著者
平井 和彦 中澤 亮二 亀崎 悠
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2019 (Released:2019-11-20)

化合物系(CIS系)太陽電池は現在主流である結晶系太陽電池に比べて、省資源かつ低コストで生産が可能であり、性能の向上に伴い、シェアの増加が見込まれている。普及に伴い、廃棄されたパネルからの有価物の回収等のリサイクルの需要も高まると推測される。化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクル方法として、高濃度の酸や強塩基を使用した方法などが提案されているが、取り扱いの難しい高濃度溶液でなければ短時間での処理は難しいといった課題がある。本研究では破損して廃棄された化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクルの効率化を目的として、弱酸によるZn層の湿式処理に超音波を利用した効率的なパネルの剥離方法について検討した。化合物系(CIS系)太陽電池パネルのリサイクル方法の一つとして、弱酸によるZn層の湿式処理に超音波を利用することで、浸漬や振とうに比べると処理時間を著しく短縮できることが分かった。
著者
田畑 智博
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.13, 2019 (Released:2019-11-20)

本研究では、自然災害による太陽光発電設備の被害の影響を、廃棄物の観点から考察することを目的とする。先ず、我が国における災害事例をレビューし、被害の特徴を考察した。続いて、2018年に発生した実際の災害事例を参考にして、太陽光発電設備の破損に伴う廃棄物の発生量を推計した。 太陽光発電設備由来の廃棄物は、量と質の両面から問題が大きいことから、廃棄物の速やかな回収・リサイクル、適正処理を実施できるルートづくりが急務であることを論じた。
著者
今津 遼也 Moudhak Fatima 寺門 修
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.241, 2019 (Released:2019-11-20)

昆布の非可食部は産業廃棄物として大量に廃棄される。本研究では、昆布の主要な非食用部分である仮根を用いて水溶液中の金属イオンのバッチ式吸着試験を行った。昆布粉末の粒度依存性を調べたところ、粒径が小さいほど吸着平衡に速やかに到達することが分かった。吸着機構を比較検討するために、3種類の金属を種々の温度とイオン濃度で調べた。銅イオンは他の金属イオンよりも吸着量が多く、温度依存性は明確にみられないことがわかった。一方、ニッケルおよびコバルトイオンの吸着量は高温で減少した。20℃における吸着等温線を測定し、銅イオンの吸着量が多いことを確かめた。この要因は依然明らかでないが、昆布に含まれるアルギン酸との錯形成の差によるものと考えられる。
著者
寳正 史樹 辻 英一 仲井 文彦 杉村 裕康 佐藤 淳
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.321, 2019 (Released:2019-11-20)

「焼却残さの資源化」は、最終処分場の確保が困難な国,地域において特に重要である。溶融技術は1,300℃の高温処理により焼却残さをスラグ、精錬原料(メタル、溶融飛灰)に転換する資源化技術である。溶融炉の燃料費低減は,「焼却残さの資源化」コスト低減に向けた重要な課題である。 一方,海洋プラスチック(プラ)問題,プラ輸入国の禁輸政策,バーゼル条約改正により「廃プラの国内処理・資源化」は各国共通の課題となった。高塩素濃度,複合材料,頑固な汚れなど材料リサイクルが困難な廃プラの有効利用は重要な課題である。 焼却残さ溶融炉における廃プラの助燃材利用は,「廃プラの国内処理・資源化」及び「焼却残さの資源化」コスト低減を同時に実現する技術である。浦添市クリーンセンターでは2017年より実証試験を経て廃プラの助燃材利用を開始した。本報では廃プラ助燃材利用前後の延べ308日間の実炉操業データを評価したので報告する。
著者
伊藤 和也 横山 亜希子 梅澤 俊之 町田 隼也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.291, 2019 (Released:2019-11-20)

ごみ焼却施設では、燃焼を安定化させるため、ごみピット内のごみ性状を均質化する撹拌等のクレーン操作が重要な役割を担っている。そのため,運転員が視覚的にごみ性状を認識して、均質化したごみを手動操作あるいは半自動にて焼却炉に投入しているのが実態である。当社では、「運転員の眼」を代替した機能を持つ自動クレーンシステムを構築すれば、運転業務の省力化が可能と考えた。そこで、まず「運転員の眼」の代替として、ディープラーニングを用いたごみ性状を把握するAIを開発した。そして、このAIの出力をクレーン制御へ組み込んだ自動クレーンシステムを構築した。実証実験の結果、クレーン業務の常時監視を必要としない自動運転が可能な事を確認し、自動運転率は約90%を達成した。本稿では、このAIを搭載した自動クレーンシステムの実用性や省力化への寄与について、本AIの精度検証や実証実験の結果を交えて紹介する。
著者
山崎 達雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第30回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.145, 2019 (Released:2019-11-20)

私達が排泄する屎尿は、下水道が整備される以前は、屎尿が肥料として有用であったことから、人力による運搬の外、高瀬舟等により、近郊農村にとどまらず、宇治や乙訓等まで運ばれ、古くから利用されていました。屎尿の運搬は、明治に入ると、博覧会等で入洛する外国人の目を気にしてか、厳しく規制され、特に、明治5年(1872)の日出1時間前に限る運搬時間の制限は、百姓にとって死活問題でありました。このため、屎尿の汲取・運搬の利便を図るため、汲取会社の設立が計画され、排出量の調査まで行われています。これらは、「京都府史」に記載されていますが、内容は断片的で、詳細が記述されたとされる京都府行政文書の「郡村掛庶務一件」は現存せず、実際に会社が設立されたのかは不明でした。汲取会社に関連する史料を、下鴨村の村長等を歴任した鈴木家文書等にみつけることができましたので、京都の廃棄物処理史の一断面として報告したい。