- 著者
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横手 逸男
- 出版者
- 湘北短期大学
- 雑誌
- 湘北紀要 = Journal of Shohoku College (ISSN:03859096)
- 巻号頁・発行日
- no.41, pp.163-178, 2020-03-31
平成28(2016)年8月8日,「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」がビデオメッセージで発表されて以降,内閣は,天皇の公務の負担軽減を図るため「有識者会議」を設置し検討を重ね,また国会では衆参両院正副議長の下で,天皇陛下の「退位に関する法整備のあり方」が検討された。内閣は,国会や有識者会議で示された意見をもとに「天皇陛下の退位等に関する皇室典範特例法案」を作成して国会に提出し,本法案は平成29(2017)年6月9日に可決成立し,平成31年4月30日に施行された。本法の制定過程においては,法案の施行日,天皇陛下の退位と新天皇の即位に関する儀式をめぐる憲法上の問題,女性宮家創設の問題等さまざまな議論が噴出した。本稿では,皇位継承儀式の特に憲法上の論点と課題を明確にし,今後の研究の一助としたい。