著者
加納 寛之 住田 朋久 佐藤 靖
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.128-139, 2021-07-19 (Released:2021-07-19)
参考文献数
30

Experts have played active roles in the Japanese government's efforts to respond to novel coronavirus infections. Those who participated in scientific advisory organizations not only expressed their opinions on the government's policies and measures based on their scientific knowledge, but also advised the government on the major directions and strategies to be taken, and took on public communication to encourage people to voluntarily change their behavior. However, given the current institutional framework, such actions of scientific advisors in combating novel coronavirus infections go beyond the prescribed roles and responsibilities of scientific advisors as brokers between science and the government. Public communication is an important means of fostering public trust and consent, which are essential for ensuring the effectiveness of policy responses based on scientific advice. Therefore, there is an urgent need to incorporate public communication more explicitly into scientific advice activities. This paper reviews Japan's national efforts for scientific advice, which accelerated after the Great East Japan Earthquake, as well as efforts on public communication by scientific advisors and advisory organizations, and then points out unresolved issues on the relationships between scientific advice and society, in light of Japan's recent experience with new coronavirus infection.
著者
持田 誠 加納 寛之
出版者
浦幌町立博物館
雑誌
浦幌町立博物館紀要
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-40, 2013

浦幌町立博物館には、上浦幌小学校標本、中川公郎標本、吉田康登標本などの植物標本が収蔵されている。2012(平成24)年11月に、帯広百年記念館の移動展「博物館はなぜ標本を集めるのか? 標本からわかること」展を開催し、これらの標本について展示・公開した。展示に際し、これらの植物標本について資料情報の調査・検討を実施した。本報ではこのうちの吉田康登標本について、採集者吉田康登氏の人物史と浦幌町、池田町との関わりを明らかにし、本標本の持つ意義について考察した。また、標本目録を作製し、今後の調査研究や教育への利用に供するものとした。
著者
加納 寛之
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

今年度の研究は大きく以下の2点からなる。第一に、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC; Intergovernmental Panel on Climate Change)で採用されている不確実性の定義について検討した。IPCCが現在採用する不確実性の定義は、2010年に発行されたガイダンス・ノートに依拠する。その中で、用いられている術語の曖昧性については、すでにいくつかの研究があるものの、依然として、まだ手付かずの問題が残っている。本研究では、不確実性を規定する尺度のひとつ、確信度を構成する二つの測定基準、「証拠」と「専門家の見解の一致度」の関係性について明確にした。第二に、IPCCの各ワーキング・グループ(WG)の証拠の集約基準について検討した。WGIがピアレビューを経た科学的知見に基づく比較的ロバストな証拠を扱うのに対し、WGII、WGIIIでは、grey literatureと呼ばれる証拠群であったり、社会的な価値を考慮する必要がある。本研究では、各WGで採用される証拠の特徴を明確にした後、どのような証拠収集のアレンジメントの実現されるのかを描き出した。また、今年度は9月より半年間、イギリス、London School of Economics and Political ScienceのCentre for Philosophy of Natural and Social Scienceで、visiting studentとして研究に従事じた。現地の研究者との交流を通して、本研究の議論の細部に関わる論点を明確にした。この点については、研究をまとめる際に反映していく。それと同時に、政策科学やリスク研究の研究者、および、気候変動政策の実務者との接点を持ちながら研究を進めていく重要性を学んだ。この点についても、来年度以降、意識的に働きかけていきたい。