著者
衣川 清子
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.433-448, 1999-03-01

This paper shows a potential use of rock/pop songs in a lecture on American culture and society. Selected songs here are considered appropriate teaching materials when we talk about alienation/isolatedness that non-Americans (and immigrants) feel, serious problems and harsh realities in America, and more positively, American dreams and hopes, all of which are important aspects of American society and culture.
著者
林田 弘美
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.275-298, 1999-03-01

Regrettably, Mineko Matsumura, a tanha poet and translator, is long for gotten. Her excellent translations into Japanese of Irish literature were once much praised by Kan Kikuchi and Ohgai Mori among others. This paper deals with her inner life in terms of the conflict between a realist and a fancier. The strife could encourage her to produce outstanding translations as well as many impressive tanka poems.
著者
坂本 清恵
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.39-45, 1997-03-01

1996年春学期の国語表現で、表記を正すために作成した手紙文例のうち「是非いらっしゃってください」を「いらしてください」や「来てください」などに訂正したものがあった。表記の誤りではなく、敬語表現の誤りと誤解して訂正したものと思われる。必ずしも表現の誤りと考えたとはいえなくとも、表現としては馴染みのない、少しおかしいということなのであろう。このことは、「いらしてください」や「来てください」が日常的に使っている馴染みのある敬語としてとらえられていることを示すと同時に、「いらっしゃってください」は敬語的には誤りであるという意識に繋がるものであることを示すと思われる。そこで、訂正のなかで、一番多かった「いらして」を中心に、「いらっしゃって」や他の敬語表現との使用状況・使用意識について調査・考察を行った。
著者
宮澤 眞一
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.195-215, 1998-03-01

幕末に二度にわたって来日したローレンス・オリファントは、主として1858年のエルギン卿使節に随行したときの出来事を伝えた二巻本の紀行記によって、近代日本史に名前を残しているけれども、『冒険生涯のエピソード』と題した自叙伝に、「或いは転石に付いた苔」と副題で解説しているように、来日前のオリファント青年と言えば世界各地を渡り歩き、それも民族対立や反乱の緊迫した現場ばかりを嗅ぎつけては急行する冒険作家として知られていた。あまりに各地を転がり廻るので、一体どのような生活のステップを歩んだ人なのかよく分からない。冒険家、法律家、外交官、スパイ、特派員、紀行作家、小説家、社交家、国会議員、宗教家、事業家、など様々な仕事をその間にしてきている。本人としては様々な体験を各地でしたからこそ、知恵という苔が付いた、と言いたいのであろうが、1860年代に入ると、奇妙なハリス宗教集団に加わるという形で、この苔は具体的な一つの形に現れることにもなる。本稿では、一見不可解に見える冒険家の生涯について解明の糸口を探るために、来日に至るまでの性格形成を中心に論じ、自己分析の深化に焦点を当てる。
著者
鬼塚 雅子
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.137-170, 1998-03-01

1910年に刊行されたWalter de la Mareの小説The Returnは一般に怪奇小説に分類されることが多い。物語は一人の平凡な男に憑依現象が突然ふりかかる墓場の場面から始まるが、その内容は怪奇現象そのものより、主人公の心理状態-別の意識の侵入によって自分を失うまいと必死にもがき抵抗する精神的苦闘の様子-が中心に、生々しく描かれている。本稿では、この小説を怪奇小説と心理小説の両面から分析し、possession、identity、personalityについて論じる。また、作品を通してde la Mareが表現しようとした生と死及び時間の定義について、さらにはタイトルのreturnのもつ意味についても考察する。