著者
小針 誠
出版者
同志社女子大学
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.119-127, 2005-12-25

論文 (Article)
著者
小針 誠
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.422-434, 2004-12-30

This research based on a questionnaire survey of 604 mothers discusses different social classes of parents who choose the national or private elementary school for their children in the metropolitan area. According to the results of this survey, the following trends appear to be evident. Parents who choose private schools are likely to hold highly respected occupations with higher incomes. They are about five years older than the regular parents of the kindergarteners. Those fathers who meet the requirements for the elementary school entrance examination are from the age group of around 35 years old or older and are in the administrative position in their companies. On the other hand, mothers that have made the choice of not having more than one child was because they are already too old to give birth. Moreover, many of those mothers with much cultural capital, helped their children's successful performance at the entrance examination. This, in fact, contributes to the cultural reproduction of social classes. As a result of these factors, the parents succeed increating a luxurious educational environment where they invest economic capital and cultural capital in "only one child".
著者
小針 誠
出版者
同志社女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は以下3点の研究成果を発表した。第一に、2006年12月〜2007年1月にかけて実施した質問紙調査「現代の中学生の日常生活と人間関係に関する調査」(P県の中学2年生n=1094)の分析と発表をおこなった。本年度は心理主義的な意識、友人関係、スクールカウンセリングの利用頻度と属性との関連を中心に分析した。以上の分析結果については学会大会での報告ならびに研究論文として発表した。なお、同分析報告の一部は「日本教育新聞」(2007年10月22日号)において取り上げられるなど、社会的に注目されるところとなった。第二に、昨今の「いじめ」言説を手がかりに、本来子どもたちの社会関係としての「いじめ」問題が「こころ」の問題として取りあげられていることを批判的に論じ、研究論文としての発表および一般市民に対する講演活動等をおこなった。第三に、社会・教育・子どもの心理主義化の問題も含めて、現代の子どもたちの置かれた諸状況に関して『教育と子どもの社会史』(梓出版社・全234頁2007年5月刊)と題する単著書にまとめた。以上3年間にわたって、現代社会における子どもたちの心理主義化の問題について、文献研究、インタビュー調査、質問紙調査をほぼ予定通り実施し、当初予定していた本研究課題を達成することができた。
著者
小針 誠
出版者
同志社女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本課題研究は、保守化・個人化する現代日本において、学校成員(教師や生徒・児童)の自己意識、国家意識(排他的なナショナリズムも含む)、その中間集団としての「社会」(家族・友人・学校・地域社会・教会など)に対する意識に関して理論的・実証的に明らかにし、子どもたちにおける社会的紐帯の復権を目指す臨床的なアプローチを試みた。
著者
小針 誠
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は私立小学校の学校経営を巡る諸問題や特質を、イギリスのPrep School(私立初等教育機関)との比較を通じて明らかにしようとするものであった。最も大きな研究成果は2015年10月に刊行した『〈お受験〉の歴史学』(講談社選書メチエ)であった。同書では日本の私立小学校の入学志向と入学選抜の問題を明治期から今日まで解明しつつ、イギリスのPrep Schoolとの比較を通じて、学校経営等の特質を明らかにした。本書は新聞各紙の書評などで取り上げられ、一定の社会的反響が得られた。
著者
小針 誠
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.422-434, 2004-12-30 (Released:2007-12-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5

This research based on a questionnaire survey of 604 mothers discusses different social classes of parents who choose the national or private elementary school for their children in the metropolitan area. According to the results of this survey, the following trends appear to be evident. Parents who choose private schools are likely to hold highly respected occupations with higher incomes. They are about five years older than the regular parents of the kindergarteners. Those fathers who meet the requirements for the elementary school entrance examination are from the age group of around 35 years old or older and are in the administrative position in their companies. On the other hand, mothers that have made the choice of not having more than one child was because they are already too old to give birth. Moreover, many of those mothers with much cultural capital, helped their children's successful performance at the entrance examination. This, in fact, contributes to the cultural reproduction of social classes. As a result of these factors, the parents succeed increating a luxurious educational environment where they invest economic capital and cultural capital in "only one child".
著者
小針 誠
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究課題は、国立・私立小学校を志望する家族の社会階層、教育意識・志望理由の変容が学校組織や学校経営に与えた影響を、この20年の定点観察を通じて明らかにする。申請者が2000年に実施した国立・私立小学校を志望する保護者対象の質問紙調査に新規の項目を追加した質問紙調査を2020年に追施、両者を時系列的に比較し、小学校受験層の社会階層や教育意識の変化を捉える。この20年の間、学校を取り巻く環境は大きく変容し、学校に対する保護者の教育期待や要望は著しく多様化した。私立小学校のなかには、志願者がほとんど減少しない学校の一方、存亡の危機に直面する学校も少なくない。
著者
小針 誠
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.450-461, 2000-12-30

本稿の目的は 1945年以前の東京・私立小学校が存続もしくは淘汰された要因を明らかにすることにある。本研究は私学財団法人(学校法人)内の学校間の威信を巡る力学に着目する。仮説は以下の通りである。私学財団法人の最上級学校の威信が上昇すればするほど、その附属小学校の入学者は増加し、さらにエスカレーター式に併設上級学校に進学しようとする傾向が強まる。私立中・高等教育機関の威信はチャーターリングに委ねられていた。チャーターリングとは卒業生のライフコースやそれに対する社会の承認であり、当該学校の卒業生が就職や婚姻といった社会における処遇、または、どんな学校に進学したかで決定される。私立中・高等教育機関の威信の上昇は、併設小学校の入学者の増加を齎し、さらに併設上級学校へのエスカレーター進学を制度化した。これは上級学校の併設私立小学校に対する「威信のトップ・ダウン効果」と呼ぶべき現象である。その結果、私学財団は初等教育機関と併設上級学校との間にエスカレーター進学システムを制度化し、一貫校として確立した。この一貫校の教育システムは主に子弟・子女に階級再生産の手段として高い学歴を望んだ新中間層を惹きつけた。この彼らのお陰で、戦前期には39あった私立小学校のうち、威信のある併設上級学校を有する私立小学校(19小学校)は存続し得たのであった。例えば、慶應義塾幼稚園舎、日本女子大学校附属豊明小学校、成城小学校、暁星小学校、東洋英和女学校小学部がそうである。これら存続し得た私立小学校と対比して、淘汰された私立小学校(16小学校)にほぼ共通した特徴は併設上級学校を持たない単一型の運営(13小学校)もしくは威信のない中・高等教育機関を併設していた点(3小学校)を挙げることが出来る。つまりこれらの学校は「威信のトップ・ダウン効果」を期待できない私立小学校であった。以上を踏まえると、私立小学校志向の保護者は併設上級学校にエスカレーター進学制度を利用して優先的に入学することを望んでいた。つまり、彼らが望ましいと思っていた教育戦略と存続し得た私立小学校のシステムとは合致し、それは特にエスカレーター教育制度を利用した学歴取得にあったと言えよう。