著者
松岡 聖二 吉田 稔
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P4, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
5

従来の多くの類似性指標は化学構造の全体的な類似度を表しているため、特徴的な共通母核を持ち同様の生理活性を示す化合物同士が、残基のサイズによっては低い類似度を示すという問題点がある。そこで、局所的なグラフ同型性を基にした類似性指標を新たに開発した。当指標をChemical space network(CSN)として知られるネットワーク理論的手法を用いた構造活性相関分析へ応用した結果について報告する。
著者
山田 一作 木下 聖子
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O2, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
13

セマンティックウェブ技術を活用し様々なライフサイエンスデータとリンクすることで糖鎖機能の解明につなげることができる。糖鎖科学のポータルサイトとしてGlyCosmos Portal を開発し、ライフサイエンスデータの統合を目指す。我々はこれまで国内外の研究者と協力し糖鎖情報のオントロジーであるGlycoRDF、糖鎖構造表記 法であるWURCS、国際糖鎖構造リポジトリであるGlyTouCan を開発してきた。本ポータルは、これらの成果を活用したリポジトリとデータベースで構成される。リポジトリはGlyTouCan と複合糖質のリポジトリを開発している。また、データベースとしては、糖鎖関連の生合成経路や糖鎖の分子構造のデータを収録するGlyCosmosDB を開発している。
著者
⼭⼝ 徹 眞⽥ 昭平 隅本 倫徳 堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O8, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

薬剤の安定性試験に際し、分解反応に対する理論的な予測データを得られれば有⽤である。本研究では、アスピリンの加⽔分解反応に対し理論的解析と⾃由エネルギーを⽤いた反応速度論シミュレーションを⾏った。B3LYP/6-311+G(d,p)//B3LYP/6-31G(d)レベルの反応解析の結果、アスピリンは⽔2 分⼦によるプロトン移動を介してΔG‡=27.2 kcal/mol で分解されると計算された。これを⽤いた反応速度論シミュレーションの結果、温度37℃、湿度42%条件下での6 ヶ⽉⽬の分解率の実測値0.083%に対し、計算値0.091%と⾮常に良い⼀致を得た。また、湿度30〜100%での広い範囲のシミュレーションを実施し、温度60℃、湿度30%条件下でも実測値と⾮常に良い⼀致を得た。
著者
田中 るみ子 中山 伸一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P5, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
2

特許公開公報に記載されている化学物質名は、多様であり、記載法も書き手に委ねられているため共有化を妨げている。化学物質名を自動抽出できれば、共有化に役立つ。現状を把握するために特許公開公報(化学分野)において、化学物質名の出現頻度、記載法を調査、分析した。化学物質を単一物質、混合物、高分子など種類別にタグ付けを行い、各文書における種類別の化学物質名の頻度を比較した。化学物質名を抽出する試みとして、まず形態素解析を用いた化学物質名の単離と、化学物質名に特有な文字に着目した化学物質名の選出結果を示した。
著者
山本 博之 津川 裕司
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

メタボロミクスでは、化学構造が不明な未知ピークが疾患バイオマーカー候補となることがあり、未知ピークの構造推定を行うためのケモインフォマティクス手法が様々提案されている。本研究では、結合が切断するか否かを目的変数、インシリコフラグメンテーションによって得られた構造ペアのフィンガープリントから計算した特徴ベクトルを説明変数とし、正則化ロジスティック回帰を用いてフラグメンテーション予測を行った。
著者
堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O12, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

我々は、これまで開発を行ってきた遷移状態データベース(TSDB)を活用して合成経路の評価を行う手法(in silico スクリーニング)を適用する研究で、東京大学船津教授を代表研究者とするCREST プロジェクトに参加している。我々のサブプロジェクトでは、遷移状態データベースに採録されている遷移状態構造をテンプレートとし、その構造中の3 つの原子を指定することにより置換基の異なる系における遷移状態候補構造を作成する。この方法により、短時間でのTS 構造計算が可能となり、その結果として多反応の可能性評価を可能としている。反応の類似性の検索には、OpenBabel 及びgWT プログラムを用いている。本研究では、CREST プロジェクトを実施するうえで新たに開発した関連プログラム、TSDB の現状とサブプロジェクト間の関連プロジェクトについて報告する。
著者
井手尾 俊宏 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P14, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

Fatty Acid Synthase (FAS) 阻害剤である33 個の分子について電子状態計算を行い、電子的類似度を算出して、各分子の活性を示す数値(半数阻害濃度)との相関を調べた。また、分子の構造的類似度についても同様に半数阻害濃度の数値との相関を確認した。電子的類似度の相関係数は0.79、構造的類似度の相関係数は0.47 となった。従って、今回検討した分子群の薬理活性に対しては、電子的類似度がより優れた記述子であると言える。
著者
⼩杉 侑誠 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P16, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
6

機能性分⼦の探索のためには、物質に関する構造、電⼦状態に関する情報を集積したデータベースが有⽤であると思われるが、数値データだけでは物質開発の戦略を提⽰することはできない。我々は、物質探索において⾔語によって表現された知識情報の活⽤が本質的に重要であると考え、分⼦構造、電⼦状態、知識情報の三つを含む知識情報統合型電⼦状態データベースを開発しているので、その現状を報告する。
著者
吉田 智喜 山乙 教之 広野 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P8, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
6

リガンドとタンパク質との間の相互作用を、アミノ酸残基フラグメントレベルで量子化学的に解析することが可能なフラグメント分子軌道(FMO)法は、阻害剤とタンパク質との間の相互作用を取り扱う創薬において非常に有用な手法である。本研究で我々は、FMO 法によって得られるフラグメント結合エネルギーを記述子としたPLS 回帰によるCDK2 阻害剤の三次元定量的構造活性相関を報告する。阻害活性既知リガンドと最も類似しているリガンドが結合しているCDK2 タンパク質X 線結晶構造に対してドッキング計算を行うことによって信頼できる複合体構造を作成してFMO 計算に使用した。幅広い活性の多様なリガンドについて阻害活性を予測することができるPLS 回帰モデルを作成することができた。
著者
和泉 博
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P2, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
14

立体配座探索にはMerck 社からの報告に代表される分子力場(MM)計算が一般に使用されている。ところが、日本の製薬企業に協力して水素結合を有するキラル医薬候補分子の解析を進めたところ、三割以上予測赤外円二色性(VCD)スペクトルが実測のものを再現しない結果が得られた。そこで、最大共通部分構造(MCS)で表されるフラグメントをもち自由度が高い分子にむけて、フラグメント分子のデータベースの中から立体配座探索を行い、環構造に対応した密度汎関数法計算のための初期構造を自動作成するプログラム(RingFragGeneration)を構築した。プログラムを用いて、49 個の回転可能な単結合を有し、マクロライド環構造をもつラパマイシンの初期構造を自動作成し、VCD 立体配座解析を行った。
著者
山﨑 広之 西端 芳彦 市村 博信 山乙 教之 広野 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
14

Fragment-Based Drug Design (FBDD) では、従来実験手法により活性フラグメントを同定し、それらのフラグメントを組み合わせて化合物設計を行う。計算機的手法でフラグメントを同定する場合、数多くの候補フラグメントの数が同定され、その組み合わせは爆発的な数となる可能性がある。以前、我々は多数の候補フラグメントから絞り込むknowledge-based な手法を提案した。これにより候補フラグメントに優先順位をつけることができるが、本手法は用いる化合物ライブラリの化合物数が多いと計算コストが大きくなってしまう。今回はさらにデータベースに含まれる化合物数を絞り込んだ代表化合物ライブラリの開発を検討する。これにより高速に最適な組み合わせを選択したり他のFBDD 手法に適用したりすることが期待できる。
著者
高橋 崇宏 倉 陸人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O17, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

化学気相堆積法の研究開発の自動化を目指して、反応装置内部において原料ガスが気相反応や表面反応を経て薄膜になる反応機構(反応モデル)を明らかにするための実験計画を自動的に立案するシステムを開発した。立案アルゴリズムは共分散行列適応進化戦略法を用いて実現した。そして、システムの提案結果の妥当性を化学気相堆積法の仮想的な実験結果を用いて検証した。