著者
山谷 清志
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.3-15, 2002-09-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3

わが国の政策評価の起源は、改革志向の強い地方自治体にルーツを持つ事務事業評価に業績測定を加えた方式と (三重県)、中央省庁 (とくに旧通産省での「政策レビュー」) に起源を持つ方式と二つ存在する。この二つが整理されず、さまざまなところで錯綜しているため、わが国の政策評価はその特徴が両者の問で揺れており、一見、複雑な様相を呈している。ただし、その中に明確な特徴も見られる。たとえば内部評価・自己評価、事前評価の志向の強さ、予算編成と関連付けたいという意志、定性評価ではなく定量評価への傾斜、そして客観性への固執である。こうしたシステム設計の段階での特性が、わが国の評価をどういった方向に導くのであろうか。ここではこの問いに対する答えを予測するために、2002年現在提示された課題に注目する。すなわち、定性的評価の可能性、公共事業 (とくにビッグ・プロジェクト) 評価の方法、公平性という評価基準などである。もっとも、こうした課題を議論するためにはまず、研究者と実務家がどのように研究体制を組むのかという前提条件を整備する必要がある。
著者
西村 幹子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.47-59, 2007-03-30 (Released:2010-06-15)
参考文献数
22
被引用文献数
2

本稿は、既存の教育評価手法が、開発途上国において有効な教育政策や教育計画の策定に繋がるためにいかなる課題を有しているかを、手法の理論的比較分析という視点から考察し、認識枠組みとしての総合的教育評価モデルを提案するものである。具体的には、教育評価についての既存の国際学力調査、学校調査、世帯調査を比較・対比させ、課題の抽出を行った。考察結果として、教育評価に使用されるデータの入手方法において、従来の国際学力調査がその対象や実施方法において低所得国への示唆を得ることが困難であること、学校調査や世帯調査も、それぞれ教育を供給する側と需要する側の片方に視点を当てることにより、教育開発に関する包括的な方策を提示するに至っていないことが確認できる。これらの課題は先進国にも共通するものであるが、開発途上国においては各種調査の結果が大きく乖離することがあり、総合の必要性は特に大きい。また、定量的なデータだけでは得られない推論 (inference) を定性的な調査から得ることも、非就学や退学などの問題に対するきめ細かい対応には不可欠となる。
著者
横山 麻季子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.59-71, 2006-09-28 (Released:2010-06-15)
参考文献数
43
被引用文献数
1

行政評価を実施する地方自治体が増加するなか、評価を導入あるいは試行することが行政サービスの向上に影響を与える要因となるのか否かについての実証的な研究は、まだ不足している段階である。よって本稿では、行政評価システムと行政サービスとの関係について、計量的手法による検証を試みた。2000年度、2002年度、2004年度の全国市区のクロスセクション・データを使用し、被説明変数に「行政サービス度」を、説明変数に評価システムの導入・試行に関するダミー変数を投入して、最小二乗法による回帰分析を行ったところ、行政評価を実施すること、なかでも評価を導入すること、また導入年数が長いことが、行政サービスの向上に寄与するという結果が得られた。
著者
古川 俊一 磯崎 肇
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.53-65, 2004

政策の評価を行うに当たっては、基本的な原単位の数値が確定されている必要がある。生命価値はその最たるものであり、規制評価が政策評価の中で、主要なものとされているにもかかわらず、十分な研究蓄積に乏しい。本論文では、リスク工学の考えも応用し、第1に、死亡事故のリスクに対する「統計的生命価値」の推定モデルを探求する。第2に、自動車購入時に、使用者が評価しているリスクから「統計的生命価値」を推定する。第3に、その結果を現在我が国で主として用いられている逸失利益をベースとした人命の価値と比較し、費用便益分析においての取り扱いを考察する。道路建設等の分野における約3, 000万円という従来の人命の価値は、今回分析の結果示された「統計的生命価値」8~10億円や、質問法をベースにした場合の我が国における「統計的生命価値」において妥当な数値との指摘のある数億円と大きな格差がある。もし生命価値が、一桁高い評価を受けることになれば、規制政策等の評価結果が大きく変更される可能性がある。
著者
湯浅 孝康
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1_27-1_41, 2012-07-31 (Released:2014-05-21)
参考文献数
63

行政学では、 ‘Efficiency’ の訳語として伝統的に「能率」という言葉があてられてきた。しかし、近年では世間一般的に「効率」と訳されることが多い。これは新公共経営改革(New Public Management、以下NPM)の影響によるものと考えられる。「能率」と「効率」は同じ ‘Efficiency’ の訳語であるにも関わらず、わが国では「効率」を新たな概念として取り入れ、行政改革のキーワードとして使用されている。一方で、 ‘Efficiency’ そのものも学問分野を横断した統一的な定義がなされているわけではなく、また、1つの学問分野の中でもその概念は論者によって多様である。さらに、行政学のように同じ概念でも時代によって賞賛されたり批判されたりすることもある。以上から、「能率」であれ「効率」であれ、 ‘Efficiency’ を政策、施策、事務事業などの評価基準として用いるのであれば事前に明確な概念定義を行うことが必要である。また、それは1つの価値に過ぎず、その長所と短所について認識することが肝要である。
著者
田中 由美子
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.20-30, 2004-03-29 (Released:2010-06-15)
参考文献数
21

本論文の主目的は、国際協力におけるジェンダー主流化の概念を明確にし、総合的なジェンダー政策分析および評価の手法を探ることである。この分析評価手法は、我が国の国際協力および他の国際援助機関においても十分に検証されておらず、先行事例研究に基づく試みが始まったばかりである。ジェンダー主流化とは、ジェンダーと開発 (GAD) を開発の重点課題とし、ジェンダー平等を進めるための包括的取組みであり、ジェンダー平等の視点を全ての政策・施策・事業の企画立案段階から組み込んでいくことをいう。ジェンダー平等視点に立って計画・実施・モニタリング・評価を行う過程であり、政策等のジェンダー分析や男女影響評価の実施が前提となる。