著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 鷲見 孝子 黒木 智奈美 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.9-17, 1995-03-31

(1)対象学生は,自宅通学者が80%近くを占め,通学時間は1時間未満が半数以上あった。アルバイトは60%近くの者がしており,1ヵ月のこづかい額は,2万円以上が42.3%あった。(2)昼食の意識として高いのは,「栄養のバランスを考える」で,ついで「友達つきあいが大切」,「お金をかけたくない」である。「食べたいときに欲しいものを食べればよい」,「ウエイトコントロールのために控えめにしよう」と思う者は少なく,約半数の者はそのような意識はないとしている。13)自家製弁当については,「外食よりも安上がりだ」と思う者は,80%以上あり,「好きなものや食べる量が選べるからよい」,「弁当を持って行きたい」と思う者は50%前後あった。「弁当をつくる時間がもったいない」と思う者は少なく,全体的にみて弁当持参に賛成の意向がみうけられた。(4)「昼休みは短い」と思っている者は約70%で,「学生食堂は便利」,「外食の方が弁当よりリッチ」と思う者はいずれも50%強あった。「目新しい食品で楽しみたい」,「既製品は衛生'面で心配」ということはあまり意識していないようである。(5)高校生の時はほとんどの者が毎日弁当持参であったが,現在は持って行く日が多い者は30%弱であり,全く持って行かない者が45%と多かった。(6)5日間の昼食の実態では,テイクアウト食品の利用が最も多く,学生食堂・飲食店の利用などを含めると46.7%が外食をしていた。昼食を自宅で摂る者も30%近くあり,自家製弁当を持って行った者はわずか16.7%のみであった。(7)外食の食事内容は利用先により異なり,学生食堂ではカレーライス等,定食・ランチが多く,飲食店では定食・ランチが,テイクアウト食品では市販弁当,菓子パン,飲料・デザト類が多かった。(8)食事の選択理由は,学生食堂や飲食店を利用する場合は「おいしそう」が多く,テイクアウト食品の場合は「簡単にすませたい」,「好きだから」が多い。飲食店を利用する場合は「友達つきあい」というのも多かった。栄養のバランスを考えることは意識調査では高率であったが実態調査ではいずれの場合でも少なかった。
著者
加藤 信子 鷲見 孝子 上野 良光
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.49-56, 1993-04
被引用文献数
1

油脂の加熱による酸化をごま油の抗酸化力で抑制するには,サラダオイル・てんぷら油・コーン油にどの程度の割合で添加すればその効果を得ることができるか種々な配合油脂を調製し,180℃で5分間および10分間加熱した時の油脂の酸化を過酸化物価(POV)の測定によって検討した。 1.サラダオイル・てんぷら油・コーン油の各単独油脂の加熱によりPOV値と2%,5%,7%,10%のごま油を添加して過熱した油脂のPOV値に大きな差はなく,10%以下のごま油添加では油脂の酸化防止は低かった。 2.サラダオイルに対しては,50%以上のごま油配合で酸化は抑制された。この効果はてんぷら油より高かった。また,加熱時間が短時間であるほどごま油の酸化抑制効果は高い。 3.てんぷら油に対しては,50%以上のごま油配合で酸化は抑制されるが,その効果はサラダオイルと比較して低かった。また,加熱時間が長時間になれば,さらに抑制効果は低くなった。 4.コーン油に対しては,50%ごま油添加で最も酸化安定性が高い油脂となり,ごま油より酸化されなかった。ごま油添加量10%のとき最も酸化し,90%でごま油とほぼ同様となり,添加量が油脂の酸化防止に影響した。 また,ごま油・コーン油(1 : 1)は5分加熱より10分間加熱の方に酸化防止の効果が,強く現れた。 5.ごま油とコーン油のアルカリ安定脂質の含量はサラダオイル・てんぷら油より多く,脂肪酸含量はサラダオイル・てんぷら油より少なかった。ステロールは4油脂いづれにも含有された。 今後,アルカリ安定脂質,脂肪酸組成,ステロール組成などについても検討したい。
著者
中村 年子 遠藤 仁子 本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 片桐 晶子 鷲見 孝子 松尾 良克
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.75-84, 1989-03-31
被引用文献数
1

1)漬け物を漬けている世帯は全体の80.8%であり,地域別では農村が最も多かった。高齢者のいる家庭では,いない家庭より漬けている比率が高かった。2)漬ける漬け物の種類は,塩漬けが78%と圧倒的に多く,ついで梅漬けであった。1世帯で漬ける漬け物の種類数は1〜3種類が過半数を占め,5種類以上漬ける家庭も33.8%あった。3)塩漬けにする食品は,きゅうり,白菜が最も多く,何れも60%以上の家庭で漬けられていた。漬けておく期間は1〜2日が71.4%と短期間のものが多く,長期間のものは僅かであった。4)梅漬けは毎年必ず漬ける家庭が60%前後あり,土用干しをする大梅・小梅が圧倒的に多かった。各年齢層別に梅を漬ける人の比率をみると61〜65歳が75.0%で最も高かった。高齢者がいる家庭のうち約70%は梅を漬けており,高齢者のいない家庭よりその比率が高かった。1回に漬ける梅の分量は,大梅・小梅ともに1〜4kgが多かった。塩分濃度は大梅・小梅(土用干し)とも,平均が約17%であり,塩分濃度の低いもの程焼酎を併用するものが多かった。5)漬け物を購入する家庭は全世帯の89.1%であり,漬ける・漬けないにかかわらず,ほとんどの家庭が購入していた。購入する漬け物の種類は,たくあん漬けが最も多く,ついで野菜類の塩漬け,福神漬け,梅干しの順であった。6)食事に漬け物が「必ず出る」は自宅で漬ける家庭では67.1%,漬けない家庭では31.2%であり,漬けているかいないかによって,その差が顕著であった。高齢者のいる家庭では,「必ず出る」が66.7%で,高齢者のいる家庭の方が漬け物が食事に出る頻度が高かった。7)漬け物の嗜好については「好き」と答えたものがほとんどであり,「嫌い」は僅かであった。年齢別では31歳以上はその70〜80%のものが「好き」で,30歳以下との差が顕著であった。8)食べる頻度は「毎日必ず食べる」と「1日1回以上食べる」とで全体の半数を占め,「全く食べない」は僅かであった。嗜好別では「好き」と答えたものは「毎食必ず食べる」41.8%,「1日1回以上食べる」32.5%で,好きでないものより圧倒的によく食べている。即席漬けにしょう油をかけるものが約70%あった。
著者
尾木 千恵美 山根 和美 平光 美津子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.17-26, 2004-03-31

1)付加運動の働きかけを一定期間行った場合と止めた場合に対象者の身体状況、食習慣、休養状況などの実態を知るために3回の調査により結果を得た。2)対象者の身体状況は、3回の測定値が身長1.57m、体重54.1〜54.4kgであり、BMIの肥満判定は「普通」であった。体脂肪率は常に30%以上であり、「肥満」に該当した。W/H比は、0.73〜0.76であり、最高値は0.85であった。血圧の平均値は、最高血圧が105mmHg前後、最低血圧が70mmHg前後であった。3)成人特殊向き食習慣判定結果は、AとBの判定を「よい」とすると、1回目が66。7%、2回目が83.3%、3回目が79.2%であり、大半の者は食習慣について問題がないと判定された。点数化した総得点の平均値は、1回目が11.8±2.9点、2回目が12.8±2.4点、3回目が12.8±2.9点となった。1回目と2回目の間には有意差(P<0.05)があった。4)貧血者用食習慣判定結果は、CとDの判定を「よくない」とすると、1回目が37.5%、2回目が45.9%、3回目が41.7%で貧血に関して改善が必要であった。点数化した総得点の平均値は、1回目が11.0±2.8点、2回目が11.2±3.0点、3回目が10.6±3.1点であった。それぞれの間には有意差はみられなかった。5)疲労診断で「問題なし」の判定は、1回目が16.7%、2・3回目がそれぞれ20.8%であり、大半の者が肉体的・精神的に疲労していた。肉体疲労10項目のうち、「眠い」、「あくびが出る」は、3回を通じ8割以上あった。精神疲労20項目のうち、「いらいらする」をはじめ14項目については、症状を訴える者の割合が3回を通じ減少した。6)休養状況でCとDの判定を「休養不足」とすると1回目は41.7%、2回目は29.2%、3回目は37.5%であった。点数化した総得点の平均値は、1回目が10.1±2.3点、2回目が10.8±2.1点、3回目が10.5」・2.7点であった。3回の平均値の間に有意差は見られなかった。「睡眠」について、「十分眠れない」は、1・2回目がそれぞれ62.5%、3回目が75.0%であった。7)提示した付加運動(11項目)で、各自が実行しようと思った項目について7回の平均値でみると「階段」、「多く歩く」、「手作業」、「自宅で運動の4項目は90%以上あった。「散歩, ウォーキング」、「スポーツ」は半数以下であった。目標設定の継続性では、「階段」、「多く歩く」、「自宅で運動」は実行しようと思う割合が高く続いた。付加運動の項目数は4〜11項目と個人差があった。8)目標設定した付加運動のうち実行した項目数の平均は、1回目が5.7項目、7回目にいたっては7。0項目と増加した。目標達成度を自己採点させた結果、1回目は51.8点であったが、7回目は65。6点に増加した。「階段」、「バスや電車」、「自転車」、「多く歩く」は、回を重ねる毎に増加した。「散歩, ウォーキング」は、実行する者が少なかった。9)実行しなかった理由を付加運動の項目別にみると、「リモコンを利用しない」、「多く歩く」では「便利で楽な方を選んだから」を、「散歩, ウォーキング」、「スポーツ」では「めんどうだから」、「忙しかったから」、「一人ではいやだから」とした。10)付加運動の実行項目数および達成度の平均値は、「実行しなかった」グループは5.7項目で55.5点、「実行した」.グループは7.6項目で62.7点であった。付加運動の項目別実行した割合は、「実行しなかった」グループは「実行した」グループより割合が低かった。
著者
本間 恵美 粥川 晶子 遠藤 仁子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.27-34, 1994-03-31

おせち料理に対する意識および実態は,家庭によって差があるが,母親による影響が大きいことがわかった。要約すると次のようになる。 1)おせち料理を用意する家庭は全体の97.6%あった。そのうち全て手作りで整えている家庭は5.7%,市販品だけで済ませている家庭は2.1%であった。 2)各家庭毎の料理の品数は8〜11品の家庭が多い。 3)多くの家庭で取り入れられている料理は,黒豆・田作り・数の子・かまぼこ・卵焼き・野菜のうま煮・昆布巻き・きんとんなど,伝統的なものであった。 4)祝い肴を80%以上の家庭に取り入れられており,祝い肴を三種そろえて用意している家庭は65.2%あった。 5)おせち料理のうち手作り料理は55.3%,市販品が44.7%で,各家庭の平均品数は手作り料理5.5品,市販品4.6品であり,手作り料理の方がわずかに多かった。 6)重箱を用いている家庭は62.8%あったが,年度別にみると次第に減少の傾向にある。詰め方は形式にこだわらず,各家庭まちまちであった。 7)正月に対する意識は,「家族全員で祝いたい」,「おせち料理は欠かせないと思う」,「正月用の特別の食器を使いたい」の順に高かった。 8)おせち料理の整え方について,手作りしたいと思っているものは,母親・学生とも約60%あった。両者の間に有意差は認められなかったが,「手作りしたい」という意識は母親の方が高く,「特別にしなくてよい」という意識は学生の方がわずかに高い傾向にあった。 9)母親の手作り意識別に,実際の手作り度をみると手作りの志向の高い家庭は,手作り度が高く,手作り料理の品数も多かった。 10)伝承は実家の母親から受けたものが多く,婚家より実家のおせち料理の方が,圧倒的に多く伝承されていくようである。 11)伝承を受けたものは,「おせち料理は欠かせない」という意識が高く,伝承がなければおせち料理に対する意識も次第に薄れていくものと思われる。 12)「献立を考える」・「買い物をする」・「料理をする」「盛り付け・重詰めをする」について,学生の手伝いの程度を調べた結果,「買い物」は「よく手伝った」といえるものが他の項目よりは多いが,全体的に手伝いの程度は低いといえる。 13)よく手伝いをしているものほど,「おせち料理は欠かせない」という意識が高い。 行事食はその国の文化の一つである。食生活が多様化し,わが国の伝統の料理が日常の食卓から遠のいて行きがちな現在,おせち料理を作り,新春を祝うことを通して,日本の文化を伝承していくことが大切である。時代に即したおせち料理に変化させながらも,伝統の味を受け継いでいきたい。
著者
小野寺 孝義
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.113-122, 1989-03-31

The purpose of this study was to investigate types of physically attractive persons and stereotypes of beauty. Many studies indicate that physical attractiveness is a very important factor for dating behavior and spouse selection. In addition to these researches, some investigators suggest there is a common consensus for evaluating female stimuli high in physical attractiveness. In this study, 13 slides of female faces, which were evaluated being as beautiful in a pretest, were used as stimulus. 111 subjects evaluated those stimuli for various aspects. Results of PCA indicated that there is no consistent pattern between sttractiveness of stimuli and factors. However, five factors ; 'SEXY', 'PERSONALITY', 'LOLITA', 'SINCERITY-INTELLIGENCE' and 'SOCIABILITY', were identified common factors and having same attributes. Q-mode factor analysis showed there are clusters of subjects for reflecting individual differences. According to the degree of attractiveness, stimuli were divided into three groups and MANOVA and ANOVAs were performed. Results confirmed there is "beauty stereotype" in Japan as well as western countries. Subjects evaluated "High attractive" stimuli persons having many socially desirable characters, while "Low attractive" not having. However, "Low attractive" stimuli persons got high evaluation in some characters, which were generally characterized as masculine attributes. Correlations between "beautiful (utukusii)" and other items indicated there is strong tendency in male subjects to obtain a physically sttractive person as a dating partner or a spouse.
著者
山澤 和子 山下 ルミ
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.73-78, 2001-03-31

従来のペクチン定量法は,メトキシル基含量別の分画が不良,分析時間が長いなど若干の問題点がある。そこで,0.OlM塩酸溶液(pH2.0)に続き酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0),次にヘキサメタ燐酸ナトリウム溶液(pH4.0)を抽出溶媒^5)に使用し,短瞬間でメトキシル基含量の異なるペクチン質を分別定量する簡易法について検討した。(1)超音波による振とう攪拌を塩酸溶液および酢酸ナトリウム緩衝液で10時間の抽出中2時間毎に,ヘキサメタ燐酸ナトリウム溶液で2時間の抽出中30分毎に,各々2分間行った結果,溶出した糖量は振とう攪拌を行なかった場合に比し顕著に増加した。(2)抽出を18,25および35℃の3種の温度で行った結果,糖の溶出量は処理温度が高いほど多く,特に塩酸溶液および酢酸ナトリウム緩衝液による抽出ではこの傾向が顕著であった。(3)抽出温度35℃および超音波による振とう攪拌を一定間隔で2分間付加した場合,糖溶出に要する抽出時間は,塩酸溶液および酢酸ナトリウム緩衝液で10時間,ヘキサメタ燐酸ナトリウム溶液で4時間であった。
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 粥川 晶子 鷲見 孝子 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.39-48, 1993-04

(1) 調理担当者が市販そうざい・調理済み食品を利用する時に,調理を手抜きしたようなうしろめたさを感じる割合は,「感じることもある」が最も高く,半数を占めた。 利用方法を「加熱のみ」と「ひと手間加える」別にみた「うしろめたさを感じる」割合は,調理済み食品の「加熱のみ」85.5%が,他よりも高く,うしろめたさを「全く感じない」は,調理済み食品の「ひと手間加える」がわずかに高かった。 (2) うしろめたさと利用する理由は,「いつも感じている」「感じることもある」「全く感じない」のいずれも,「作る時間的ゆとりなし」が最も多く,「感じることもある」では「調理することがめんどう」も理由にあがり,「全く感じない」者は,「作るより経済的」「家族が好む」をもあげていた。 (3) うしろめたさを感じる割合の高い食品は,コロッケ,フライ,肉の空揚げなどおかずになるような食品で,低い食品は,寿司,赤飯,中華まん類,ピザパイなどの軽食になる食品が多かった。 うしろめたさと購入は,購入の多いことが,うしろめたさを感じないものであるとは一概には言えなかった。 (4) 市販食品の利用を好まない家族は,全体の1/3を上回り,「ほとんど利用しない」家庭に多かった。年代別にみると,50歳代は市販食品を好まない割合が他よりも高く,若い年齢の者ほど好まない割合が低かった。 家族が嫌う食品は,コロッケ,煮物,茶碗蒸しが少々目だつ程度で,全体的には低い値であった。 (5) 現在の利用に対する意識は「利用してないほうだと思う」が55.6%を占め,「ふつうだと思う」を上回った。 利用頻度の実態と現在の意識は,利用頻度の高い者ほど「利用しているほうだと思う」割合が高かった。(6) 今後の利用に対する意識は,「もっと利用したい」「今後は利用したい」がひとりもなく,「できるなら減らしたい」「できるだけ減らしたい」が合わせて約60%あった。 (7) 現在の利用頻度別今後の意識は,「週に3〜4回以上」利用している者の「今後も利用したい」割合は,市販そうざいで100%,調理済み食品で71.4%と,利用頻度の高い者に,利用に対しての積極性がみられた。 (8) 「今後は現在くらい利用したい」者の今後利用したい食品の順位は,市販そうざいではうなぎのかば焼き,中華まん類,シューマイ,ギョーザなど,調理済み食品ではラーメン,ピザパイ,中華まん類,シューマイなどとなった。 (9) 調理素材の利用状況は,コーン78.4%,魚類缶詰76.4%が最も多く,インスタント調味料ではカレールー91.0%,焼肉のたれ68.1%が多かった。調理素材の利用率は91.7%を占め,利用する理由は,「季節に関係なく使える」「下ごしらえの時間的ゆとりなし」が多かった。 (10) 今後は,市販食品の利用が伸び,市場には健康志向,高級志向,高齢化に対応し,選択性に富んだ多品種の商品が出まわると思われる。 しかし,手作りに対する魅力も根強いものがあり,手作りと簡便性の両方が満たされるインスタント調味料,調理素材の利用が増えるものと推測される。
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 片桐 晶子 鷲見 孝子 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.21-32, 1992

(1) 利用頻度は「1週間に1〜2回」が、市販そうざいでは23.6%、調理済み食品では38.9%であり、調理済み食品の方が高かった。市販そうざいの利用頻度は、年代別では20歳代、就業状態別では専業主婦が高かった。調理済み食品については年代別、就業状態別いずれも、差はみられなかった。 (2) 利用する理由は「作る時間的ゆとりなし」が最も多く、市販そうざいは56.0%、調理済み食品は50.7%であった。 (3) 利用する目的は、市販そうざいでは「もう一品足したい」が53.0%、調理済み食品では「弁当を作る」が60.0%と最も多かった。 (4) 購入時の留意点については、市販そうざい、調理済み食品のいずれも、「製造年月日」「賞味期限」「食品添加物」の順であった。 (5) 利用法としては、市販そうざいでは「加熱する」が39.4%と多く、調理済み食品では「もうひと手間かける」49.3%と多かった。 (6) 市販そうざい38食品の食品別購入状況について、「手作りはせず全て購入する」は、うなぎのかば焼き、中華まん類が著しく多く、「購入しない」食品は、白飯、卵焼き、その他であった。また、寿司、お好み焼き、サンドイッチ、赤飯・おこわは、若い人ほど購入割合が高かった。年代別に比較すると、「購入する」割合は、20歳代の方が30歳代・40歳代よりも高かった。就業状態別、家族構成別では、それぞれあまり差は見られなかった。 (7) 調理済み食品27食品の食品別購入状況について、「手作りはせず全て購入する」は、中華まん類、シューマイ、ピザパイ、ラーメンの順に多かった。「購入しない」は、白飯、シチュー、ぞうすい、どんぶり物の具の順に多かった。年代別にみると、20歳代がよく利用しており、就業状態別、家族構成別については差が見られなかった。 (8) 個人別利用状況を点数化して判定した結果では、市販そうざいの平均は61.5±12.2点であった。点数の低い者の利用しない理由は、「味が好みに合わない」「添加物が気になる」であり、点数の高い者の利用する理由は、「調理することがめんどう」「作る時間的ゆとりなし」であった。調理済み食品の平均は46.7±9.5点であった。最低点の者は、市販そうざいも最低点であった。点数の高い者の利用する理由は、「作る時間的ゆとりなし」「家族が好む」であった。 (9) 市販そうざいと調理済み食品の両方で調査した食品(10種類)の利用度の平均は、市販そうざいが18.6±6.5点、調理済み食品は18.5±5.4点で、両者に差はなかった。市販そうざいと調理済み食品の利用度には相関関係がみられた。点数の低い者は、食品添加物を気にして手作りをしようと心がけ、点数の高い者は製造年月日や賞味期限を気にしながらも、味や簡便性から市販食品を利用していた。 (10) 夕食作りに要する時間と、市販食品の利用頻度とは関連はなかったが、上手な利用法とは関連がみられた。