著者
吉田 あや子
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.90-99, 2003-03-29

本研究は,小学2年生の描画と説明文を中心に分析した結果,健康教育の実践に役に立ついくつかの考慮すべき児童の健康認識が促えられた。多くの子どもが,友達と楽しそうに遊んでいる様子を描いており,遊びや運動が心と体を元気にする上で重要と考えており,ケンカしないことや生き物を大切にすることも,心を元気にすることにつながるのだと捉えていた。一方,早寝・早起き,好き嫌いのない食事,うがいや手洗いなどはあまり実行されていなかったが,重要なことと理解し,実行しようとする姿勢がみられた。以上のことから,小学校低学年においては,心の中にある印象・記憶をそのまま描画で表現しようとする子どもの特性を活かし,描画を取り入れた授業が効果的な健康教育になり得る事が示唆された。
著者
穴井 めぐみ
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-64, 2003-03-29

目的:看護学生の視覚遮断体験の実態を明らかにすることに加えて,その体験からの気づきを検討する。方法:看護学生の視覚遮断体験後の感想文から内容分析を行い抽出された項目の検討を行った。対象:本大学看護学科2年生63名に研究の目的について説明し,研究に使用することに同意が得られた63名の学生の感想文。結果:1.学生は視覚以外の感覚の鋭敏化や時間・空間感覚的体験,不安・緊張感・いらいらの感情などの感覚遮断体験をしていた。2.感覚遮断体験から,食べ物は視覚によっても味わっていること,空間的感覚の喪失は危険予知力の低下につながることに気づいていた。3.感覚遮断体験から,介助者の非言語的・言語的コミュニケーションに安心感を見出していた。
著者
金丸 英子
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.51-56, 2007

ニューイングランド植民地で長年、社会のマイノリティーに留まっていたバプテストは、独立戦争の際、植民地の公的宗教権威である植民地教会と共に対英姿勢を顕著にし、独立戦争を支持し参戦することで、社会的マジョリティーとなっていった。バプテストは自らの伝統的な特長である信教の自由と政教分離の主張のゆえに、植民地教会かと相容れず、迫害を受けてきたにもかかわらず、アメリカの自由と独立の獲得という共通の目的のもとに共に戦う仲間となった。これによってバプテストは社会的マジョリティーとなったが、同時に、独立国となったアメリカという政治的・社会的文脈において、信教の自由と政教分離の主張に、新しい解釈が要求されるようになった。それはいかなるものであったか。バプテストが社会的マジョリティーとなった時、喪失したものがあるとすれば、それは何か。この小論で問うてみたい。
著者
新木 真理子 大津 厚子 吉原 悦子 高木 真理
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.10-18, 2006-02-28
被引用文献数
3

本研究は、「高齢者の自発性を高めるアプローチ」に関する学内演習および臨地実習の学習成果を明らかにした上で、演習と実習の望ましい連動について検討したものである。大学3年次の看護学生を対象とし、学内演習と臨地実習における学生の自己評価および記録を分析した結果、20の学びの項目が抽出された。また、学生の演習自己評価と実習自己評価には相関があり、実習時の「満足感」に関する自己評価高・低得点群と、演習時の「GW参加度」に関する自己評価高・低得点群は、有意な関連がみられた。「高齢者の自発性のアプローチ」に関して、実習の教育効果を高めるには、演習において、基本的な患者-援助者間の相互作用や個別性の重視について、学びを深めることの必要性が示唆された。
著者
杉谷 修一
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.43-50, 2007-02-28

子どもの遊びの特徴として、ダイナミックな相互行為境界の構成が挙げられる。記述された遊びのやりとりをシークエンスに沿って分析する方法がしばしば採用される。シークエンスは会話の参加者間で行われる発話の交換であり、それは相互行為の進行にとって特定の機能を果たすため、トランスクリプトは単一の焦点を持つ会話や行動のやりとりとみなされてしまう。エピソードは相互行為の境界がどのように構成されるのかという問題に非常に重要な意味を持つと考えられる。本論文ではエピソードが遊びの中でどのように利用されているかを検討した。エピソードは単一の主題によって切り取られるひとまとまりの相互行為であるが、遊びの事例を検討した結果、必ずしもそうではないことがわかった。複数の主題が連続して継続される場合もあるし、またその主題が潜在的なこともある。このようなエピソードの複雑な構造が相互行為の境界が変動する契機として重要な関与をしている。もうひとつの特徴は、過去の一時点に位置づけられるエピソードを現在進行中の相互行為に取り込むというやり方である。このように相互行為の資源として取り込まれるエピソードを単位エピソードと呼ぶ。遊びの中では単位エピソードは単なる回想の対象ではない。それは冗談や悪ふざけの材料であり、さらには単位エピソードの改変を通じて参加者の社会関係への影響を及ぼすものにもなりえる。単位エピソードを利用することで、相互行為の枠組みは大きく変化する。それは相互行為における開放性の問題ともかかわってくる。開放性は社会的なものと空間的なものに分けることができる。前者は遊びが通常よりも広い人間関係を潜在的に受け入れる傾向があることを意味する。後者は間違いの少ない相互行為を営むには不利なほど拡大した範囲で遊びが行われることを意味している。相互行為としての遊びに影響を与える単位エピソードと開放性の関係を明らかにすることが今後の課題である。
著者
杉谷 修一
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.43-49, 2005-02-28

子どもの遊びを記述するときには、特定の遊びのルールに支配された活動を中心に据えるという方法がしぼしば採用される。しかし彼らが何を遊んでいるかよりも、どのように遊んでいるかということの方が重要な問題である。遊びを観察する際に感じるとまどいの原因のひとつとして、子どもたちの遊びが拡散的会話場として成立している可能性があげられる。つまり観察者が予想しないような場所から発話がなされたり、また当たり前のようにそれに応答するのである。このような性質は遊びのカテゴリーによる説明を当てはめることが困難な上、カテゴリーとそれを規定するルールに準拠することからのズレというネガティヴな形でしか記述することができないという特徴を持っている。そのためルールに従うという明確な枠組みを持つ相互行為の外側にある行為は残余として処理されたり、表出的な機能として独立したカテゴリーを与えられることになる。従来の観点からすれば残余である周辺的相互行為が、実は子どもの遊びにとって重要な意味を持っているということは、拡散的会話場における遊びの概念図を用いて説明することが出来る。観察対象としての遊びが展開する場面全体は、焦点化された相互行為と周辺的相互行為の二つの部分に区別される。この両者の関係がどのように変北するのかという点に注目することで六つのパターンが構成される。それぞれのパターンは両者の境界の維持・変更・解体・再構成といった局面に対応している。いずれの場合もある相互行為は他の相互行為と相互に影響しあっている。その意味で特定の焦点を持つ相互行為が特権的にその遊びの本質的部分を代表していると判断する根拠はないといえる。
著者
ラオキ ション・P
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.149-163, 2008

母親学校の指針は、チェコノコメンスキーが書いた、これは世界最初の児童教育指導書です。これは児童の父母のための本ですが、幼稚園の先生や保育所の保母はもちろん、広く園児教育に関心を持たれている方々に読んでもらいたい本です。幼児をみちびくべき目標は何か;幼いものを育み、習熱させるべきことは、健康、理解力、言葉能力、作法と品性、敬具な心、母親校から公立学校へとか。