著者
柳堀 恭子 津田 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EIP, [電子化知的財産・社会基盤] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-11-14

本論では,特許出願に対して特許法 29 条 1 項の新規性を拒絶理由とした特許審査官が発行する拒絶理由通知書を対象とし,本願と引用文献の間で対比が明示されている名詞および複合名詞を抽出する.その語の類似が 1) 文字列照合,2) 同義語・類義語,3) シソーラス (上位・下位概念,全体・部分) のいずれでも抽出できない語に対して構文解析の手法による類似性の向上を検証した.さらに,この結果を特許文における類似語として意味を拡張していくことにより特許用知識辞書を構築することが可能となり,出願における先行調査や技術調査に役立つことを示した.
著者
奥村 徹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EIP, [電子化知的財産・社会基盤] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.11-18, 2003-02-22

我が国の刑事法におけるInternet上のポルノグラフィーの規制については、HDDを有体物に見立てて「わいせつ物の陳列罪」とするのが最高裁の判例である。しかし、最近の下級審判決では、Internet上の児童ポルノヘの対応について、陳列罪にするか販売罪にするか、再び動揺を生じている。従来の判例から最新の判決までを概説し、ネツトヘの対応可能性を論じる。
著者
稲垣 直樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EIP, [電子化知的財産・社会基盤] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.29-40, 2004-12-04
参考文献数
9

一般的に「日本語全文検索用データベースは、検索速度と再現率の向上、適合率の低減問題が、経済的に成立するかのトレードオフ問題を解決することにあるとされている。多くの「全文検索用データベース」は、速度向上技法として「検索用インデックス・テーブル方式」を採用している。そのテーブル作成は「辞書」と「形態素解析ソフト」を使って機械的に処理している。本報告は、3種の異なる商用「判例データベース」を実務的な同一任意語で検索し、その検索結果から、検索用インデックスや前段階工程である「法律辞書」と「日本語形態素解析ソフト」利用の成果の出来映えを、構文解析的に比較検証したものである。検索結果が判例を探す目的に合致しているか…の視点で、商用「判例DB」の有用性を実測した。同一任意語検索における結果の考察から、独特の構文をもつ「判例DB」には、法律分野専門の「形態素解析ソフト」も必要であり、また「判例DB」の再現率や適合率向上のため、将来の「判例用連想語検索」への道程を示すものである。
著者
中野 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. EIP, [電子化知的財産・社会基盤] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.27-34, 2004-05-08

デジタル・ネットワークが普及し、その利用技術が発達してきたため、コンピューティング・パワーの確保について「所有から使用へ」とでもレッテルを張るのが可能な状況が生まれている。しかし、技術が発達すれば所有から使用へ一方的に流れるという単純なものではない。また、デジタル・ネットワークが発達した時代には、知的財産あるいは著作物でありさえすれば、それを刻印した有体物の流通というくびきから逃れて流通しうる--という意見がある。これをもとに、「所有への対価から使用への対価へ」とでも呼ぶべき変化が起きているとの議論があるが、これもそう単純ではない。また、デジタル・ネットワークの発達、および、所有から使用への意識の転換--の2点からよく言及される、pay per use、pay per viewと持続可能な社会との関係についても、慎重な検討が必要である。pay per viewと投げ銭の類とでは、その性質が、一瞥すると似て見えても、大きく異なる。