著者
小山 尚之 Naoyuki Koyama
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.7-19, 2015-02-28

本稿はフィリップ・ソレルスの小説『「時間」の旅人たち』における「時間」の様態について明らかにすることをめざしている。ソレルスによれば、「社会」における「時間」は瞬間的な今の連続であり、線状的に流れるものである。それは過去にも未来にも拡張しない。「社会」をあたかも神のごとく信じているひとびとは徐々に「時間」の感覚を失う。これに反してこの小説の話者は様々なテクストを読むことによって過去・現在・未来を自由に行き来する。彼はグノーシスによる「時間」の概念を受け入れ、天地創造や最後の審判に何の関係もない光の楽園の永遠の「時間」を見出す。ソレルスはこのような「時間」の様態を四次元的な「時間」と呼ぶ。彼にとってヘルダーリン、ランボーあるいはカフカといった「時間」の旅人たちは、「社会」における今ここで楽園とメシアを啓示するものたちである。過去・現在・未来を通して彼らのテクストは楽園の恍惚的な「時間」の存在を呼びかける。そして話者自身もこの四次元的な「時間」を旅している。
著者
稲本 守
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.7, pp.17-29, 2011-02
被引用文献数
1

近年におけるソマリア沖海賊被害の急増に対し、国連安保理は2008 年に採択した数度の決議によって加盟国に艦船の派遣を求めるとともに、ソマリア領海内、更には領土内における海賊対処行動を行うことを認めた。我が国は2009 年3 月に海上警備行動に基づいて自衛艦を派遣し、同年6 月には海賊対処法を制定してソマリア沖を通過する船舶の護衛活動を行っている。本論の第一の目的は、ソマリア沖海賊問題対処に際しての国際的・国内的な枠組みとその限界について客観的な指摘を行うことにより、海賊対処をめぐる議論の論点を明確にすることにある。その上で本論は、ソマリア沖海賊対処をめぐる法的問題点について考察を加え、世界の海を公海と領海を二分し、船舶取締りに際して旗国主義を貫いている近代海洋法秩序の限界を指摘した。こうした議論をふまえて本論は、安保理決議を通じた緊急措置の積み重ねによらず、公海上における集団的な警察活動等を可能にする国際的枠組み作りに国際社会が取り組むべきことを論じている。東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科
著者
雨宮 民雄 Tamio Amemiya
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.3, pp.5-12, 2007-03

東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科

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著者
庄司 和民 Kazutami Shoji
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1, 2007-03-30

東京商船大学名誉教授
著者
小山 尚之 Naoyuki Koyama
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.5, pp.55-61, 2009-03

『反ユダヤ・プルースト』という著作において、アレッサンドロ・ピペルノは次のように主張している。プルーストは『失われた時を求めて』のなかで、スワン、ブロック、ラシェルといったユダヤ人の登場人物を残酷に扱い、彼らの擬態を非難している、と。しかしピペルノの議論は一面的であるように思われる。何故ならプルーストはユダヤ人に対してだけでなく、貴族に対しても残酷だからである。この論文はピペルノの本の要約であるが、同時にその未熟な性急さを批判してもいる。東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科
著者
稲本 守
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.17-29, 2011-02-28

近年におけるソマリア沖海賊被害の急増に対し、国連安保理は2008 年に採択した数度の決議によって加盟国に艦船の派遣を求めるとともに、ソマリア領海内、更には領土内における海賊対処行動を行うことを認めた。我が国は2009 年3 月に海上警備行動に基づいて自衛艦を派遣し、同年6 月には海賊対処法を制定してソマリア沖を通過する船舶の護衛活動を行っている。本論の第一の目的は、ソマリア沖海賊問題対処に際しての国際的・国内的な枠組みとその限界について客観的な指摘を行うことにより、海賊対処をめぐる議論の論点を明確にすることにある。その上で本論は、ソマリア沖海賊対処をめぐる法的問題点について考察を加え、世界の海を公海と領海を二分し、船舶取締りに際して旗国主義を貫いている近代海洋法秩序の限界を指摘した。こうした議論をふまえて本論は、安保理決議を通じた緊急措置の積み重ねによらず、公海上における集団的な警察活動等を可能にする国際的枠組み作りに国際社会が取り組むべきことを論じている。
著者
藤 正明 Masaaki Fuji
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-58, 2010-02

東京海洋大学海洋工学部海事システム工学科
著者
大河内 美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.8, pp.7-17, 2012-02

Increases in drug trafficking bound for the United States force the nation's law enforcement authorities to seek international cooperation, especially through extradition procedures to take fugitives into custody. The research aims to illustrate the difficulties in extradition process through case study and to specify the scope of extradition and extraterritorial law enforcement. This paper also discusses the feasibility of some alternatives toextradition that are less offensive to sovereignty, namely, conducting arrest activities in international waters or in a third state.アメリカ合衆国の法執行当局は、同国を仕向地とする麻薬の密輸の増加によって、犯罪人引渡手続を通じた国際司法協力の必要に迫られている。本研究は、逃亡犯罪人の身柄確保のための手続と、法執行管轄権の域外適用の射程を、クリストファー・コーク引渡事案を紹介しながら検討する。あわせて引渡手続以外のオプションとして、公海上又は第三国における逃亡犯罪人の逮捕活動を中心とした域外法執行の実現可能性を検討する。東京海洋大学海洋科学部海洋政策文化学科