著者
笠井 勝也 西前 出 小林 愼太郎
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.285-290, 2009 (Released:2011-02-15)
被引用文献数
1

富士山の山小屋が補助金を受けて設置した自己処理型トイレの維持管理コスト確保が困難な状況に陥っている。本研究では,総合パフォーマンス評価による自己処理型トイレの評価,PSM 分析を用いた適正トイレ使用料金の推定,CVM による入山料に対するWTP の推定を通じ,設置場所の環境に適した屎尿処理装置が導入されているか,協力金の設定金額は妥当であるか,入山料徴収制度の実現可能性について検討した。その結果,総合パフォーマンス評価を用いた屎尿処理装置の選定および入山料徴収制度の導入が,富士山における山小屋トイレ維持管理費確保問題の解決に寄与しうることが確認された。
著者
西田 一也 大平 充 千賀 裕太郎
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.197-202, 2009 (Released:2011-02-15)

本研究では冬季の農業水路における魚類の越冬実態と,越冬場の環境条件を明らかにすることを目的とし,東京都国立市を流れる府中用水において2006年9月から2009年1月にかけて,水路の魚類と環境条件の調査を行った。その結果,次の知見および推論が得られた。1)農業水路の上流区間の流量の多い区間が越冬場として重要であると推察された。2)水路に生息する魚類は非灌漑期に減少し,その密度は灌漑期に比べて局所的に大きくなった。3)橋のような大型のカバーが存在し,水深が大きく(35cm以上),流速が小さく(10cm/s以下),砂泥とリターの堆積する水路区間が恒常的な越冬場となっていると考えられた。
著者
土光 智子 福井 弘道 大澤 啓志 一ノ瀬 友博
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2009 (Released:2011-02-15)

害獣でありアンブレラ種でもあるツキノワグマは,有効な生息地管理が期待されており,本種の生息地推定には意義があると思われる。本研究では,環境指標によるツキノワグマ生息確率予測モデルを開発した。ロジスティック回帰モデルは,log(p/(1-p))=(-1.486e+01)+(7.335e-04)*x1+(9.470e-03)*x2であった。ここでx1 は徒歩道・庭園路等への距離(m),x2 は標高(m),p は本種の生息確率を示している。本モデルは,生息地管理に応用が可能であり,今後は他の地域個体群生息確率予測への適用可能性の検証が望まれる。