著者
Calhoun Karen S. 小鷹 久子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.378-383, 2010-09-01

目録作成並びにメタデータサービスは岐路に直面している。電子時代は図書館のコレクション構築と,図書館がサービスする社会に興味あるものとして働きかけるコレクションとその仕様に根本的なチャレンジをもたらした。Webの進出が,図書館ならびに高等教育に必須であったもの,また専門知識や最高の実技を構成してきたものを新しい条件下ですべてくつがえし書き換えた。この稿は図書館運営の現実とメタデータ作成と管理を動かす新しい要因と傾向を明らかにすると共に,OCLC共同機構が計画している将来の目録作業,メタデータ操作,そしてWorldCatを取り巻くエキスパート目録作成共同体の支援と進展につながる次世代のメタデータ作成と管理用プラットホームの大要を示す。
著者
仲嶋 伸明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.579-583, 2006-12-01
参考文献数
6

情報漏洩事故の裁判における損害賠償額の判例を紹介して情報漏洩対策の必要性を喚起することと,日本国内のセキュリティ対策の現状,電子情報技術産業協会が発表したパソコン消去のガイドライン,アメリカ国防総省のハードディスクのデータ消去,総務省のガイドライン,金融庁が施行を検討の金融商品取引法の内部統制など日本のセキュリティに関する動向を紹介して,電子記録媒体を記録方式別に,磁気記録,光ディスク,半導体メモリーにそれぞれ分けて,ソフトによる上書き消去,磁気消去,物理破壊,光ディスクの破壊,シュレッダーによる破壊について解説を行い,あわせて情報消去後のリサイクルに関しても言及する。
著者
鹿島 みづき 山口 純代
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.526-537, 2002-10-01
参考文献数
57

図書館パスファインダーは北米において40年以上にわたり,レファレンスサービスの重要な役割を担ってきた。しかし日本の図書館においては確立したサービスとして提供されてきていない。インターネットを含む新しい技術の出現により電子パスファインダーに進歩することで,図書館パスファインダーは利用の可能性が開けてくると考えられる。図書館パスファインダーとは何であるかを紹介し,発達の歴史をたどりながら,OCLC Connexion Pathfinder(旧CORC Pathfinder)作成経験を通して予想される「図書館ポータル」の機能要素としてのその将来像を示した。厳しい現実に直面する私立大学函書館において,これからの新しいサービスになり得るかは国レベルでの環境整備やサポートが不可欠である。
著者
藤原 静雄
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.564-568, 2006-12-01
参考文献数
4

文書にライフサイクルがあるように個人情報にもライフサイクルがある。文書・資料の管理はそのサイクルに合わせて考える必要がある。また,個人情報保護法制には「目的拘束」という法制度を貫く原則が存在するが,管理も当該文書を作成・取得した目的との関係で行う必要がある。個人情報保護法制の下での文書管理・資料管理,とりわけ文書の廃棄に際しては,民間部門のガイドライン等で用いられている基準を参考にすることが考えられる。さらに,文書管理・資料管理の問題は技術的な側面が強調されがちであるが,個人情報保護の観点からは,技術は手段であり,目的は個人の権利利益の保護にある点に留意すべきである。
著者
小谷 允志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.559-563, 2006-12-01
参考文献数
4

オフィスでは膨大な数の文書が日々発生している。文書の氾濫を防ぎ,情報活用の生産性を向上させるためには,的確な文書のライフサイクル管理の仕組みが導入され,維持されなければならない。そして,そのプロセスの中で適切に廃棄が行われることが必要である。本稿では概括的な廃棄の基準と,保存期間満了後の廃棄基準とを区別し,的確なライフサイクル管理の中での廃棄と,その前提となる保存期間設定の考え方について述べる。併せて機密文書の廃棄方法にも触れる。
著者
鈴木 克彦
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.569-573, 2006-12-01
参考文献数
4
被引用文献数
1

図書館においては,現実問題として収容能力の限界から図書廃棄を優先して考えざるを得ない一面もあるが,この一局面だけに捉われ過ぎては危険である。本来ライブラリアンは,利用者の視点に立ち,その利便性を考慮し,図書館サービスの向上に努めることを,第一に考えるべきである。石川島播磨重工業(株)技術情報センターでは,この観点も含め資料ごとに廃棄基準を定めている。2006年4月の当社の新本社ビル完成に伴う廃棄作業では,この基準に従って約15,000冊の図書,雑誌等を廃棄した。なお当社は,廃棄にあたり,環境に十分考慮している。
著者
山中 秀夫
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.556-560, 2007-12-01
参考文献数
19

本稿では,和古書の特異性,重要性と組織化およびイメージ・データの有効活用について論及する。近年,和漢古書のための標準的な書誌記述規則が相次いで公表・制定された。日本の重要な文化遺産である和古書は,膨大でかつ多種多様な印刷資料と書写資料が現在まで伝存している。全体像が未だ充分になっていない現在,和古書の総合目録の構築は意義ある学術情報流通基盤整備事業である。有効な目録の構築を進めるための方法として,イメージ・データとのリンクを提案する。各機関が現在までに蓄積した大量のイメージ・データを網羅的に検索する手段はほとんどない。テキスト・データである書誌記述とリンクすることで,書誌記述の一部として利用者への効果的な情報提供が可能になる。