著者
小野 紗佑里 片田 駿介 福原 真一
出版者
日本シミュレーション医療教育学会
雑誌
日本シミュレーション医療教育学会雑誌 (ISSN:21879281)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.83-88, 2019 (Released:2022-01-21)

臨床工学技士養成課程では、日本臨床工学技士会の実習指導ガイドラインに従って、臨床実習を行っているが、見学実習が主のため学生は受け身にならざるを得ない。中でも、経皮的心肺補助装置(PCPS:percutaneous cardiopulmonary support)は、実習施設によって症例数に差があり、必ずしも治療現場を見学できるとは限らず、さらにモチベーション低下に繋がる可能性がある。こうした状況を改善するため、学内実習にて“PCPS導入のシミュレーション実習”を実施し、学生の理解度の変化から実習の効果を評価した。対象は、本学科77名の学生で、シミュレーションにおける役割として、医師と看護師、臨床工学技士を設けた。そして、実習終了後、理解度についてのアンケートを実施した。実習前後の理解度の変化についての自己評価は、98%の学生が10点満点中7点以上(8.59±1.95点)であり、本実習により理解が向上したと回答した学生が多い結果となり、本実習が臨床工学技士養成課程の学生の理解度向上に効果的であることが示唆された。
著者
駒澤 伸泰 寺﨑 文生 中野 隆史 河田 了
出版者
日本シミュレーション医療教育学会
雑誌
日本シミュレーション医療教育学会雑誌 (ISSN:21879281)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.76-78, 2020 (Released:2021-10-22)

継続的な変化を続ける医療環境において医療安全を担保し、患者予後を改善するためには、多職種協働が必要である。円滑な多職種協働推進のためには、適切な多職種連携教育が必要不可欠である。しかし、多職種連携教育導入では、倫理的問題、参加人数制限、教育空間確保が課題となる。本稿では、1. 多職種連携教育の課題、2.多職種連携教育におけるシミュレーション教育法の可能性について述べる。
著者
小松 弘幸 奥村 学 岩切 智美 林 克裕
出版者
日本シミュレーション医療教育学会
雑誌
日本シミュレーション医療教育学会雑誌 = Journal of Japan Association for Simulation-based Education in Healthcare Professionals (ISSN:21879281)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-6, 2014

【目的】最近の6年制薬学教育では、学生へのフィジカルアセスメント(Physical Assessment; PA)実習も徐々に取り入れられているが、病院で勤務している薬剤師を対象にPA実習を行っている施設は少ない。今回我々は、大学病院薬剤師を対象に医療シミュレータを活用した系統的PA実習を実施し、参加者の実習前後での自己評価の変化を検討した。###【方法】対象は本院薬剤師21名。薬剤師におけるPA総論、バイタルサインの診かた、肺音聴診、心電図モニター判読、薬剤による患者の急変と対応の5項目を、医師1名の指導の下、毎月1回ずつ約90分で実施した。実習では肺音聴診シミュレータ"ラング"®やハートシム4000®、Sim Man 3G®を使用した。実習前後でPAに関する自己評価と実習内容に関するアンケート調査を実施した。###【結果】実習前のPA経験は、バイタルサイン測定が3名、心電図モニター判読が4名、聴診は0名と少なかった。患者のバイタルサイン評価について4段階で自己評価してもらった結果、「自信がある」あるいは「ある程度自信がある」と評価した割合は、実習前後で、意識状態:14%→83%、体温:52%→100%、血圧:33%→91%、脈拍:19%→87%、呼吸状態:14%→61%へと有意に上昇した(全てp<0.01)。実習後アンケートでは、対象者全員が全項目とも今後の薬剤師業務に役立つと回答した。###【結語】医療シミュレータを活用した病院薬剤師へのPA実習は、薬剤師生涯教育の一つの方法として有用と考えられる。Aims: Opportunities for pharmacy students to acquire physical assessment (PA) skills have gradually increased since the six-year education system was introduced in Japan. However, learning opportunities for hospital pharmacists are insufficient. Therefore, we provided a series of lessons in PA for hospital pharmacists using auscultation and high-fidelity simulators for training in emergency medical care and evaluated whether their self-assessment of PA improved thereafter.###Methods: Twenty-one pharmacists at our hospital self-evaluated their abilities to measure vital signs before and after undergoing training using simulators in the general theory of PA, vital sign assessment, lung auscultation sounds and interpretation of electrocardiographic patterns on monitors. They were also presented with scenarios simulating drug-induced changes in physical status. ###Results: A preliminary survey revealed that most of the participants had never physically assessed hospitalized patients. The stages of self-assessment for the skill of measurement of vital signs were significantly improved after the training. All participants found that training using medical simulators was an effective method of learning PA skills.### Conclusion: Physical assessment training with medical simulators is a useful method of continuing education for pharmacists in hospitals.