著者
円子 紳一 持田 誠
出版者
浦幌町立博物館
雑誌
浦幌町立博物館紀要
巻号頁・発行日
vol.20, pp.33-34, 2020-03

国内で食用として利用されているモクズガニ(イワガニ科 Eriocheir japonica (de Haan))の生息が、浦幌川で確認された。国内では普通種で、道内各地に広く分布しているとされるが、道東・十勝では生息情報が少ない。
著者
持田 誠
出版者
浦幌町立博物館
雑誌
浦幌町立博物館紀要
巻号頁・発行日
vol.20, pp.21-29, 2020-03

浦幌町字活平に所在する活平神社には、1921(大正10)年9月に奉納された絵馬が存在する(図1)。現在、浦幌町内に残っている社寺所有の絵馬のなかでは、博物館で把握している限り、厚内神社に残る1909(明治42)年奉納の絵馬(持田 2019)に次いで古いものである。この絵馬には、奉納者として「廣島県人 丸岡キサノ」の名前がみられる。また、一般的な絵馬が板に絵で馬を描くのに対し、この絵馬は刺繍によって製作されているという、大きな特徴がある。しかし、『浦幌町史』などの公刊資料には、丸岡キサノに関する記述は無く、またこの絵馬についても言及されている資料は見当たらない。そこで博物館では、丸岡キサノの孫にあたり、丸岡家の歴史について独自に調査を実施してきた丸岡繁喜氏(現在は北広島市に在住)から聞き取りを行なった。次に、丸岡家に残る写真や家系図、キサノと、キサノの長男である栄三氏の手記などを実見し、町史や部落史などの関連資料と照合しながら内容を検討した。本報では、これらの調査をもとに、丸岡キサノとはどういった人物なのか、なぜこの絵馬が奉納されたのか、などの資料情報の収集と、地域における絵馬の地方史的な意義について検討した。
著者
持田 誠 加納 寛之
出版者
浦幌町立博物館
雑誌
浦幌町立博物館紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-40, 2013

浦幌町立博物館には、上浦幌小学校標本、中川公郎標本、吉田康登標本などの植物標本が収蔵されている。2012(平成24)年11月に、帯広百年記念館の移動展「博物館はなぜ標本を集めるのか? 標本からわかること」展を開催し、これらの標本について展示・公開した。展示に際し、これらの植物標本について資料情報の調査・検討を実施した。本報ではこのうちの吉田康登標本について、採集者吉田康登氏の人物史と浦幌町、池田町との関わりを明らかにし、本標本の持つ意義について考察した。また、標本目録を作製し、今後の調査研究や教育への利用に供するものとした。
著者
持田 誠 百瀬 邦和
出版者
浦幌町立博物館
雑誌
浦幌町立博物館紀要
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-37, 2020-03

ウズラ Coturnix japonica はキジ科ウズラ属に分類される小型の草原性鳥類である。もともと伝統的な狩猟鳥だったが、明治中期から家禽としての飼養「養鶉」がはじまり、一般には鶏卵と並んで食用卵として広く知られている(奥山 2005)。しかし、野生のウズラは、全国的には1960年代から狩猟シーズンの捕獲羽数が減少傾向にあり、特に1980年代に激減した(木村 1991)。一方、北海道での最多捕獲年代は1960年代と、本州以南よりも遅かったが、やはり以後同じような減少傾向にあるとされる(奥山 2004)。筆者のうち百瀬は、2019年夏に、浦幌町の静内川沿いでウズラに遭遇した。浦幌での確認事例は近年きわめて少ないので、記録として報告する。