著者
浜根 大輔 齋藤 勝幸
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

北海道留萌管内は新第三紀の堆積岩を主体とする地質であり、超苦鉄質岩の分布は認められないが、多くの場所で砂金・砂白金を採集することができる。これは堆積岩の原岩に超苦鉄質岩体が含まれていたためと推測される。我々は原岩の超苦鉄質岩体の特徴を把握するために、砂金・砂白金鉱床を構成する鉱物について調査を行っている。今回報告する調査地は初山別村初山別川、羽幌町愛奴沢川、苫前町海岸、小平町上記念別沢川、小平町海岸であり、砂金・砂白金鉱床を構成する鉱物はカムチャツカの超苦鉄質岩から産出する鉱物との類似性が認められる。本発表では天然の炭化タングステンに該当するQusongite、およびPtCu3の化学組成をもつ未命名鉱物の産状について、特に報告する。
著者
徳田 誠 吉朝 朗 上原 誠一郎 宮脇 律郎 門馬 綱一 杉山 和正
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

フェルグソン石 (Fergusonite) はメタミクト状態で産出することで代表的な鉱物の一つである。我々はメタミクト状態のフェルグソン石は加熱されることで、本来の構造に本当に回復しているのか、疑問に感じていた。宮崎県大崩山から産した軽度のメタミクト状態であるフェルグソン石を Rigaku SuperNova X線回折装置に搭載し、回折データを測定し、その構造精密化に成功した。メタミクト化によるブロードな粉末回折図形からでは T 相であると誤解しかねない単斜晶 (M 相)であると結論した。明らかに熱処理前後で回折図形は異なることが分かり、フェルグソン石は熱処理により、メタミクト化の情報が失われることが分かる。
著者
坂野 靖行 豊 遙秋
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

福島県多田野に分布する安山岩に含まれるスカルンゼノリス中の加藤石のEPMA分析を行った.BSE像観察では加藤石は単一粒子において組成不均質を示す.平均化学組成から得られた実験式(Ca = 3として計算)は{Ca3}[Al1.59Fe3+0.20Mg0.07Ti0.02]Σ1.88(Si1.15S0.11□1.74)Σ3[(OH)6.99O4.81F0.16Cl0.04]Σ12である.S及びAl + Fe3+の組成範囲はそれぞれ0.00-0.20 apfu及び1.61-2.00 apfuである.
著者
浜根 大輔 萩原 昭人
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

北海道日高町千栄から本邦で2例目となる森本ざくろ石を見いだしたので、その詳細を報告する。糠平岩体のロジン岩に伴われる緑泥石+透輝石を主体とした岩石の構成鉱物および岩石を切る脈として森本ざくろ石が産出する。分析値をCa+Mg=3で規格化し、12アニオンおよびTi = Fe2+としてFe3+を見積もった実験式は(Ca2.95Mg0.05)Σ3(Ti0.81Fe2+0.81Fe3+0.24Al0.13)Σ1.99[Si2.54(H4O4)0.47]Σ3.01O10.12であり、これは森本ざくろ石に該当する。またSi < 3となることもまた特徴的で、多くのSiが(H4O4)で置換されていると考えられ、仮想端成分であるCa3(Ti4+Fe2+)(H4O4)3の存在が示唆される結果となった。
著者
宮脇 律郎 志村 俊昭 門馬 綱一 松原 聰 加藤 昭
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

河辺石の再定義に向けて、原記載産地の標本を用いた化学組成と加熱処理再結晶化による結晶データの測定を行った。示差熱分析は、4段階の脱水反応による重量減量を示した。メタミクト化した非晶質の未処理試料は650°Cまで加熱すると再結晶化が始まり、立方晶系のパイロクロア石型構造となる。775°Cでジルコノ石の三方晶系ポリタイプ型に相転移する。河辺石の外形は三方晶系に調和的であることから、河辺石の原構造は、三方晶ジルコノ石型と結論される。従って河辺石は、ジルコノ石の希土類置換体と再定義されるべきである。
著者
奥山 史織 加々島 慎一 竹之内 耕 小河原 孝彦
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

新潟県の青海地域は糸魚川 - 静岡構造線(ISTL)の付近に位置し,この地域では多種多様な優白質岩が分布している.岩石記載の結果、優白質岩は黒雲母・白雲母を含むもの、ゾイサイトを含むもの、角閃石を含むものの3種類に分類される.全岩・鉱物化学組成のSr含有量の結果は交代作用の有無を示していると考えられる.ゾイサイトを含むものと角閃石を含むものは交代作用を受け、他の花崗岩質岩石は初生的な組成を保持していると考えられる.