著者
縣 公一郎 牧原 出 出雲 明子 松田 憲忠 大山 耕輔 伊藤 正次 山谷 清志 大西 裕 稲継 裕昭 渡辺 有希乃
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の成果は、大別して2つとなる。まず、国内行政学先達10名の方々による行政学説オーラルヒストリー集成である。16年度から18年度に行ったヒヤリングの結果、10本の原稿が結稿し、特定出版社との公刊内諾を得、19年度中にその出版実現の予定である。加えて、英国特定出版社からの勧誘を受け、既にオーラルヒストリーとして結稿している韓豪独英四国に関する行政学説史四稿に加え、現在執筆中である個別論文数本を、むしろ当初から英文として執筆して、二部構成の書籍として出版してはどうか、との構想が進んでいる。その前段階として、2019年6月21日に、国際行政学会(IIAS)年次大会にて、3本の英語報告を実施する。
著者
山谷 清志
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-14, 2023-05-31 (Released:2023-09-28)
参考文献数
45

1990年代末に日本で導入された政策評価は、総務省「政策評価に関する標準的ガイドライン」(2001年)によれば、国民に対する行政の説明責任を徹底する、国民本位の効率的で質の高い行政を実現する、国民的視点に立った成果重視の行政への転換を図る、この3つの目的を持つ。行政学はこの目的を持つ政策評価の安定的運用を考えるために行政責任論、行政管理論、NPM理論から政策評価を解釈しようとした。ただ、いずれの解釈にも難がある。ここではその行政学の取り組みの歴史を振り返り、なぜ2021年から政策評価は再検討されるようになったのか、その意味を考察したい。政策評価の再検討が実務で成功する条件を探るのが、本稿のねらいである。
著者
山谷 清志
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.3-15, 2002-09-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3

わが国の政策評価の起源は、改革志向の強い地方自治体にルーツを持つ事務事業評価に業績測定を加えた方式と (三重県)、中央省庁 (とくに旧通産省での「政策レビュー」) に起源を持つ方式と二つ存在する。この二つが整理されず、さまざまなところで錯綜しているため、わが国の政策評価はその特徴が両者の問で揺れており、一見、複雑な様相を呈している。ただし、その中に明確な特徴も見られる。たとえば内部評価・自己評価、事前評価の志向の強さ、予算編成と関連付けたいという意志、定性評価ではなく定量評価への傾斜、そして客観性への固執である。こうしたシステム設計の段階での特性が、わが国の評価をどういった方向に導くのであろうか。ここではこの問いに対する答えを予測するために、2002年現在提示された課題に注目する。すなわち、定性的評価の可能性、公共事業 (とくにビッグ・プロジェクト) 評価の方法、公平性という評価基準などである。もっとも、こうした課題を議論するためにはまず、研究者と実務家がどのように研究体制を組むのかという前提条件を整備する必要がある。
著者
山谷 清志
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.155-172, 1999-07-31

地方分権が進む中、理論的には自治体政策の形成と立案、そして決定において地方議会の役割が非常に期待されている。しかし、現実には地方議会不要論、それをトーンダウンした形の「議員定数削減」論、あるいは直接民主主義的な住民投票条例制定を求める運動が、各地に出てきている。それは地域における代議制デモクラシーの機能不全に失望したからである。しかし、地域から代議制デモクラシーを無くすることは不可能であり、また望ましくもない。ここに求められるのは、地方議会の改革である。そして、それは地方議会が実現すべき三つの価値、すなわち議会のアカウンタビリティ、レスポンシビリティ、レスポンシヴネスの価値を実現する方向の改革になるはずである。In Japan, municipal and prefecturel assemblies have been weak (since 1947),while governors and mayors have been strong. First, assemblies are not able tomake and evaluate policy, because of poor knowledge of skills and the policies themselves. Second, most assemblymen/women believe that their elections is only an advertisement of their personal character, not policy. As a result, the elections of local assemblies become noisy shows or 'popularity votes'. Citizens can't chose the policy programs that they need. Maybe decentralization in Japan means that local governments should make, implement and evaluate policies and programs. The key to decentralization is how assemblies get the abilities and possibilities for policy making and evaluation capabilities.
著者
足立 幸男 飯尾 潤 細野 助博 縣 公一郎 長谷川 公一 田中 田中 小池 洋次 山谷 清志 金井 利之 田中 秀明 鈴木 崇弘 渡邉 聡 宇佐美 誠 土山 希美枝 秋吉 貴雄 佐野 亘 蒔田 純 清水 美香
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究プロジェクトによって以下の点が明らかとなった。日本政府はこれまで政策改善に向けた努力を疎かにしてきたわけではない(職員の政策能力向上に向けた施策の展開、省庁付属の政策研究機関および議員の政策立案作業支援のための機関の設置、審議会の透明化・民主化など)。大学もまた公共政策プログラムを矢継ぎ早に開設してきた。にもかかわらず、政策分析はいまだ独立したプロフェッションとして確立されておらず、その活用もごく限られたレベルに留まっている。我々は、政策分析の質を向上し、より良い政策の決定・実施の可能性をどうすれば高めることができるかについて、いくつかの具体的方策を確認することができた。
著者
足立 幸男 竹下 賢 坪郷 實 松下 和夫 山谷 清志 長峯 純一 大山 耕輔 宇佐美 誠 佐野 亘 高津 融男 窪田 好男 青山 公三 小松崎 俊作 飯尾 潤 飯尾 潤 立岡 浩 焦 従勉
出版者
関西大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

環境ガバナンスを支える民主主義の理念と制度について検討をおこない、その結果、以下の点が明らかとなった。第一に、適切な環境ガバナンスを実現するには、将来世代の利害に配慮した民主主義の理念や制度のあり方を生み出す必要がある。第二に、政治的境界と生態系の境界はしばしば一致しないため、そうした状況のもとでも適切な環境ガバナンスが実現されるような制度的工夫(いわゆるガバナンス的なもの)が必要となるとともに、民主主義の理解そのものを変えていく必要があること。第三に、民主主義における専門家の役割を適切に位置づけるためにこそ、討議や熟議の要素を民主主義に取り込む必要があるとともに、そうした方向に向けた、民主主義の理念の再構築が必要であること。第四に、民主主義を通じた意識向上こそが、長い目でみれば、環境ガバナンスを成功させる決定的に重要な要因であること、また同時に、それを支える教育も必要であること。以上が本プロジェクトの研究成果の概要である。