著者
藤原 耕三 槇 康子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.20-28, 1959-06-01

チクロヘキシルスルファミン酸ソーダを、こしあん、しるこ、ぜんざいに使用してその味見試験を行った。三者の何れも場合も佐藤の甘さの40%をチクロヘキシルスルファミン酸ソーダで置きかえても著しい影響はなかったが、その使用量を増して60%以上にすると二、三問題点が生じた。せんざいにチクロヘキシルスルファミン酸ソーダを使用する場合は砂糖の一部を水あめで置き換えれば味は向上し、片栗粉を混入すると外観上良好であって両者を併用したものでは全糖品に優る結果を得た。
著者
塗師 静子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.30-34, 1958-06-01

以上の結果報告は,極めて漠然とした観察記録であるが,私はこの実験によって次の事柄について確認した。1)休産時も一定量の緑餌を連続して与えることが必要である。2)多産の鶏については,一層緑餌の混合割合を増すことが望ましい。3)緑餌の種類は,出来るだけカロチンも共有するものを選び,又,人間が普通調理に依っても利用し難いプロV.Aが相当沢山あるが,(大根葉,人参葉等)この様に色素と共に鶏の飼料に混入されれば,それだけ卵黄中に多くのプロV.Aを増し,又調理上からも食品自体のもつ天然色素を増加出来るという点から,今後もつと廃物を利用すべきである。養鶏場に於て,生産数のみを主体にする傾向があるが,一考を願いたいと思う。
著者
藤原 耕三 堀井 安姫子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.24-29, 1957-03-25

煮干を用いてその煮出し汁に移行する成分を測定した。得られた結果は次の如くである。1)水道水1Lに対して20gの煮干を使用して沸騰水中で浸出する場合,最初の1分間における浸出量は著しく,7分以後においてはそれ以前に比して低下するが15分後においても尚相当量の浸出を見た。2)浸出されるL-グルタミン酸は,浸出時間に拘わらずその液の全窒素,アミノ態窒素に対しほゞ一定の比率を示し,グルタミン酸窒素の各々に対する比率は約0.7%,4%であった。3)煮干の煮出し汁は鰹節のそれに比して窒素成分に乏しく脂肪が著しく多い。4)煮干を粉砕して使用した場合,各成分の浸出量は丸ごとのものに比して増加し浸出時間の短いものでは2〜3倍を示すが,この比率は浸出時間が長くなると次第に低下した。特にアミノ態窒素においてその傾向が著しかった。5)使用する煮干の量が水の1〜4%程度においては浸出成分は使用煮干量に比例して増加した。終に臨み本研究に種々御指導を賜った阪大工学部教授寺本四郎先生に深甚の謝意を表します。
著者
滝川 鈴彦
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.137-146, 1965-07-01

カントの実践哲学における道徳と幸福との関係を問うことは,かれの人間把握の具体性を明らかにする上に,きわめて重晏な手掛りとなる問題である。筆者は,さきに,本紀要第4号において,「カントの道徳哲学における幸福の問題」と題する小論でこの問題をとりあげたのであるが,そこでは,もっぱら,カントの道徳哲学の主著である「道徳形而上学への基礎づけ」「実践理性批判」および「道徳形而上学」にみられる思想のあとづけを通して,カントの人間把握の真相を明らかにしようと努めた。本稿では,上記著作に先きだち,そしてカント自身,のちの道徳哲学上の各著作を予想せずにあらわしたといわれる「純粋理性批判」の,特にその中の「先験的方法論」にみられる道徳と幸福との関連についてとりあげてみたい。
著者
馬場 美智 深蔵 紀子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.14-21, 1962-07-01

リボタイドの呈味性について検討した。得られた結果は次の通りである。(1)リボタイドを0.01%蒸溜水溶液にした場合,パネルの52.1%が味を識別した。高温度では感覚鋭敏となるので90℃では70.8%が認知し得た。又その加うべき0.01%のリボタイド液の20%を0.1%MSG液で置き換える事により90.3%となった。(2)0.7%食塩水の場合は蒸溜水より,10%程上廻り平均61%がリボタイド添加を認知い得た。(3)3%食酢に添加した場合味の認知は顕著で,リボタイド単独添加では92.0%,MSGと併用した際は95.8%が味を認知した。(4)醤油の場合は更に高く,単独併用共に100%認知し得た。これは食酢,醤油中のグルタミン酸類との相乗作用によるもので両者共にMSG単独使用では,はるかに劣る結果が得られた。(5)一般調理に使用した結果,リボタイドとMSGの併用が有効であり,0.01%リボタイドと0.1%MSGを合せ添加した場合,その配合割合が20:80とか50:50とかのようにリボタイドの添加率の多いもの程美味であるという結果が出た。特に鶏がらスープ,のっぺい汁,ほうれん草胡麻和え,胡瓜三杯酢等が著名である。それに反して添加物以外の呈味性の強いもの,調味料濃度の高いもの,或いは根菜の煮付等とはさほど効果がみられなかった。今後の研究によって最も有効な使い方を工夫したい。
著者
小林 和子 中村 宗亥 藤原 耕三
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.32-48, 1964-07-01

調理した食物6種(煮タコ,椀種用塩茹でハモ,塩茹でレバー,塩茹でエビ,茹で卵,チキンカレー)を電気冷蔵庫(品温3±2℃)とフリーザー(品温-23±2℃)に8週間貯蔵してその味の変化を検討した。得られた結果を要約すると次の通りである。1. 6種食物を冷蔵車内に貯蔵した場合は,貯蔵可能日数は7日位であったが,フリーザー内で貯蔵した場合は8週間に亘る実験期間を通じて食べられる状態に貯蔵できた。2. フリーザーに貯蔵した場合,味の変化の起る程度は各食物により異り,6種食物中煮タコ,塩茹でハモ,塩茹でエビ,塩茹でレバーは貯蔵中味の変化の少いものであった。これに反して,茹で卵は特に白身が変化して,冷凍貯蔵では味が劣化した。良好な状態で保ち得た4種食物は,温度降下が速かであった事により,冷凍貯蔵では,貯蔵中に於けるよりも凍結時に於ける変化が重要である事が示唆された。3. フリーザーに貯蔵した場合の味必変化は,冷蔵庫に貯蔵した場合に較べて緩慢であったが,中でも特に香の変化が少いのが特徴であった。
著者
松村 季三代 森嶋 登貴子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.39-47, 1960-06-01

着てらくなきものを作る要点を二,三あげてみると 一.肩線が体に合っているか否か,肩線が身頃を吊しているのであるから重要なポイントとなる。一.アーム・ホールは深すぎないよう。浅すぎてつかえているのは論外だが,洋服を着なれない人に限つて深い袖ぐりを望むけれども,深い袖ぐりは袖がついた時,手の上げ下げが窮屈になる。一.アーム・ホールのゆとりは,深さよりも,わたり(巾)に求められる。又背巾に適当なゆるみを入れることは,らくなきものを作る原因となる。一.婦人服の特徴といえるバストのふくらみが,体に合っていなければ着易いきものは生れない。その他細かい点が重なり合い,着易いきものも着難いものも生じる訳で,要するにこれは単なる実験結果の報告であって,決して確定的なことは言えないのであるが,着心地の欄に於けるA^1^1/_<15>, B^9/_<15>, C^8/_<15>, D^1^5/_<15>が示すように,何れも半数以上は,着易い又は普通と答えているのであるから,一つの方法に徹底し,その長短をわきまえたら,何れを可,何れを否とも言い難いのではないかと思う。せめてこのモデル数を2倍から3倍位にして比較すれば,或は又新しくはっきりした数字が現われるかも知れない。実験結果が似たりよったりであったとすると,この研究は徒労に終ったものとも思われるけれど,型紙の違いと同様,出来上ったシルウェットが非常に違うということは,やはり発見であった。これにデザインの個性が入れば,自ずと異った雰囲気のきものが出来上ると考えられる。終りに実験の当初,一緒に着手しながら病気のため中断された中西麗子氏,60着の型紙の作製や,その他労力の多かった,下方妙子,長谷川歌子,民谷セツ子の諸嬢,又快よくモデルを引き受けて下さった方々に感謝いたします。