著者
大橋 力 仁科 エミ 不破本 義孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.89, pp.15-22, 1994-06-16
被引用文献数
10

おなじ音楽ソースからつくられたLPとCDとの再生音を対象として、主観的評価と生理学評価とを総合した検討をおこなった。その結果、LP再生音とCD再生音とのあいだ、およびLP再生音とそこから22kHz以上の成分をとりのぞいた再生音とのあいだに、おなじ傾向の音質差が検知された。同時に、LPに豊富にふくまれている可聴域をこえる高周波成分が、脳波α波パワーを有意に増大させることもみいだされた。LP音とCD音とに対する人間の感性的・生理的反応のちがいは、LP再生音に豊富にふくまれる半面CD再生音にほとんどふくまれていない可聴域をこえる高周波成分の誘起するハイパーソニック・エフェクトが主たる要因になっている可能性がたかい。
著者
平賀 裕 斎藤 善行 森島 繁生 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.1-8, 1994-01-26
被引用文献数
25

音声に含まれる基本的感情を分析するため、演劇経験者に感情を込めて単語音声・短文音声を発声してもらい、それぞれに関して分析を試みた。本研究では扱う感情を「怒り」「喜び」「悲しみ」「嫌悪」の4種とし、「平静」音声と比較を基に今まであまり行なわれていなかったピッチ周波数・振幅の変化パターンの検討を中心に分析を行った。またより豊かな感情分析のためにFMラジオから感情音声を採取し、主観評価した後同様の検討を加えた。その結果、矛盾点も皆無というわけではなかったが、相互に多大なる共通項を見いだすことが出来た。
著者
橋本 雅行 譚 玉昆 森本 一成 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.89, pp.39-44, 1994-06-16
被引用文献数
4 1

対面感は実際に相手と面と向かっているという感覚であり,対面コミュニケーションと同様にテレコミュニケーションで自然な対話を行うのに重要である.この感覚は声の大きさや当事者間の距離,アイ・コンタクトの在存など多くの要素によって引き起こされる.本論文では,対面状況,ビデオ状況で生じる距離感について実験的に調べた結果を報告する.実験変数は被験者位置,画面サイズ,画面上の人物サイズである.被験者に実際の人物または画面に映った人物と自分との距離を答えさせたもので,ビデオ・コミュニケーションの場合は,画面の表示条件によって距離感が変化すことがわかった.また,距離感は対面感ないし臨場感を構成する要素の1つであることも判明した.
著者
坂口 竜己 森島 繁生 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.61-68, 1994-01-26
被引用文献数
17

よりユーザフレンドリーなコンピュータとのコミュニケーション環境実現のため、顔表情動画像を用いたインタフェース構築の研究を進めている。筆者らはすでにモデルベース手法を応用した表情動画像の作成について提案しているが、この表情変形規則は2次元的な計測を基に作られたものであったため、満足な性能は得られていなかった。本稿では、顔表面の3次元計測により、各表情表出時の顔面皮膚の移動量を求め、新たな移度制御点(特徴点)の設定と移動規則の決定を行なっている。3次元計測では正面・側面画像を利用する手法を採用し、誤差±1.2%程度の精度を得ている。更に得られた特徴点位置についての測定結果よりFACSのAUの定量化を見直し、特徴点以外の点の補間法を検討してより自然な画像合成を行なっている。
著者
大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.345, pp.33-40, 1993-11-25

対人コミュニケーションの過程はメディア、個人属性、対人関係、状況など多くの要因からなる。社会的行動の中心的な要因であり、多くの機能を担っている。それは、情報伝達、相互作用調整、親密さの表出、社会的統制の行使、サービス・作業目標の促進などである。これまでのように、チャネルの用いられ方だけでなくその機能を把握していく必要がある。コミュニケーションは対人的な親密さを反映する。その親密さは発言や視線の直接性を高め、しかもそれは、親密さを意味すると解続される。しかし、親密さが結合段階に達すると、さらには増大せず、減退することにも見られるように、コミュニケーションの機能は関係の段階に応じて変化するものでもある。