著者
野田 良之
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1973, pp.1-23, 1974-10-30 (Released:2009-02-12)
参考文献数
28
著者
矢崎 光圀
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1971, pp.155-177, 1972-10-30 (Released:2008-11-17)
参考文献数
50
著者
碧海 純一
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1971, pp.27-42, 1972-10-30 (Released:2008-11-17)
参考文献数
22
著者
北川 善太郎
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1971, pp.43-73, 1972-10-30 (Released:2008-11-17)
参考文献数
37

最後にこれまでの要約をしておこう。 「法解釈学の再検討」(二)では、従来の法解釈論争が解釈を一つの実践的行動であるとする点で一致したまとまりをみせているが、そこではもっぱら裁判を前提とした法解釈であり法解釈学が考えられている。しかし、判例中心の法解釈学では、社会的現実をとらえることには限界がある。このことはアメリカにおけるケース・メソッドがはっきり示している点である。法解釈学における事実は、社会的現実に焦点をあわす必要がある。他方、わが私法社会に生起する問題解決のために法解釈学が動員され、法理論がつくられていくが、そうした法形成のプロセスとならんで、わが法独特の事情として、かつて現実とは一応遮断して外国法ないし法学を完成品として輸入したことによる問題もなお現代のものとしてのこっている。こうした諸点は法解釈学のいずれの分野でもみられるのであり、これらを検討するたあには、法解釈学の視野拡大が必要である。 三の「問題解明のための枠組」では、法解釈学の視野拡大をうけとめるために、問題領域のひろがりをまずおさえることを試みた。本稿では、法形成の行なわれる立法、行政、裁判、社会、学説の各局面に対するに、継受法と社会規範内抽象的体系と社会的現実、判例中心の実用法学といったわが法の与件を配して、それぞれの組合わせによって法解釈学の問題領域のひろがりをとらえようとした。ここでえられた問題領域はきわめてひろいが、それぞれに対してこれまでの法解釈学は無意識的にせよ個々的にアプローチをしてきたといえる場合も少なくない。 かように法解釈学の視野拡大のスコープがきまると、つぎはそれぞれについて具体的な検討をすることになる。 四の「若干の問題へのアプローチ」では、A「裁判による紛争解決の実効性」、B「形式的な概念主義」、C「法.曹の契約理論・契約意識」、D「私法体系のアンバランス」のテーマについて考察した。Aでは、法的紛争解決において、裁判による解決と話し合いによる解決とがわが国ではいずれがより合理的で満足のいく解決となるかのコンクール関係にあるという視点をといた。Bのテーマでは、裁判所による法形成と行政官庁の有権解釈によ、る法形成との対立の例をとりながら、法理論・法形成のユニークな一面を検討した。Cはわが私法体系が契約法体系をまとまったものとして構築していないので、契約の論点が、民法総則、債権総論、各論とあちこちで扱われることになっていることを指摘し、法律家自らの喫約理論、契約意識に問題がないかを考えてみた。Dでは、今日なお存続するパンデクテン・ジステームがどういう問題を法理論・法形成になげかけているかを分析した。判例中心の実用法学は問題に即した法形成を着実にフォローするが、これがそのまま伝来的な抽象的体系にはめ込まれると、まま一般化される危険に抗しがたくなる。これでは問題思考は体系思考の従属物になりかねないわけである。あるいは、伝来的な抽象的体系に欠缺があれば、現実には頻繁に生ずる問題であっても、適切な法理論を見出さないままにおかれることが生じる。 以上が本稿の要旨である。本稿は、法解釈における論理のはたらき、それによる法形成の問題を法解釈学のあり方との関係で考察したものである。すでにあきらかにしたような理由で、裁判における法解釈に焦点をあわせて法理論・法形成をとらえること-そのことはきわめて重要であるが、そこでの法形成が、わが私法社会にとりどういうものかをしらないままこれをすすめることにはちゅうちょを感じる。-よりも、筆者には、法解釈学の視野拡大・それの再構成が先決問題であった。そこで、この拡大された問題領域で、法理論といい法形成といっても、かなり色合いのことなる特質のものがあることを試論的に具体的なテーマを検討しつつ考えてみたわけである。したがって、同一手法による具体的制度の解釈論の分析をもふくめたそれぞれの問題領域での法理論・法形成そのものの分析は今後の課題としてのこっている。
著者
タンメロイルマー
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1969, pp.195-205, 1970-10-10 (Released:2008-11-17)
参考文献数
1

本稿は現代法論理の本質と目標に説明と分析を行うものである。法論理学は現在の法理論において極めて顕著な発展をとげているのである。法論理学は、ここでは、法の領域においての自己矛盾のない思考の原則および方法に関する形式的な学問forma ldisciplineと考えられる。法論理は、法学的論理juristic logicあるいは、目的が法についてのabout思考にある論理と、法的論理juridic logic、目的が法そのものitselfの思考にある論理とに分けられる。従来、法論理学の価値について表明されて来た反対意見は、以下に示す根拠によって排斥されるものである。それは、このような意見のすべてが、近代論理学の原則、方法、範囲について適切な理解を欠いていること、また、法思考は厳密な基準や技術を参照したり頼りとすることによってのみ、理解や処理が可能である合理的要素や局面があることは否定しえないことであるからである。法方法legal methodが論理的手続によってのみ成りたつているものではないこと、論理的手続の他に形式的には妥当でないが、なお合理的であると弁護出来る結論に導いて行くような他の手続の存在が認められる。この本質は法の実体的内容をなすものであり、それは探索的zetetic推理とでも呼べるものである。このような探索的推理の主要な種類には、帰納論法induction、類比論法eduction(類比analogyによる推理)、演繹論法deductionおよび擬似論法paraductionがある。擬似的推理は価値判断を正当化するに当つて特に使用され、その理論は前提論topics、修辞学rhetoricsおよび弁証法dialecticsといつた仕組の中で発展して来た。本稿は、たえず増加している法の複雑性と数量が、最も新しい推理の技術によってのみ対処しうる法方法論に挑戦してきているという結論に達した。現代の法論理学は、探索の分野に属する学問の最近における発展と相まって、法的推理の用具としての論理このような挑戦に対応しうるものと考えられている。