著者
中澤 達哉 近藤 和彦 森原 隆 小山 哲 小森 宏美 池田 嘉郎 古谷 大輔 小原 淳 阿南 大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究2年目の平成29年度は、当初の研究計画どおり、以下の研究実績があった。①個別的な実証研究を進めるための史料収集と分析の継続:個別的な実証研究を進めるための一次史料の収集とその分析を継続した。前年度中に確立された方法論的な分析枠に基づき、当該年度はおもに各国ジャコバン主義に対する近世複合的国家編成の影響分析およびジャコバン・ネットワークの機能分析、同時に当該テーマの研究文献の収集を行った。②研究者間の知見の共有と比較研究:今年度は各国ジャコバン主義に対する近世複合的国家編成の影響分析の進捗と知見をすべての研究者が共有し各国の事例を比較検証するために、平成29年7月に東海大学で研究分担者・池田嘉郎氏の著書『ロシア革命』の合評会、30年3月に早稲田大学で年度末の研究成果報告会を行った。③外国研究者の招聘による国際ワークショップの開催:平成29年9月には、連携研究者のスロヴァキア科学アカデミー主任研究員エヴァ・コヴァルスカー(Eva Kowalska)氏を招聘し、早稲田大学で国際ワークショップ Reconsidering Jacobin Thought and Movements in Modern European World を開催した。本ワークショップは、現地研究者の先端的知見に学ぶだけでなく、現地研究者が専門外とする地域を研究対象とする本科研メンバーの知見をもって、現地研究者に対して日本側からジャコバン主義の総合的再検討への議論を新たに提言する目的で実施された。コヴァルスカー氏の報告“The Concept of Modern Society in Pre-Modern Hungary:The Contribution of Joseph Hajnoczy”は本科研テーマと一致したもので、平成30年度にヨーロッパで開催予定の国際シンポジウムの道筋を明確化することができた。
著者
小山 哲
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-20, 2008-03-30

現在、ラテン語は日常生活で用いられる言語ではない。にもかかわらず、ポーランドでは、「ラテン語文化」(latinitas)を基盤とする文化圏に帰属しているという感覚は、今日なお根強いものがある。この帰属意識は、近世(16〜18世紀)のポーランド・リトアニア共和国の文化的な遺産に深く根ざしたものである。本稿では、近年の社会史・政治文化史研究の成果をふまえながら、16・17世紀のポーランド・リトアニアにおける「生きた言語」としてのラテン語の文化的・社会的機能について再考した。近世のポーランド・リトアニアに滞在した外国人は、ポーランドの貴族層(シュラフタ)が幼少時からラテン語を熱心に学んでいると記している。じっさい、17世紀初頭のある少年貴族の肖像画には、彼が学んだラテン語の書物(キケロ、セネカ、ウェルギリウス、オウイデイウスなど)が描きこまれている。貴族層のラテン語熱は、16世紀の人文主義の興隆を背景とする比較的新しい現象であった。16世紀から17世紀前半にかけて、シュラフタは子弟を西欧に留学させ、古典語と修辞学を学ばせた。また、16世紀後半から共和国各地に創設されたイエズス会の学校は、ラテン語の実践的な運用能力を高める教育を行ない、人気を博した。多様な言語集団からなるポーランド・リトアニア共和国では、ラテン語はポーランド語と並ぶ重要な公用語であった。ラテン語の知識は、共和国の支配身分であるシュラフタにとって、宮廷・議会・法廷などで活動するために不可欠の教養であった。また、古代ローマの共和政を理想とするシュラフタの国家観も、ラテン語文化との一体感を強める要因となった。シュラフタは、演説や書簡でしばしばラテン語とポーランド語を混用する独特な文体を用いた。ラテン語の挿入は、彼らの発言の「貴族らしさ」を高める効果をもっていた。当時の史料には下位身分のあいたでもラテン語が通用したという証言があるが、彼らのラテン語は一種の「ピジン語」であったと考えられる。また、ラテン語は、女性にはふさわしくない言語であるとみなされていた。このように、多民族・多言語国家としての共和国において、ラテン語の知識は、支配身分であるシュラフタを文化的に統合する要素の1つであった。他方で、ラテン語は、貴族男性を女性や下位身分の人びとから区分する差異化のコードとしても機能した。ラテン語はまた、共和国の対外的なコミュニケーション言語として重要な役割をはたすと同時に、東方正教圏に人文主義が波及するさいの媒介語ともなった。近世ヨーロッパの東部辺境においてラテン語が担っている多様な機能は、近代的な国民言語が成立する以前の社会における古典語の役割、ヴァナキュラーな言語と古典語の関係、等の問題について、より広範な比較史的検討を促している。
著者
倉地 卓将 村瀬 香織 西出 雄大 小山 哲史 佐藤 俊幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.122-127, 2013

注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
著者
飯泉 達夫 矢崎 恒忠 加納 勝利 小磯 謙吉 小山 哲夫 東條 静夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.878-885, 1986

ヒト腎細胞癌20症例よりえられた組織を対象としてその細胞骨格のうち,中間径フェラメソト蛋白質(サイトケラチン,ピメンチン)についてモノクローナル抗体を用いる蛍光抗体法,蛍光染色法により検討を行い以下の結果をえた.1)正常腎組織ではサイトケラチンは尿細管上皮細胞に,ビメンチンは間質細胞に認められた.2)ヒト腎細胞癌の中間径フィラメントではサイトケラチンは癌細胞に65%,ピメンチンは癌細胞に75%,間質細胞に65%証明された.3)サイトケラチンは腎癌細胞の異型度,浸潤度が進むにつれてその出現頻度が低下し統計学的に有意であった.4)以上より中間径フィラメントは腎癌細胞の分化と進展を推定する上で有力な指標であると考えられた.
著者
山縣 邦弘 小山 哲夫 小林 正貴 成田 光陽
出版者
Japanese Society of Nephrology
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.1045-1052, 1990

This study was undertaken to analyze the mechanisms of immune complex formation in Heymann nephritis. We isolated two different RTE antigens by gel filtration and prepared rabbit antisera against these antigens. By the indirect immunoflurescence method using normal rat renal tissues, the 65, 000 molecular weight antigen (=β) was observed not only in RTE, but also in the glomerular epithelium, epithelium of the small intestine, liver and spleen. On the other hand, the 35, 000 molecular weight antigen (=γ) existed in RTE and epithelium of the small intestine. When rats were injected intravenously with rabbit antiserum against β, glomerular depositions were observed within two hours. In rats injected with rabbit antiserum against r, no glomerular deposition was seen with-in 2 days, but fine granular depositions were observed after 6 days. When rat kidneys were perfused with rabbit antiserum against γ in saline by a single pass method, no glomerular deposition was seen. However, in rat kidneys perfused with preformed soluble γ-anti γ IC, fine granular depositions along the capillary walls were seen soon after the perfusion. Further the antigen which was reacted with anti γ antiserum was isolated from normal rat serum by immuno-affinity chromatography. These facts suggest that the mechanisms of IC formation may be due to not only in situ immune complex formation but also circulating immune complex deposition in Heymann nephritis.
著者
澤木 幸子 蔡 〓 吉田 行輝 武田 徹 猪俣 公宏 小山 哲 石倉 忠夫
出版者
中京大学
雑誌
中京大学体育学論叢 (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.53-58, 1996-10-31

The purpose of this study was to investigate the influence of an assisting mark, The a cross (a vertical line and a horizon line), which was put on the target to stabilize aiming in archery. Subjects in this study were nine male and one female university archers. They were required to aim at the center of the target for 5 sec. as in archery competition. Dependent valuables were frequency, angle of eye movement and eye fixation time. This study assumed that the presense of a cross on the target makes it easier to aim than under normal conditions. Hypotheses were as follows : (1) Frequency of eye movement for the cross condition is less than that for normal condition in aiming. (2) Eye fixation time for the cross condition is longer than that for normal condition in aiming. (3) Angle of eye movement on cross line condition is smaller than that for normal condition in aiming. The results of analysis indicated that the three hypothesizes were supported and that subjects focused attention on the center of the target when the cross was present on the target.
著者
篠原 琢 戸谷 浩 吉岡 潤 割田 聖史 青島 陽子 古谷 大輔 小森 宏美 秋山 晋吾 中澤 達哉 小山 哲 池田 嘉郎 平田 武 梶 さやか
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトは、ポーランド=リトアニア連合王国(ロシア帝国西部諸県)、ハプスブルク帝国、沿バルト地域を中心に、近世から現代にいたるネーション、およびナショナリズムの動態を分析してきた。ここでは近世から20世紀にいたる各時代の政治社会におけるネーションの多次元的な機能と構成が分析された。近世期のネーションは、多様な政治的、文化的文脈で構築され、さまざまな価値と関連付けられ、ネーション理解は単一の政治社会に収斂しない。近代のネーションは政治社会における多様な交渉を全的に文脈化する傾向をもつ。本研究は個別研究と比較史の方法で境界地域におけるこの過程を明らかにした。
著者
小山 哲男 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20031, (Released:2020-10-22)
参考文献数
18

目的:中枢神経系疾患(脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患)は,リハビリテーション科の診療対象として患者数が多い.脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患はすべて脳疾患の範疇であるが,そのリハビリテーション診療はそれぞれ異なる.今回,計量テキスト分析を用いて年次学術集会の抄録を解析し,これらのリハビリテーション診療の特徴を調査した.対象および方法:第56回日本リハビリテーション医学会学術集会(2019年)の公募演題1,424題を解析対象とした.脳卒中,頭部外傷,神経変性疾患の疾患群別にコーディングを行った.類似度の指標であるJaccard係数に基づき,それぞれの疾患群について関連語抽出を行った.結果:脳卒中群402題について,関連語の上位10個は「麻痺,回復期,入院,発症,病棟,機能,FIM,障害,改善,退院」(係数0.36~0.23)であった.頭部外傷群36題について,関連語の上位10個は「外傷,交通,高次,事故,転落,脳,就労,脳症,血腫,機関」であった(係数0.15~0.08).神経変性疾患群96題について,関連語の上位10個は「認知,MMSE,高齢,介護,在宅,施設,骨折,障害,Yahr,疾患」(係数0.18~0.09)であった.考察:年次学会抄録集を計量テキスト分析により解析することで,それぞれの疾患群のリハビリテーション診療の体系化が可能であった.