著者
関 俊一 SEKI Shunich
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.65-70, 2012-03-31

“紙切り”という日本の伝統的な技法で、筆者自らが幼少期に体験した“紙切り”の思い出や作品を基に、小学校で実践しているワークショップと図画工作としてのあり方について考察する。鋏で図形を切るという行為は、絵を描くのとはまた違った技術や感覚が必要である。何かを模して紙を切り、具体的に表現する為には、鋏の使い方や紙の特徴を理解し、切る図形のイメージをしっかり記憶することが重要である。紙と鋏で図形を切り取るという一連の流れから、どの様な事を児童が学んだかを具体的に記した。
著者
南 学 MINAMI Manabu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.171-178, 2015-03-31

本研究では、現代の若者がもつ幸福観と価値観との関連から現代の「幸せな若者」(古市,2011)について明らかにすることを目的として検討を行った。結果は、「主観的幸福感」と「くつろぎ追求」とは有意な相関が見られず、「将来無関心」とも相関はなかった。また、幸福観によって若者を3群に分けたところ、「幸せな若者」像に近い「現状満足群」よりもすべてのことを追求する若者像である「全追求群」のほうが、「主観的幸福感」が高いことが見出された。これらの結果から、「幸せな若者」像はすべての若者にあてはまるものではないこと、「幸せな若者」の幸福感がとくに高いわけではないことが見出され、古市(2011)が提唱した若者の価値観の傾向と幸福感を結びつけた「幸せな若者」論は実証性に欠けることが示唆された。
著者
藤田 喜久 都築 章子 今宮 則子 平井 和也 ストラング クレッグ ハルバーセン キャサリン 平賀 伸夫 FUJITA Yoshihisa TSUZUK Akiko IMAMIYA Noriko HIRAI Kazuya STRANG Craig HALVERSEN Catherine HIRAGA Nobuo
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.315-324, 2012-03-31

COSIA (Communicating Ocean Sciences to Informal Audiences) is one of two versions in “Communicating Ocean Sciences (COS)” series developed by Lawrence Hall of Science (LHS), University of California Berkeley.COSIA provides learning opportunities for both undergraduates and graduate students to understand theory andinquiry-based pedagogy in science education. This paper describes the overview of COSIA and its Japanese version development process.
著者
加納 岳拓 岡野 昇 Takahiro KANO Noboru OKANO
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.287-296, 2013-03-31

本稿では、「体育における対話的学び」の視点から授業デザインした跳び箱運動の授業実践を対象とし、跳び箱運動における子どもの学びについて明らかにすると同時に、子どもたちの関係がどのようなときに学び合いが成立しているのかという、体育における学び合いについて明らかにすることを目的とした。その結果、跳び箱運動における学びとして、「第二次空中局面における体勢変化」への参加、「支持跳躍運動における切り返し方(身体つかい)」の立ち現れ、「第二次空中局面における体勢変化」にかかわる動きの共有の三点が明らかにされた。また、体育における学び合いについては、「完成された運動を見合う場」から「未完成の運動を共有する場」へ、「運動者中心の指導」から「運動観察者の指導」への視点を加えることが、体育における学び合いを実質的なものにすることが考察された。
著者
米川 直樹 鶴原 清志 坪田 暢允 吉村 篤司 吉里 秀雄 坂田 利弘 小山 哲 YONEKAWA Naoki TSURUHARA Kiyoshi TSUBOTA Nobumitu YOSHIMURA Atushi YOSHIZATO Hideo SAKATA Toshihiro KOYAMA Satoshi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.315-325, 2014-03-31

本研究は、ゴルフ練習場に通うゴルフスクール生を対象にゴルフ歴、練習状況、経済面、人間関係、ゴルフの上達方法、ゴルフの効果といった側面について男女差について検討することであった。主な結果は、次のようである。ラウンドする相手やラウンドする曜日、コンペへの参加の有無、教わった相手等に男女の差が認められた。また、ゴルフの効果については余暇活動としてのゴルフが身体面、精神面への効果において女子の方が男子よりも高いといったことが特徴的であった。
著者
濱田 匠 菊池 紀彦 HAMADA Takumi KIKUCHI Toshihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.215-222, 2014-03-31 (Released:2017-02-18)

本研究は重症心身障害児(以下、「重症児」とする)のコミュニケーションの特徴を明らかにするために、かかわり手の行動および重症児の行動について詳細な分析を行った。作業療法の場面におけるかかわり手の行動を整理したところ、かかわり手と重症児のコミュニケーションの特徴は、「かかわり手主導で働きかける」、「重症児の期待や合図、要求行動の表出に対応して働きかける」、「重症児の合図や要求行動の後に新たな合図や要求行動を促す」の3つに分類された。このことは、かかわり手の行動に着目することが、重症児のコミュニケーションの特徴を理解していく上で意義があることが示唆された。
著者
富田 昌平 TOMITA Shohei
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.265-272, 2015-03-31

本研究では、サンタクロースとクリスマス行事に対する大人の態度と支援について、2つの質問紙調査によって検討した。研究1では、大学生110名を対象に調査を行った結果、サンタクロースの実在性に対する信念は児童期中頃に肯定から否定へと大きく変化し、その発達変化は子どもに対する期待年齢でもほぼ同様であることが示された。また、サンタクロースの実在性について5歳児と12歳児に質問された場合の回答では、基本的にいずれの年齢の子どもに対しても肯定的回答をするものの、12歳児では5歳児と比較して逆質問(「あなたはどう思う?」)や信念重視(「信じる子どものもとに現れる」)の回答がわずかであるが増加した。研究2では、公立幼稚園・保育園104園を対象に調査を行った結果、クリスマス行事は一部「お楽しみ会」などに名称を変えながらもほとんどの園で実施されており、扮装サンタが子どもの目の前に登場する演出を行っていることが示された。また、扮装サンタ登場の是非については、子どもの夢を壊す可能性や恐怖誘発の可能性、宗教色の強さ、商業主義的傾向などのリスク要因が挙げられたものの、多くは肯定的意見であり、その理由として、サンタクロースやクリスマス行事が持つ象徴的意味合いや、想像世界への没入、経験の多様性、リアリティ感覚、幸福感情や驚異の念、異文化や地域社会との交流機会などを子どもに提供し得ることが指摘された。大人の多くはサンタクロースやクリスマス行事の積極的な意味を認め、肯定的な態度を示し、子どもの体験がより豊かになるように支援していることが示唆された。
著者
秋元 ひろと AKIMOTO Hiroto
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.29-38, 2015-03-31

Hume describes his Treaties as an achievement that would bring about revolutionary changes in philosophy. In this paper, I focus on his theory of causation and show that it is an attempt to accomplish a revolution not only in epistemology but also in metaphysics. In opposition to the traditional conceptual setting, which locates the concept of causation in the domain of knowledge, Hume locates it in the domain of probability. In this sense, his theory of causation is a revolution in epistemology. Rejecting every existing account of causal power, Aristotelian, Scholastic, and Cartesian, all of which take causal power to reside in some objects or other, Hume maintains that it resides in the mind that, having observed the constant conjunction between two kinds of objects, passes from the idea of one object to its usual attendant. In this sense, his theory of causation is a revolution in metaphysics.
著者
余 健 YO Ken
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.217-225, 2015-03-31

2009年度以降、三重県四日市市南部地域で継続してきた臨地方言調査の調査結果を生かした三重大生による各小学校での授業の内、2011年2月に実施した水沢小学校での授業に焦点を当て、その成果と課題の検証を行った。三重のことばに自信を持てていない若年者が多い中、公教育の場で、ビデオ教採等を有効に活用しながら、方言を題材に取り上げる意義は大きいといえる。
著者
大隈 節子 清水 一巳 OKUMA Setsuko SHIMIZU Kazumi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.131-140, 2014-03-31

本研究は運動部活動と高校生のアイデンティティとの関連性について検討するために、エリクソンによって定式化された自我の発達段階図式に則り、心理社会的発達課題の達成状況を測定評価するために開発された質問用紙EPSI(全8段階56項目)の中から選択した8項目について男女別に運動部所属者、文化部所属者、無所属者で比較検討を行った。男子においては8段階中の6段階について、女子においては7段階の発達課題において運動部所属者の方が有意に達成傾向にある者の割合が多いという結果であった。