著者
山本 太郎 寺西 裕一 梅本 佳宏
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.102, pp.19-24, 2000-11-09
被引用文献数
8

本稿では,電子的に保存された医療情報を広域ネットワーク上で安全に流通させるための一手法として,我々が研究開発してきたXMLコンテンツ流通管理システム'iSquare'を用いた医療情報システムの実現方法を示す.iSquareを医療情報システムに適用させるために,(1)汎用的条件に応じた開示制御を実現するための,拡張XPath記法を用いたコンテンツ利用制約管理機構,(2)緊急時のルールを優先させるための,優先度を考慮したポリシー制御機構,(3)医師等の属性を証明するための属性認証機構の拡張を行っている.これらの拡張により,柔軟な開示条件設定のもと,信頼できる利用者に対してのみ開示制御を行う医療情報システムの実現が可能となった.This paper describes an implementation of the safe, distributed medical information system on our XML content sharing system, 'iSquare'. To apply iSquare to medical information system, we extended iSqure as follows: (1) the usage restriction management system using extended XPath notation for an access control which allows multi-purpose conditions, (2) the policy management mechanism which gives priority to emergency rules (3) the attribute authentication mechanism to certificate the personal attribute like 'doctor'. These extensions enable iSquare to be a platform for a reliable, distributed medical information system which has flexible access control.
著者
松下 直樹 井口 広義 和田 匡史 大石 賢弥 岡本 幸美 寺西 裕一 神田 裕樹 山根 英雄
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.201-205, 2014 (Released:2015-02-11)
参考文献数
27

頰部に発生する腫瘍として耳下腺に付属するステノン管および副耳下腺を由来とするものが認められるがともに頻度は少ない。また原発がステノン管なのか副耳下腺なのかはっきりしないことも多い。しかし過去の報告からはステノン管を原発とするものは扁平上皮癌が多く,副耳下腺を原発とするものは粘表皮癌が多く扁平上皮癌は少ない。今回われわれはステノン管が原発と考えられた扁平上皮癌を1例経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。症例は71歳の男性。右頰部腫脹を主訴に受診され,画像所見から副耳下腺扁平上皮癌として手術を施行した。術後の病理所見などを含めて総合的に判断すると,ステノン管が原発の扁平上皮癌と考えられた。
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨 アキヤマ トヨカズ テラニシ ユウイチ オカムラ シンゴ サカネ エイサク ハセガワ ゴウ ババ ケンイチ ナカノ ヒロタカ シモジョウ シンジ ナガオカ トオル Akiyama Toyokazu Teranishi Yuuichi Okamura Shingo Sakane Eisaku Hasegawa Go Baba Ken-ichi Nakano Hirotaka Shimojo Shinji Nagaoka Toru
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる. # In Osaka University, a campus-wide IT authentication infrastructure based on Public Key Infrastructure (PKI), which is regarded as a technology providing high security and standard interface to many applications, has been adopted. In this authentication infrastructure, multiple CAs for the different purposes such as signing and encryption, intra-campus authentication and grid system authentication coexist. To realize security and convenience, we developed an online certificate issuance service for those multiple CAs. We also introduced PKI enabled Single Sign-On (SSO) system to provide unified authentication interface. Since the SSO system supports ‘SSO agent’, which provides SSO functionality for web applications by installing a web server module, it is possible to migrate from password authentication to PKI authentication without modifying applications. Furthermore, we established secure and flexible identity management by separating changeable, public user ID and static, internal system ID. Internal system ID is used for managing and federating user profiles among the systems. The mapping between those two IDs is done by the SSO system. In this paper, we describe design and implementation of our authentication infrastructure, know-how of system establishment and future works.
著者
柏崎 礼生 寺西 裕一 高倉 弘喜
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.30-32, 2021-12-15
著者
篠田 裕之 竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.77-82, 2007-03-01

近年のユビキタス技術の発展により、空間センサやユーザの携帯端末から、多種多様なユーザの行動履歴が取得・蓄積可能となってきている。そこで、ユーザの行動履歴から、行動パターンを抽出することで、ユーザが興味を持つと考えられる場所を推測し、推薦するシステムが考えられる。本稿では協調フィルタリング手法を適用し、推薦の対象となるユーザと類似の行動パターンを持つ他のユーザの行動履歴を参照することで、ユーザが行ったことのない場所でも効果的な推薦を行ったり、潜在的に興味のある場所の推薦を行う行動ナビゲーション手法の考察を行う。By the development of ubiquitous technology of recent years, we will be able to acquire and accumulate various action histories of users from spatial sensors and mobile devices. Therefore, a system to recommend the interested places of users by extracting action patterns from action histories of users can be developed. In this paper, we propose action navigation method by collaborative filtering, which can recommend potentially interested places or even a place where users have not been by referring to action histories of other users having a similar behavior.
著者
寺西 裕一 角南 貴司子
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 (ISSN:24357952)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.83-90, 2022 (Released:2022-09-30)
参考文献数
35
被引用文献数
1

歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の境界領域にある疾患である。日常診療においてしばしば遭遇する疾患であるが,正確な診断がなされていないことも多い。本邦では統一された診療ガイドラインもなく,受診した診療科や医療機関により治療方針が異なっている。耳鼻咽喉科医は副鼻腔炎の鑑別診断として歯性上顎洞炎の可能性を念頭に置き,主にCTによる画像診断で根尖周囲を含めて注意深く観察することが重要である。また,比較的軽微な上顎洞内粘膜肥厚や根尖病巣については見逃されている場合があり,歯科治療を受ける機会を逸している可能性があるため注意が必要である。治療は原因歯の感染病巣除去のための歯科治療,副鼻腔自然口閉塞を解除するための耳鼻咽喉科での内視鏡下鼻内副鼻腔手術,抗菌薬治療を病状に合わせて行う。副鼻腔のみの治療では根本的な治癒は得られず,また歯科治療のみでも特に重症例では改善が得られないことがある。耳鼻咽喉科と歯科で連携して診療にあたることが必要である。
著者
小林 靖明 川上 朋也 松本 哲 義久 智樹 寺西 裕一 下條 真司
雑誌
第28回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
pp.238-241, 2020-11-04

現在,VRChat やどうぶつの森などのアバターを使ってコミュニケーションをとるコンテンツが普及しつつある.アバターに関しての研究はすでに行われているがそのどれもが自己に関係したアバターの研究であり,他己に関係したアバターの研究はあまりなされていない.アバターは自己表現の一種であるとともにコミュニケーションコンテンツではコミュニケーションツールの一種ともとれる.このことからコミュニケーションに対して良いとできるアバターの存在を調査する.
著者
木全 崇 寺西 裕一 細川 貴史 原井 洋明 下條 真司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.339-350, 2020-02-15

IoT(Internet of Things)において生成されるデータを,時刻などの連続値をキーとして保存・処理可能な分散クラウドストレージ上で消費電力の削減を実現する新たな管理・制御手法VNLB-ESを提案する.VNLB-ESは,分散クラウドストレージシステムにかかるストレージ負荷・検索負荷・処理負荷を,仮想ノードを用いて効率的に複数の物理ノード(計算機)に分散させる機能を備える.また,要求される処理に必要となるリソース量が少ない状況では,仮想ノードが稼働しない物理ノードを確保して,停止/一時停止状態とする機能を提供する.これら2つの機能の組合せにより,物理ノード間の効率的な負荷分散を実現しつつ,システム全体の消費電力を大幅に削減する.シミュレーション評価,および,実機を用いた評価により,VNLB-ESが,既存の負荷分散方式と比べて最大で電力消費量を70%程度削減できることを示した.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる.
著者
松本 哲 義久 智樹 川上 朋也 石 芳正 寺西 裕一
雑誌
第24回マルチメディア通信と分散処理ワークショップ論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.199-201, 2016-10-12

近年,USTREAM やツイキャスといった,個人がインターネットを介してリアルタイムな映像配信を行えるインター ネットライブ放送サービスが普及している.我々の研究グループでは,異世界放送システムと呼ぶ,分散型映像処理を用いたインターネットライブ放送システムを研究開発している.異世界放送システムでは,計算能力の高い映像処理サーバを用いることで,映像処理にかかる時間を短縮しつつ,映像データを配信できる.インターネットライブ放送では,放送禁止区域に入ると画面を黒くする,放送者以外が写っていればモザイクをかける,といった放送者の意図に応じた映像処理を行うことがある.これらの映像処理を自動的に行うことで放送者の操作回数を削減できるが,これまでの異世界放送システムでは,放送開始前に設定された映像処理を放送者や視聴者の指示に従って付加することしかできなかった.そこで本研究では,放送者の意図に応じて柔軟に自動的に映像処理を行える異世界放送システムのための映像処理ルール記述方式を提案する.提案方式では,映像処理を行うタイミングと条件をルール形式で記述することで,柔軟かつ自動的な映像処理の実現を目指す.
著者
岡村 真吾 寺西 裕一 秋山 豊和 馬場 健一 中野 博隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. DPS,マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.67-72, 2006-03-16
参考文献数
3
被引用文献数
4

大阪大学では、多くの学内システムを統合的かつ安全に機能させるため、全学にわたる公開鍵認証基盤(キャンパスPKI)を構築する計画を進めている。公開鍵暗号を用いた認証を行なうことで、パスワードによる認証において問題となるパスワード解読の脅威に対する耐性を高めることができる。キャンパスPKIを構築するにあたり、ユーザ公開鍵・秘密鍵の管理方法や認証局の運用形態といったPKIの運用方法や、Webシングルサインオンや計算機ログイン認証といったPKIを利用したアプリケーションについての検討を行った。本稿では、それらの検討内容や構築中のキャンパスPKIの構成について述べる。
著者
石 芳正 川上 朋也 義久 智樹 寺西 裕一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.707-720, 2014-02-15

ライブカメラや環境モニタリングなどの用途によるセンサの普及にともない,観測データが連続的に流れるセンサデータストリームの配信に対する注目が高まっている.その中でも,複数の配信先がそれぞれ異なる周期によるセンサデータ収集を要求する環境において,Peer-to-Peer技術を用いて配信先の通信負荷を分散するPeer-to-Peer型センサデータストリーム配信手法としてLCF法やLLF法が提案されている.しかしながら,これらの提案では主にシミュレーションに基づく評価のみが行われており,実環境における有効性は未知数であった.本稿では,当該手法に基づくセンサデータストリーム配信システムの設計と実装について述べ,情報通信研究機構が提供しているPIAXテストベッドを用いた実機評価について記す.Due to the prevalence of sensors such as security cameras or environmental sensors, sensor data stream delivery which means delivering the sensor data every cyclic collection attracts great attention. For sensor data stream delivery, various methods to distribute communication loads in the case of delivering the same sensor data streams to multiple clients have been studied. Some methods which are considered in the case of delivering the sensor data stream that have different data collection cycles are proposed. Although these methods did not evaluate the system performance of distribution delay, jitter, etc. In this paper, we evaluated the Peer-to-Peer streaming system using the PIAX test bed which NICT provides.
著者
竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.555-565, 2006-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
9

近年のインターネットの普及により,個人間コミュニケーションを支援するシステムの重要性が増してきている.そのようなシステムとしてSNS(ソーシャルネットワークサービス)が広まりつつあるが,システム内に明示化された人脈であるソーシャルネットワークを活用したシステムがどのように有効なのか,明らかでない.我々は,ソーシャルネットワークに基づいて口コミ型の情報伝播を行うコミュニケーションモデル「情報伝播モデル」を提案し,本モデルに基づいた実ユーザによる比較実証実験を行うことによって,ソーシャルネットワーク上での情報By the spread of the Internet, the importance of system that supports interpersonal communications increases. Although currently the Social Network Service (SNS) supports such communication, the effectiveness of SNS, which is based on personal network, is
著者
川上 朋也 竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 西尾 章治郎 下條 真司
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3289-3299, 2011-12-15

ユビキタス環境では,現実世界におけるユーザやサービス対象の位置に基づくコ ンテンツである位置依存コンテンツの扱いが重要となる.本研究では,位置情報 に関連するP2Pアーキテクチャである地理的オーバレイネットワークを用い, さまざまな地理的オーバレイネットワークに適用可能な位置依存コンテンツ分散 管理手法を提案する.提案手法ではピアのコンテンツ担当領域はボロノイ領域で 表されるため,既知のピアやコンテンツの配置,分布密度などから未知の領域に おける担当ピアの存在確率を計算することで,効率的に要求コンテンツを取得す る検索アルゴリズムを提案する.本研究では提案手法におけるコンテンツ検索を シミュレーションにより評価し,不要な範囲のピアへのクエリ送信を抑制しつつ, 要求コンテンツを取得できることを確認した.In the ubiquitous computing environment, location-dependent contents, which depends to certain locations in the real-world, play important role to realize various services. In this study, we propose location-dependent content managing mechanism which uses various geographical overlay networks and enables to applicate to them. In our proposal, peer's territory for contents is showed as Voronoi regions. We proposed an algorithm to calculate a probability of peer existence within unsearched area based on found peers, contents, and those density to search required contents. We have evaluated the effectiveness for content search in proposal by simulations and confirmed to reduce queries for unnecessary peer.
著者
中野 雄介 近藤 悟 森谷 高明 大西 浩行 赤埴 淳一 寺西 裕一 西尾 章治郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.5, pp.780-790, 2011-05-01

ネットワーク上の複数PCの計算リソースを用いるグリッドコンピューティングに関する研究が行われてきた.特に,Webブラウザを介して計算リソースを利用することで,より多くのPCの計算リソースを利用できる有効な手法がある.しかし,PCの負荷を考慮せずにリソースを利用するため,ユーザのWeb閲覧を妨げる可能性がある.加えて,計算対象がXMLのような複雑な構造をもち,問題分割の時間を考慮する必要がある場合,効率的に計算できないと考えられる.本論文ではこのような課題を解決する,Web閲覧者のPCの余剰リソースの効率的利用の手法を提案する.本手法はWebブラウザの負荷に応じて計算速度を動的に変化させることで,ブラウザユーザのWebページ閲覧に対する影響を考慮した計算を行う.これにより,Webアプリケーションを提供するために必要なリソースを,Webアプリケーションユーザ自身から収集することが可能となる.また,計算対象問題の分割に掛かる時間を考慮した効率的な問題の分配を実現する.
著者
吉田 幹 奥田 剛 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.402-413, 2008-01-15
被引用文献数
20

ユビキタス環境におけるアプリケーションでは,ユーザの位置を同定したうえで,物理的,意味的に近傍に位置するオブジェクトを探索し,発見された情報やサービスを相互に連携させて高度なサービスを実現する枠組みが必要となる.本論文では,分散環境に散在する情報やサービスを連携させるプラットフォームシステムの1 つの実現形態として,P2P エージェントをモデルとしたPIAX を提案する.PIAX の特徴は,能動的に動作するエージェントに,オーバレイネットワークの持つ強力な情報探索機能を融合させることで,ユーザの地理的位置や情報の特性に基づくサービスの発見と連携をスケーラブルに実現するところにある.オーバレイネットワークについては,新しい機構を組み込むことができ,情報探索のニーズに応じて複数のオーバレイネットワークを切り替える機能を持つ.アプリケーション構築に関しては,エージェント呼び出し機構とエージェントどうしが相互に発見・連携するための簡便なAPI を提供することで,高度な分散エージェントシステムを高い開発効率で構築することができる.本論文では,PIAX のベースとなった概念と現状の設計,マルチオーバレイ,発見型メッセージング(discovery messaging)の機構,ならびに今後の課題について述べる.In the ubiquitous environment, applications must identify the user's current geographical location, discover objects which are located near the users both physically and semantically, and combine the discovered objects to realize highly intelligent services. In this study, we propose a new P2P-based agent platform called 'PIAX', to realize such services. PIAX achieves scalable discovery and automatic cooperation of distributed services by the combination of active agents and resource discovery function of the overlay network. Especially about overlay networks, PIAX can plug in a new overlay network mechanism and has a functionality which changes multiple overlay networks according to the need of applications. Moreover, PIAX provides simple and strong discovery-messaging API for efficient development of applications. In this paper, the basic design and architecture of PIAX, the multi-overlay and the discovery-messaging mechanisms, the current status and future tasks are described.
著者
篠田 裕之 竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 下條 真司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.16, pp.77-82, 2007-03-01
被引用文献数
1

近年のユビキタス技術の発展により、空間センサやユーザの携帯端末から、多種多様なユーザの行動履歴が取得・蓄積可能となってきている。そこで、ユーザの行動履歴から、行動パターンを抽出することで、ユーザが興味を持つと考えられる場所を推測し、推薦するシステムが考えられる。本稿では協調フィルタリング手法を適用し、推薦の対象となるユーザと類似の行動パターンを持つ他のユーザの行動履歴を参照することで、ユーザが行ったことのない場所でも効果的な推薦を行ったり、潜在的に興味のある場所の推薦を行う行動ナビゲーション手法の考察を行う。By the development of ubiquitous technology of recent years, we will be able to acquire and accumulate various action histories of users from spatial sensors and mobile devices. Therefore, a system to recommend the interested places of users by extracting action patterns from action histories of users can be developed. In this paper, we propose action navigation method by collaborative filtering, which can recommend potentially interested places or even a place where users have not been by referring to action histories of other users having a similar behavior.