著者
金子 直矢 伊東 孝紘 渡辺 敏暢 阿部 博 大西 亮吉
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.1059-1067, 2021-06-23

本研究では,WebRTC を用いたアプリケーションにおいてマルチメディア伝送の可用性と柔軟性を向上するためにマルチパス技術を導入し,メディアストリームごとのポリシに基づき通信パスの利用形態を制御する手法を提案する.WebRTC を用いたアプリケーションとして車両やロボットの遠隔操作システ ムといった事例が存在する.遠隔操作システムは,操作に必要な環境情報を伝えるために複数のカメラや マイクを併用しており,操作者のニーズに応じて必要なメディアストリームを安定的に伝送する通信基盤 が重要である.そこで WebRTC を用いる遠隔車両運転システムをターゲットとして,以下の 3 手法を導入し組み合わせることを提案する.(1) IP ToS 値を用いたメディアストリームの識別による Web ブラウザとネットワーク制御の連携 (2) マルチパス通信技術の導入による通信の選択肢多様化 (3) 優先度・重要度 に基づくメディアストリームごとのパス利用形態制御.これらの手法を,遠隔車両運転システムが用いるモバイル通信サービスを利用して検証し,実現性と通信制御の柔軟性の向上に寄与することを示した.
著者
田村 淳 砂原 秀樹 加藤 朗 石戸 奈々子
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.1075-1086, 2021-06-23

現在の日本社会では,死と向き合うことが少なく,遺書というものは敬遠されている.これまで遺書は死期の近い人が家族や親しい人たちのために遺す文書と考えられていたが,近年エンドノートなどの名称で思考もはっきりし身体も元気なうちに本人の意思を示したり,家族や親族,知人にメッセージを遺したりすることが考えられるようになってきている.著者らは,このように元気なうちに遺書を作成した際の作成者本人に及ぼす効果に着目し,新しい概念に基づく遺書という考え方を構築し,それらをサービスとして実現することを目指した.本研究では,遺書を作成することで作成者本人にどのような影響を及ぼすかについて調査を行い,それらの結果から遺書動画サービスITAKOTO を構築し提供を開始した.本稿では,特に遺書を作成することの効果の調査結果を示すとともに,構築したサービスを紹介し,また現状で明らかとなっている課題について議論する.