著者
馬渕 浩司 西田 一也 吉田 誠
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.19-012, (Released:2019-08-10)
参考文献数
23

A total of 351 eggs from 12 egg populations was collected in June 2018 from a revetmented tributary of the Chounogi River, ca. 2 km upstream from Lake Biwa. Analysis of 95 of these eggs (sampled about equally from all populations) by a 2 or 3-step DNA identification process resulted in 71 being successfully sorted into the following five taxa: Gnathopogon caerulescens (25 eggs), Carassius buergeri grandoculis (22), triploid Carassius (4), and Japanese (8) and Eurasian (12) species of Cyprinus. Of these five taxa, G. caerulescens, C. buergeri grandoculis, and Japanese Cyprinus sp. are thought to migrate upstream to spawn, as they are more commonly found in the lake. Notably, 60% of the collected eggs were attached to the substrata provided by riverside trees (the remaining 40% were attached to vegetation hanging into the stream). Unfortunately, these trees were removed during a river renovation procedure conducted just after this study.
著者
西田 一也
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

当該年度は,全国スケールにおけるアブラハヤ・タカハヤのミトコンドリアDNA(mtDNA)Dloopの解析を行った.解析には33地点281個体の957bpを供した.ハプロタイプ(配列の種類)を基に系統樹を作成して,各地域で得られたハプロタイプ間の類縁関係を把握した.系統樹はまずタカハヤとアブラハヤに分かれ,両種間の平均塩基置換率は5.8%であった.タカハヤのハプロタイプは地理的にまとまったクレードを形成し,それらのクレード間の平均塩基置換率は1.1~2.4%であった.アブラハヤのハプロタイプにも地理的にまとまったクレードを形成するものが存在したが,なかには地理的にまとまらないハプロタイプもみられた.地理的にまとまったクレード間の平均塩基置換率は1.1~2.6%であった.仮に一般的な動物のミトコンドリアの進化速度とされる100万年当たり2%の塩基置換(Brown et al., 1979)を適用すると,アブラハヤとタカハヤはおよそ290万年前(鮮新世)に分化し,タカハヤとアブラハヤそれぞれのクレードはおよそ55~130万年前(更新世中期~前期)に分化したと推定された.関東地方で得られたタカハヤのハプロタイプは琵琶湖・淀川水系と同じクレードに属したことから,関東地方のタカハヤは同水系からの移植に由来する。と考えられた.また,アブラハヤについても,地理的に離れた東北地方と琵琶湖・淀川水系のハプロタイプが同じクレードに属したことから,同水系からの移植があった可能性も示唆された.なお,アブラハヤとタカハヤの共存水域で得たサンプリング個体の中には,ごく少数ではあるが,両種の交雑により生じたと考えられる個体が存在したことから,アブラハヤとタカハヤおよび交雑個体を簡便に判別する方法として,RAPD分析による両種および交雑個体の判別方法を開発した.
著者
満尾 世志人 西田 一也 千賀 裕太郎
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-9, 2010-03-01 (Released:2017-09-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

To evaluate how Lefua echigonia use paddy fields, we studied the so-called "yatsuda" paddy fields in Tokyo from April through November of 2006. The investigation consisted of trapping fish that migrate between the paddy fields and the irrigation channel, followed by a distributional survey at the channel. In the analysis, we compared the results of each item assessed for Lefua echigonia with those for Misgurnus anguillicaudatus and found that while both L. echigonia and M. anguillicaudatus bred in the paddy fields, the main breeding site for L. echigonia was apparently the channel. These results along with the observation that many juvenile L. echigonia enter the paddy fields suggest that the paddy fields function mainly as the growth place for L. echigonia. It was also found that L. echigonia tended to exit the paddy fields at the point of water entry.
著者
西田 一也 大平 充 千賀 裕太郎
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.197-202, 2009 (Released:2011-02-15)

本研究では冬季の農業水路における魚類の越冬実態と,越冬場の環境条件を明らかにすることを目的とし,東京都国立市を流れる府中用水において2006年9月から2009年1月にかけて,水路の魚類と環境条件の調査を行った。その結果,次の知見および推論が得られた。1)農業水路の上流区間の流量の多い区間が越冬場として重要であると推察された。2)水路に生息する魚類は非灌漑期に減少し,その密度は灌漑期に比べて局所的に大きくなった。3)橋のような大型のカバーが存在し,水深が大きく(35cm以上),流速が小さく(10cm/s以下),砂泥とリターの堆積する水路区間が恒常的な越冬場となっていると考えられた。