著者
佐藤 奈月 加藤 弘通
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.19-26, 2020 (Released:2021-10-15)
参考文献数
12

本研究の目的は,高校生がインターネット上で新しい知り合いをつくるきっかけについて男女差の観点をまじえて明らかにすることで,先行研究で女性に調査されてきたつながりのきっかけが女性特有のものであるのかを再検討することにあった.そのために,高校6校の1129名を対象とした質問紙調査の自由記述データを分析した.その結果,男女ともに共通の趣味が知り合うきっかけになっていたが,男性はゲームが出会いのきっかけになっており,女性は同じ学校の者と知り合う者がいることが明らかになった.以上を踏まえた実践的示唆として,インターネットが現実の人間関係の補完になっている可能性があるなど,インターネットで他者と出会うことの積極的意義を検討する必要性について議論した.
著者
岡本 安晴
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.70-77, 2018 (Released:2018-12-04)
参考文献数
16

心理学における量的研究法と質的研究法の現在のような区別は消失し,両研究法は情報通信技術(ICT)を活用した研究法に統合されると考えられる.心理学およびその関連領域におけるICT的研究法の歴史を振り返り,未来の心理学におけるその可能性について考える.ICT において創造的な若者を育成するために,Pythonプログラミングを教えることを提案する.
著者
橋元 良明
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-14, 2018 (Released:2018-12-04)
参考文献数
17

日本人の若年層の情報行動の大きな変化として,中心がテレビからネットへ移行したことがあげられる.とくに20時以降のテレビ視聴の一部がネット利用に代替された.若年層のネット利用時間の約65%がコミュニケーション系であり,とくにSNSの利用時間が長い.情報行動のもう一つの大きな変化としてデジタル機器利用の低年齢化が指摘できる.我々の調査によれば,0歳児の23.5%がスマートフォンに触れており,その半数がYouTubeを見ている.LINEの利用率も6歳で15%に達している.乳幼児のデジタル機器への接触やSNSの利用の影響については,学会で賛否が分かれている.乳幼児の情報環境の急激な変化は,ここ数年のことでまだ実証的研究データは少ないが,今後,その影響を実証していく必要がある.
著者
西垣 通 加納 寛子
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.37-44, 2018 (Released:2018-12-04)
参考文献数
10

この論文は,人間の自由や尊厳にAI(人工知能)がもたらす影響についてのインタビューである.とりわけ,AIのくだす判断と自律性の関係,AIが心をもつ可能性,AIエージェントとモラル,AI倫理教育,そして今後の高等教育の望ましいありかたなどの諸問題に焦点があてられる.人間の尊厳ある自由を守るためには,AI技術の本質をただしく理解し,あまりに過剰な期待をさけなくてはならない.
著者
寺田 好秀
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.66-69, 2018 (Released:2018-12-04)
参考文献数
8

本稿では,『慶應義塾家計パネル調査』の2015年調査を利用し,インターネットの利用が人々に幸福感を与えているかどうかを,幸福度研究の視点から明らかにする.「幸福度」を被説明変数とした順序プロビット・モデルによる推定の結果,「インターネット利用」の係数が正の値を取り,0.1%水準で有意であった.このことから,インターネットの利用は人々に幸福感を与えており,2015年1月時点の我が国においてはインターネット・パラドックスが生じていないことが明らかになった.
著者
加納 寛子
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-11, 2022 (Released:2022-10-12)
参考文献数
25

新型コロナウイルスによるパンデミックは,社会全体及び教育に対して多大なる影響を与えた.本稿ではインターネット検索やハッシュタグ検索に着目し,インターネット上におけるコロナ禍の大学や遠隔授業に対する人々の言説を分析する.このことによって,新型コロナウイルスによるパンデミック後の大学教育の在り方に示唆を得ることを研究の目的とした.その結果,「遠隔授業」と「オンライン授業」のワードについては,新型コロナ感染症流行後の検索割合が高かった.一方,「大学生」「学生」や「面接授業」」のワードについては,変化は見られなかった.また,「#遠隔授業」と「#オンライン授業」のハッシュタグをつけたツイートデータの分析からは,学生らの発信よりも,保護者の発信と思われるツイートが多数見られた.「#大学生の日常も大事だ」と「#大学生の日常も大切だ」のハッシュタグをつけたツイートデータの分析からは,予想に反して中庸の感情を持ったツイートの多いことが分かった.このことから,新型コロナウイルスによるパンデミック後の大学教育の在り方として,一部の過激な発言に惑わされることなく,適時適正な判断と方向性が望ましいであろうことが示唆された.
著者
大野 志郎
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.10-17, 2019 (Released:2020-07-25)
参考文献数
29

SNS利用者の増加および低年齢化が進む中,情報モラル教育の観点から,SNS利用による問題の発生を抑制するための知見が求められる. 本研究ではSNSの利用動機と 様々な問題との関連の強さを明らかにするため,オンラインアンケート調査を実施した. 事前調査により,15歳から39歳までのインターネット長時間利用者(n=2,994)を抽出し,そのうちSNSを最もよく利用する709サンプルを用いた. SNS利用動機の因子分析の結果,「逃避」「優越感・評価の獲得」「日常の関係維持」「愚痴・相談」「共感の獲得」の5因子が見いだされた. 続いて,諸問題を目的変数,SNS利用動機を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った. SNS依存傾向に対する調整オッズ比は,逃避が2.92,優越感・評価の獲得が2.30,共感の獲得が2.32であり,有意であった.また,優越感・評価の獲得の動機は,身体的・精神的健康の問題(調整オッズ比4.73,3.52)との関連が顕著であり,大切な人間関係への悪影響,多額のムダ使いとも強く関連していた.
著者
大野 志郎
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.10-17, 2019

SNS利用者の増加および低年齢化が進む中,情報モラル教育の観点から,SNS利用による問題の発生を抑制するための知見が求められる. 本研究ではSNSの利用動機と 様々な問題との関連の強さを明らかにするため,オンラインアンケート調査を実施した. 事前調査により,15歳から39歳までのインターネット長時間利用者(n=2,994)を抽出し,そのうちSNSを最もよく利用する709サンプルを用いた. SNS利用動機の因子分析の結果,「逃避」「優越感・評価の獲得」「日常の関係維持」「愚痴・相談」「共感の獲得」の5因子が見いだされた. 続いて,諸問題を目的変数,SNS利用動機を説明変数とするロジスティック回帰分析を行った. SNS依存傾向に対する調整オッズ比は,逃避が2.92,優越感・評価の獲得が2.30,共感の獲得が2.32であり,有意であった.また,優越感・評価の獲得の動機は,身体的・精神的健康の問題(調整オッズ比4.73,3.52)との関連が顕著であり,大切な人間関係への悪影響,多額のムダ使いとも強く関連していた.
著者
鈴木 寛 加納 寛子
出版者
日本情報教育学会
雑誌
情報教育ジャーナル (ISSN:24326321)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.31-36, 2018 (Released:2018-12-04)

この論文では,AI時代に必要な人材の条件について議論した.経済の側面では,高付加価値のサービスへの需要と供給が始まることが示唆された.人材育成の側面では,多様な人々と主体的に協働していく力の重要性が指摘された.