著者
吉野 政治 YOSHINO Masaharu
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.170(11)-160(21), 2010-12-25

西洋では太陽中心説あるいはコペルニクス説と呼ばれるものを東洋では地動説と呼ぶ。この名には、語の創始者である蘭学者志筑忠雄の、陽である天は動き、陰である地は不動であるとする陰陽論の考え方を完全には克服できなかった個人的思想が反映されている。彼は動不動の相対論を展開しつつ、宗学の特徴である二つの主張西洋の新説は早く東洋でも説かれていたこと、また東洋哲学は西洋科学より優れていることを繰り返している。既に宗学を克服した我々が地動説という語を使用しているのは、一度定着した言葉は容易に変えることはできないという言葉の保守性によるのである。
著者
吉海 直人 Yoshikai Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.150(39)-142(47), 2017-12-26

いろはかるたの基礎資料として「教訓いろはたとゑ」を入手することができたので、その画像を影印で紹介し、資料として提供したい。ただし掲載されていることわざは、大半が「京いろは」とも「江戸いろは」とも異なっており、従来の分類では収まりきれないものである。その意味でも今後の分析・検討が期待される。
著者
吉海 直人 YOSHIKAI Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.146-139, 2020-01-08

冷泉家には古い百人秀歌の他に、もう一冊(四冊目の)百人秀歌が所蔵されていた。それは冷泉為村筆の写本であり、為村の跋文が付されている。その跋文には、百人秀歌こそは『明月記』の記事に書かれているものであり、百人一首は為家が後に改訂したものと説かれている。本書は書写年代こそ新しいが、従来の百人秀歌草稿本説を二百年ほど遡らせる貴重な証言資料と思われるので、ここに紹介かたがた内容の考察を行なってみた次第である。