著者
新井 康允
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
pp.105-115, 2001-03-31

幼児の自由画には、モチーフ、色彩、構図、表現などに男女差が見られる。男の子は自動車や電車など動くものを好んで描き、色彩は寒色系で、構図は3次元的なものが見られる。一方、女の子の絵の構図は2次元的で、人物、草花、家などを並列的に、同一平面上に描くのが特徴的である。胎児期から副腎性のアンドロゲンが過剰に分泌される先天性副腎過形成という遺伝疾患があり、この病気の女の子の絵は男性化傾向が極めて強い。このことから、幼児の自由画の男女差の成因に胎児期のアンドロゲンが関与している可能性が考えられる。
著者
筒井 末春
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.139-150, 2003-10-31
著者
飯田 静夫
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
pp.145-154, 2001-03-31

不老不死は昔から人々の変わらぬ夢で、それを求めて多くの努力がなされてきた。しかし、老化や寿命を決めている機構については今でも不明のことが多い。バイオサイエンスの立場からこれまでに明らかにされたことを基にこれからなにができるか考えて見たい。寿命を表すのに平均寿命、平均健康寿命、最長寿命などの用語が使われている
著者
牧野 由加里
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:18831907)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.27-35, 2021-11-20 (Released:2022-11-17)

少子高齢化の進むわが国において,介護離職は大きな問題となっている.とくにその数の不足が問題となっている看護師の介護離職は,看護師一個人の問題であると同時に一般労働者の介護離職につながる問題でもある.そこで,看護師の就業と介護の両立に関する研究の動向を整理し,今後の研究課題を明らかにすることを目的に文献検討を行った.その結果,以下のことが明らかになった.就労と介護を両立している看護師像は,40~50歳代で,交代勤務をしながら,介護保険サービスを利用し,就労と介護との葛藤を抱え,選択の狭間で揺れながら自分の親を介護している,である.就労と介護の両立支援課題として,職場の環境整備,社会資源の充実,介護が始まる前からの対策等が挙げられる.今後の研究課題として,就労と介護の両立をポジティブなものとしても捉えること,就労と看護を両立している看護師の世界観の変容や個人の体験の複雑な文脈の分析であることが見出された.
著者
山田 侑平
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
pp.十一-三十三, 2001-03-31
著者
久住 武 久住 眞理
出版者
人間総合科学大学
雑誌
人間総合科学 (ISSN:13462598)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.23-45, 2004-10-31

めまい患者が訴える症状には、自律神経の機能異常が関与していると考えられるものがある。そこで、我々はめまいと自律神経機能の関係をみる目的で起立で起こる収縮期血圧の変化を指標にして循環調節機能を検討した。この研究は、循環器疾患がないめまい患者125例を対象として行い、診断による分類と検査日のめまいの有無を基準に患者のグループ化を行った。検査方法は、Schellong testに準じて起立試験を行った。血圧は、非観血的連続血圧測定装置を用いて左右の中指で測定し、以下の3区間で結果を比較した。(1)起立直前の2分間、(2)起立後3-5分、(3)起立後8-10分。1解析パラメータは、RR間隔、収縮期血圧、血管運動性の交感神経活動、心臓の迷走神経活動、圧受容器反射とした。結果及び考察;(1)安静状態。RR間隔に及ぼす影響は、"診断分類"よりも"めまいの有無"の影響が強く、I群よりもH群が約100msec速かった。また、II群の収縮期血圧は、I群よりも約10mmHg高い値だった。(2)動的状態。起立試験でRR間隔は100-140msec短縮し起立後10分まで持続したが、正常者と患者群の差はなかった。起立試験で患者群の収縮期血圧は5-10mmHg上昇したが、正常者の変化より小さかった。しかし、一部の人は低下した。起立で上昇した血圧は正常者も患者群も10分後には少し元に戻る傾向があった。中でも、II群の血圧はほとんど変化が無く、II群のメニエール病の血圧は低下した。これらのことから、患者群の循環調節反応はRR間隔より収縮期血圧の反応が悪い事がわかった。この現象は、血管支配の交感神経活動の変化からも証明された。次に、起立に対する循環調節系の反応を△SYSを基準にして検討した。その結果、正常者の循環調節反応十は、以下に示す項目の相関係数が高かった。△SYS:△SYS-LF(r=0.86)、△SYS-LF:△BRS(r=-0.78)、△BRS:△RR-HF(r=0.59)、△RR-HF:△SYS(r=-0.58)。患者群は以下の通りである。△SYS-LF:△BRS(1群 r=-0.47、H群 r=-0.58)。更に、△SYS、△SYS-LF、△BRSの左右差について検討した。正常者はすべての項目で左右の相関関係が認められたが、患者群は△SYSだけだった。めまい患者の、静的な循環調節機能は動的な状態と異なっていると考えられる。安静時の高い心拍は副交感神経活動が低下していたことによる現象と考えられ、動的状態の血圧の変化は血管運動性の交感神経活動の興奮が低下していたための現象と考えられる。