著者
大出 亜矢子 土光 智子 陳 文波
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.339-344, 2015

<tt>本研究はインドネシアスラウェシ島山岳地トラジャ地域農村において実施した生業項目に関する半構造型インタビュー調査とそのネットワーク分析から</tt>,<tt>過去</tt>40 <tt>年間の生業構造変化について分析する。各時期における生業項目の地域内の位置づけについてネットワーク中心性指標によって算出し</tt>,<tt>それぞれの時系列変化をとらえた。固有ベクトル中心性指標の時系列変化過程の</tt>t<tt>検定の結果から</tt>, 1979-1980, 1999-2000, 2009-2010<tt>の</tt>3<tt>時期に有意な変化が検出され</tt>,<tt>近年の多生業化傾向が示された。トレンド変化点との重複から道路や水利造成等の土地改変との関係性が示された。</tt>
著者
土光 智子 福井 弘道 大澤 啓志 一ノ瀬 友博
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.23(第23回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2009 (Released:2011-02-15)

害獣でありアンブレラ種でもあるツキノワグマは,有効な生息地管理が期待されており,本種の生息地推定には意義があると思われる。本研究では,環境指標によるツキノワグマ生息確率予測モデルを開発した。ロジスティック回帰モデルは,log(p/(1-p))=(-1.486e+01)+(7.335e-04)*x1+(9.470e-03)*x2であった。ここでx1 は徒歩道・庭園路等への距離(m),x2 は標高(m),p は本種の生息確率を示している。本モデルは,生息地管理に応用が可能であり,今後は他の地域個体群生息確率予測への適用可能性の検証が望まれる。
著者
孫 可冀 一ノ瀬 友博 土光 智子 陳 文波 板川 暢
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.28(第28回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.71-76, 2014 (Released:2014-12-03)
参考文献数
19

ヨシ群落の効率的な生育管理を実現するため,広域的なモニタリング手法の開発が期待されている。 本研究は,中国向海(シャンハイ)湿地のヨシ群落を対象にし,現地調査データと衛星画像データの両方を使用し,ヨシの在・不在,草高,茎径,稈密度の四つの予測モデルを開発した。最適モデルの結果により, ヨシの生育に最も影響している指標は水分条件と傾斜角であることがわかった。この結果を踏まえて, 保全策を検討する基礎資料として, 2010年の向海湿地のヨシ群落の生育予測図を作成した。
著者
土光 智子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は2ヵ年で首都圏近郊に位置しながら大型野生ほ乳類が生息する富士丹沢地域において、ツキノワグマ(Ursus thibetanus)を対象種にエコロジカルネットワークの策定を提案することを目標とした。具体的には、1.丹沢地域のツキノワグマのニアリアルタイム衛星追跡実験、2.移動経路・障害物などの解析およびエコロジカルネットワークの策定と評価、3.WebGIS技術を応用した地域政策立案システムの構築という3つの段階に準じて研究を進めた。第1段階においては、昨年度と同様に、2010年10月に丹沢清川村にてツキノワグマの雌個体1頭へ衛星追跡装置であるGPS付ARGOSを装着し、本研究課題では計2頭のクマの追跡ができた。また、自動撮影カメラによって、最低でも4頭のツキノワグマを判別できた。第2段階では、今年度は、昨年度に得られた追跡データを解析し、ツキノワグマによる沢の頻繁な使用と車両規制がある道路の横断が観察された。生態的回廊の最適な位置を空間的に把握するため、最小コスト経路分析という空間分析手法を用いて高解像度な縮尺(100mメッシュ)でモデリングし、1582km^2のコアエリア、182km^2の生態的回廊、618km^2の緩衝帯から成るエコロジカルネットワークを提案した。一方、既往研究の追跡(14頭)の結果を踏まえて、ツキノワグマの生息確率予測モデル開発により、地域個体群ごとの生息頭数を推定し、ギャップ分析に基づき、当地区におけるクマの生息パッチと潜在的生態的回廊を特定した。この内容は、査読付原著論文として国際誌に発表した。当地区のクマの総個体数から、富士丹沢地域個体群は絶滅が危惧されることが明らかになり、エコロジカルネットワークによりこの2つの地域個体群が内的に繋がったとしても、適切な個体数規模が維持されることは極めて難しいと結論づけられた。