors were identified; tender points in 21 patients (by physiotherapist), stressful life events around the onset of pain in 26, serious daily conflicts at present in 30, catastrophizing thinking in 21, repressive thinking in 12, avoidance in 2 and perseverative coping in 6. Many of them did not or partly perceive their somatic tension / discomfort. Multiple factors were considered to inhibit the effect of treatment in those patients. In individual hypnosis, therapeutic conversation, permissive induction and indirect suggestions were employed. Direct suggestions for analgesia were not applied. Among 33 patients, 25 patients experienced hypnotic analgesia during sessions, 14 of whom finished their sessions with the decreased daily pain level or the enhanced effect of medication until the end of the 3rd year. Among them, 5 patients evidently improved (one phantom limb pain and 4 other chronic pain). Hypnosis successfully helped 42% of the patients who had failed to respond to multi disciplinary treatment. The psychosomatic resources in patients need to be more attended and utilized in chronic pain treatment.