著者
今西 亜友美 須多 望
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
10

本研究は,野生獣3 種と外来種6 種の被害の認知度および駆除意識と,駆除意識に関係する要因を明らかにするため質問紙調査を行った。野生獣3 種による被害の認知度はいずれも高い一方で,外来種の種および被害の認知度は種によって差があった。駆除意識には主に,性別,年齢層,当該種の被害の認知度が関係していた。野生獣や外来種の駆除プロジェクトを実施する際には,当該種による被害を具体的に説明することが重要であると考えられた。
著者
淺野 悟史 時任 美乃理 西前 出
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.262-267, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
7

生物多様性への気候変動の影響が懸念されている。とりわけ日本の高標高地に分布する冷温帯林はその影響を受けやすい地域のひとつである。本研究は主に冷温帯林に棲息するルリクワガタ属昆虫のモニタリングのために,♀個体と衝突板トラップ(FIT)を用いた定量調査法を検討した。従来の新芽掬い取り法と比較して効率的な捕獲が可能であり,FIT を掛ける位置による影響も小さいと考えられた。一方で,使用する♀は未交尾個体が望ましく,また系統の遠い種に対しては誘引効果を発揮しないことが示唆された。FIT の数や時間などを用いた定量調査が期待できる。
著者
永野 亜紀
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.119-124, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
14

本研究は政府のトップダウンによる地球温暖化対策であるクールビズについて,メディアが何を市民に伝えたのか,市民はどのように評価したのかを明らかにする事を目的とする。分析データは新聞報道の抽出記事,並びに,読者の投書記事をテキストデータ化し,内容分析と感情分析を用いた分析をおこなった。内容分析の結果からクールビズの報道は経済政治面に集中していたが、これにはクールビズの官製需要の側面が関係していると考察する。また,感情分析の結果からすべての感情極性値はネガティブな値を示していた。これは気候変動に関する人々の行動変容の観点から必ずしも悪い結果ではないと考える。
著者
宮内 太郎 阿部 直也
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.215-220, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
4

2019 年末に初めて確認された新型コロナウイルスの感染拡大は,世界各国,各地に甚大な影響を与えている。日本においても,この感染拡大による深刻な影響は2021 年5 月時点においても継続・拡大しており,特に観光業が被っている影響は非常に深刻である。本研究では,新型コロナウイルスによって生じた観光業の需要減少が,各産業へ与える負の経済効果を産業連関分析により推定した。対象は北海道,神奈川県,京都府,香川県であり,期間は2020 年4~6 月とした。また国内観光客の需要減少による影響と国外観光客の影響を分けてそれぞれで推計した。推計の結果,影響の状況は対象道府県ごとに特徴があることが分かった。
著者
小塚 みすず 吉田 正樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
4

エスカレーターは利用者を効率よく大量に輸送できる装置として広く普及している。多くの人が利用する乗り物だからこそ,安全で安心して利用できることが求められる。しかし,エスカレーターにおける事故は後を絶たない。そこで本研究では,神戸市営地下鉄を対象に,エスカレーター事故のデータを整理し,事故の要因および状況からその特徴を解析的に明らかにする。分析の結果,飲酒での利用や高齢者は事故発生のリスクが高く,とくに高齢者は救急搬送されるケースが多いことが示された。また,時間帯によって事故要因に特徴がみられることも明らかとなった。
著者
押田 佳子
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.96-101, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
9

本研究では,江戸名所図会に記載された御神木を対象とし,東京都心における御神木の継承実態を明らかにするべく調査を実施した。その結果,御神木のうち現存樹については物理的な継承を維持すべく良好な状態を保つための配慮がなされ,枯死樹では境内に御神木があるという状態を保つために2代目以降を植栽する傾向を捉えた。さらに現存樹の多くは,御由緒に関東大震災や戦災を受けながらも生き抜いたエピソードによりたくましさを付加する形で継承され,その重要性を増していることを捉えた。枯死樹については,本来の御神木はあくまでも初代御神木であるという認識から,枯死樹を祀り継承する傾向を捉えた。