著者
奥山 史織 加々島 慎一 竹之内 耕 小河原 孝彦
雑誌
一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会
巻号頁・発行日
2019-08-13

新潟県の青海地域は糸魚川 - 静岡構造線(ISTL)の付近に位置し,この地域では多種多様な優白質岩が分布している.岩石記載の結果、優白質岩は黒雲母・白雲母を含むもの、ゾイサイトを含むもの、角閃石を含むものの3種類に分類される.全岩・鉱物化学組成のSr含有量の結果は交代作用の有無を示していると考えられる.ゾイサイトを含むものと角閃石を含むものは交代作用を受け、他の花崗岩質岩石は初生的な組成を保持していると考えられる.
著者
高橋 浩 加々島 慎一
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.336-345, 1997-09-25 (Released:2017-07-11)
被引用文献数
1

飯豊山地のざくろ石黒雲母白雲母花崗岩は,足尾帯の堆積岩類中の層理面に平行に貫入した多数の板状小岩体を成している.主に石英,斜長石,カリ長石,黒雲母,白雲母およびざくろ石からなり,中-細粒で優白質な岩相を呈する.全岩化学組成は過アルミナ質で,Al2O2/ (CaO+Na2O+K2O)(モル比)は1.05〜1.19を示す.ざくろ石はスペッサルティン成分に富み(sps.26.69〜46.12),リムでよりMnに富みMgに乏しい逆累帯構造を示す.また,ざくろ石のMn/ (Mg+Fe+Mn+Ca)値(原子比)と全岩組成におけるMnO/ (MgO+FeOt+MnO+CaO)値(モル比)との間には正の相関が認められる.黒雲母のMg/ (Mg+Fe+Mn)値(原子比)と全岩のMgO/ (MgO+FeOt+MnO)値(モル比)や斜長石のAn組成と全岩のCaO/ (CaO+Na2O+K2O)値(重量比)との間にも正の相関が認められる.ざくろ石黒雲母白雲母花崗岩中のざくろ石はスペッサルティン成分に富み,逆累帯構造を示し,ざくろ石の組成と全岩組成の間に相関が認められることから,Mnに富んだ過アルミナ質のマグマから晶出したものと考えられる.また,黒雲母や斜長石もそれらの組成と全岩組成との間に相関が認められることから,過アルミナ質のマグマから晶出したものと考えられる. グラニュライト相泥質変成岩の部分溶融によって形成された日高変成帯の含ざくろ石トーナル岩の組成は,飯豊山地のざくろ石黒雲母白雲母花崗岩に比べ,Or成分に乏しくAn成分に富んでおり,ノルムAn-Ab-Or図上で,両者はコーティクティック曲線によって隔てられている.このことは,日高変成帯に代表される,高温型変成帯の泥質グラニュライトの部分溶融によって生じたマグマから飯豊山地のざくろ石黒雲母白雲母花崗岩を形成したマグマを導くことは難しいことを示している.また,日高変成帯の含ざくろ石トーナル岩中のざくろ石の組成は,飯豊山地のものに比べMnに乏しく(sps.2.4-6.1%),ざくろ石晶出時の温度・圧力とマグマの組成の違いを反映しているものと考えられる.
著者
石川 尚人 東野 伸一郎 吉村 令慧 望月 伸竜 加々島 慎一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、大陸リフトから海洋底拡大へと現在進行しているエチオピア・アファール凹地において、近年拡大現象が起こったDabbahu Riftとその周辺域を対象に、陸上での電磁気探査、地表溶岩流の岩石学的・古地磁気学的解析、無人小型飛行機による航空磁気探査を行い、プレート拡大軸域の磁気異常の分布と構造、その形成過程を明らかにすることを目的としている。今年度は10月22日~11月5日にエチオピアに渡航し、Dabbahu Riftの南方約40kmの地点にリフトの延長方向に直交する測線(約60km)をとり、MT探査(14地点、約6時間観測)と溶岩流からの試料採取(古地磁気解析用18地点53個、岩石学的解析用10地点22個)を行った(現地調査6日間)。MT探査から、測線中央部の地下約4km以深に熱源の存在を示唆する低比抵抗域、その両側には高比抵抗域があることがわかった。同測線で2016年に行った磁場探査のデータ解析から、測線中央部に負、その両側に正の異常がある長周期の磁気異常が確認された。以上から、測線中央部を軸とする拡大現象による上記の磁気異常の形成が示唆された。溶岩流の古地磁気学的解析から、測線東端は逆帯磁、他は正帯磁の残留磁化もち、測線中央部ほど磁化強度が強いこと、上記の磁気異常に重なる短周期の磁気異常の変動が溶岩流の磁化強度の強弱を反映していることがわかった。岩石学的解析から、溶岩流が中央海嶺玄武岩であり、測線中央部からの距離に応じ化学組成が系統的に変化することがわかった。航空磁気探査のため、無人飛行機と磁気センサシステムの製作・調整を行った。また無人飛行機の持込・使用の許可を得るために、エチオピアの関係機関と同国の研究協力者を通じて渡航時を含め折衝し、2018年夏頃に許可が得られる見通しとなった。以上から次年度からの航空磁気探査の実施の目処がたった。