著者
高山 正也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.507-511, 2007-11-01

国立国会図書館の今後の改革についての指針を外部識者の見地からまとめた。現状における国立国会図書館の問題点は,国内外におけるそのプレゼンスの低さに集約できる。その理由の最大のものは,国立国会図書館員の内向き志向にある。そこで,当面,国立国会図書館が国立図書館として果たすべき機能と日本の国立国会図書館を取り巻く解決すべき主要な問題点を指摘し,その解決策の一端を,この問題が2006年春,国立国会図書館の独立法人化問題として生じた時に検討した図書館関係NPO法人での検討結果を紹介することで,示している。そこで示された解決策の提言とは次の4項目である。(1)国立国会図書館の経営刷新と強化のための外部者の活用,(2)館の職員人事の弾力化,(3)業務執行体制への民間活力の利用,(4)関係法令の見直し
著者
坂井 華奈子
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.8-15, 2012-01-01
参考文献数
11

アジア経済研究所(アジ研)は,開発途上国・地域の政治,経済,社会に関する社会科学分野の基礎的総合的研究を行う研究機関である。研究活動の現地主義に対応し,アジ研図書館でも現地刊行の現地語の資料を重視し,現地に根ざした資料収集を行っている。特に,現地書店との直接取引による購入,現地研究機関や大学,政府機関等との資料交換,直接現地を訪問しての資料収集活動が特徴的である。本稿では,インドの現地資料収集について,アジ研図書館のこの特徴ある資料収集活動を基にご紹介してみたい。また,後半では2007 年にデリーを訪問して資料事情に関する現地調査を行った際の体験についても触れる。
著者
吉田 新一郎
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.414-419, 2014

・そもそも個人的な活動である読書体験を共有することに,どのような「意識/メリット/効果」があるのか? ・ブッククラブは,実際どのように運営されているのか? 上記2点に絞って,その理論的な裏づけなども交えながら,ブッククラブという楽しく,かつ人とつながることで得られる読み/学びの広がりと深さを紹介する。
著者
石原 一則
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.65-70, 2015

本稿の目的は,日本アーカイブズ学会が2012年に開始した日本アーカイブズ学会登録アーキビスト制度の現状と課題とを整理し,今後の展望を述べることにある。はじめにアーカイブズ学会が設立される以前の文書館の専門職員に関する論議をたどる。次に2004年の日本アーカイブズ学会の設立とその後の学会によるアーキビスト制度の提案準備について述べる。そして学会登録アーキビストに関する規程の核心部である資格要件の構成について触れ,おわりに登録アーキビスト及び日本アーカイブズ学会の課題と展望について論じる。
著者
臼井 裕一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.250-254, 2014

特許情報は,特許制度の目的から必然的に権利情報と技術情報との側面を持っている。また特許情報は論文などと比較してその発行数の多さのゆえに研究者がその全てに目を通すことは困難である。研究者が読むべき特許を選別する者が必要と考える。また,多量の特許情報を用いて解析を行い,更に利用価値の高い経営情報を再生産することが可能であることを考慮しても特許情報は大いに利用すべきである。このために「知的財産情報プロデューサー」と仮に呼ぶような専門家集団が必要であると結論づけた。
著者
椎名 ゆかり
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.146-152, 2014

アメリカの図書館でマンガが所蔵されるようになったのは近年のことである。長い間マンガ,特に「コミック・ブック」と呼ばれるマンガの刊行物は,「子供向けの低俗な読み物」として時には規制運動も巻き起こるほど批判され,図書館はむしろ「コミック・ブック」に対して批判する側であった。その図書館が21世紀に入り,マンガを積極的に支持し,所蔵対象にするようになっている。本稿では,マンガが図書館に所蔵されるようになった歴史的経緯を概観し,この変化の起こった要因の一部に,マンガが「グラフィック・ノベル」として再発見された点や日本マンガ人気があった点を考察することにより,アメリカ社会におけるマンガの文化ヒエラルキーの変遷を検証する。
著者
佐渡島 紗織
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.22-28, 2014

本稿の目的は,アカデミック・ライティング教育において情報リテラシーに関する問題はどのような点にあるかを検討し,今後,求められる指導の方向を示すことである。国語科教科書や小論文演習教材などをみると,日本の小・中・高・大学と受験塾では,情報を自分の文章にどのように取り込むかの,十分な指導,一貫した指導がなされていないことがわかる。引用・参考文献明記の学習を通して,《情報を再定義させる》学習をさせることが必要である。それによって,多様な立場・意見を検討した上で自身の立場を確立し,明確な意見を発信できる学生を育成したい。
著者
松江 健介
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.409-414, 2013

有名雑誌が次々と休刊を余儀なくされる中でフリーペーパーへの注目は高くなり,発行元も地域もテーマも多岐に渡りより細分化された個性的なフリーペーパーが次々と登場するようになった。デジタルメディアが主流の時代において人々がフリーペーパーに求めるものは何であるのか。全国の多種多様なフリーペーパーを実際に見てきた立場からフリーペーパーの役割そしてこれからの動向を考察してみた。
著者
福嶋 聡
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.192-197, 2007-04-01

「図書館型」の書店の代表格と見なされてきたジュンク堂書店に勤務する筆者が,何ゆえに図書館を利用してきたか,図書館に対していかなる提言をなしてきたか?前半部で,ジュンク堂書店のこれまでの展開の中で目指された理念とその実践を紹介し,後半部で,図書館を利用する理由,図書館に対する提言を述べながら,「本と人の出会いの場」としての書店と図書館の役割分担,連携の可能性について考えたいと思う。一読者として本の魅力,読書体験のもつ魅力を体験してきたからこそ,書店,図書館という枠を乗り越えて,多様な「本と人の出会いの場」を形成していきたいという筆者の思いが,何よりの出発点である。