著者
海老原 一之 楜沢 順 岩澤 昭一郎 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.507, pp.61-67, 1997-02-03
被引用文献数
2

本報告では,誰もが歌舞伎役者に変身可能な「バーチャル歌舞伎システム」について述べる。本システムは,仮想空間に3次元歌舞伎役者モデルをコンピュータグラフィックにより作成し演技者の全身の動きと表情を実時間で非接触な形式で検出し、歌舞伎役者の動きとして再現するものであり、誰もが歌舞伎役者に変身が可能である。さらに,このシステムは3次元モデルを変更することにより、任意のキャラクタに変身することが可能であり、自分を任意に変身させてコミュニケーションを行えるだけでなく、インターラクティブな映画作成等に使用できる見通しを得た.
著者
張 勇 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.456, pp.135-140, 2011-02-28

筆者らの研究室ではネットワークで接続された仮想環境であるサイバーシアターにおける観客効果について検討を行っているが.仮想劇場空間に配置される観客アバターの数が数体程度と少数であり,劇場の背景が無かったので,演技者が実空間中の劇場にいるような臨場感を感じるのが困難であった.さらに,この従来システムにおけるアバターの反応特性は,実人間が観客の場合の反応特性に基づいたものではなかったので,実験結果の信頼性が不明確と言える.そこで,本研究では,5人の実人間が1人20体ずつのアバター(合計100体)を担当する新たなサイバーシアターシステムを構築した.実人間が観客の場合の反応の特性を計測するとともに,その新たな実験システムを用いてアバターが観客の場合の反応の特性を計測するとともに,演技者への主観評価テストに基づき,観客が実人間の場合とアバターの場合の違いを検討した.
著者
大和 淳司 大谷 淳 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.2556-2563, 1993-12-25
被引用文献数
59

本論文では,画像によるモニタリングの自動化を目的として,動画像中の人物像の行動を認識する方法を提案している.実画像に対してもロバストな認識系を構築するために,幾何学的なモデルに基づくモデルフィッティングによらず,特徴量ベースのボトムアップな学習によるアプローチをとる.このために隠れマルコフモデル(HMM)を適用した時系列パターン認識を行った.HMMは音声認識で広く応用されているが,動画像への適用はほとんど例がない.本手法では,画像中の人物領域のメッシュ特徴をベクトル量子化によりシンボルに変換し,このシンボル列をHMMで学習,認識する.これにより,教師付き学習による,所与の動作カテゴリーの認識が実現できる.テニスの動作を列に,複数の被験者の動作認識実験を行い,90%以上の認識率を得た.また,不特定多数の人物動作認識を目的として,学習に用いなかった被験者を認識対象とした場合についても検討を行った.この場合,認識率の低下が起こるが,学習に用いる被験者数を増やすことにより認識率が向上することを確認した.
著者
川合 暢彦 中村 彩花 大谷 淳二 本川 雅英 當麻 愉衣子 西 美香 丹根 一夫
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13490303)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.75-82, 2009-06-25
参考文献数
39

矯正歯科を受診した不正咬合患者における外傷既往の実態を把握するとともに,外傷と不正咬合の関連性を明らかにするため,2001年8月から2005年11月の期間に広島大学病院矯正歯科を受診した不正咬合患者1,000名を対象とした調査を行い,以下の結果を得た.1.外傷既往歴を有する不正咬合患者は1,000名中51名(5.1%)であった.そのうち,当科受診前に受傷した者が38名,当科にて治療中もしくは保定中に受傷した者が14名で,うち2名が重複した既往を有していた.2.受傷部位は乳歯,永久歯ともに上顎前歯が最も多かった.3.不正咬合については,患者全体では叢生が最も多かったが,外傷既往歴を有する患者では上顎前突が最も多く,約5割を占めていた.4.ほとんどの症例において,適切な外傷歯の処置により,その後の矯正歯科治療に大きな影響が及ぼなかったものの,打撲により乳歯の転位や埋入が生じ,後継永久歯への交換錯誤を引き起こした症例や外傷が顎偏位の原因と考えられる症例も認められた.外傷既往者に上顎前突の患者が多く,上顎前歯部が最も多い受傷部位であったことから,若年期に上顎前突の改善を行うことは,その後の健全な生活にとってきわめて有益と考えられる.また,外傷が不正咬合の原因となる症例も存在することから,初診時に外傷の既往について診査することの重要性が示された.
著者
米村 俊一 Chen Li Jen 大谷 淳 徳永 幸生 嶌田 聡
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-450, 2010-07-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

本稿では,互いに遠隔地にいる人同士のインフォーマルコミュニケーションを支援することを目的として,テキストベースのCMC (Computer Mediated Communication)における「おしゃべり」を,黒丸画像によって 触発する“●”メディアを提案する.“●”メディアでは,創造的活動の認知プロセスに関する研究であるジェネプロワモデルに基づいて,話題の発想および話題の転換を触発する基本機能をデザインした.また,“●”メディアのコンセプトに基づくプロトタイプシステムを構築しコミュニケーション実験を行った結果,背景画像として提示した黒丸は,CMC上でのテキストによるおしゃべりの中で被験者の話題作りに関する発想を触発する と共に,触発される話題は話者相互の状況や心境までも含めた知識の共有につながるものも多く,ユーザ同志の相互理解を深める上で効果的なメディアであることが明らかとなった.
著者
海老原 一之 楜沢 順 岩澤 昭一郎 大谷 淳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 21.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.61-67, 1997-02-03 (Released:2017-06-23)

本報告では, 誰もが歌舞伎役者に変身可能な「バーチャル歌舞伎システム」について述べる.本システムは, 仮想空間に3次元歌舞伎役者モデルをコンピュータグラフィックにより作成し, 演技者の全身の動きと表情を実時間で非接触な形式で検出し, 歌舞伎役者の動きとして再現するものであり, 誰もが歌舞伎役者に変身が可能である.さらに, このシステムは3次元モデルを変更することにより, 任意のキャラクタに変身することが可能であり, 自分を任意に変身させてコミュニケーションを行えるだけでなく, インターラクテイブな映画作成等に使用できる見通しを得た.
著者
有吉 眞理子 大谷 淳二 白川 昌宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.1, pp.3-9, 2015-01-01 (Released:2015-01-01)
参考文献数
17

DNA methylation is one of the major epigenetic marks in the mammalian genome to define chromatin higher-order structure, and plays essential roles in various developmental processes. In the mammalian genome, DNA methylation mainly occurs at the 5th position of cytosine bases in a palindromic 5′-CG-3′dinucleotide sequence. Methyl CpG binding domain (MBD) proteins recognize symmetrically methylated CpG sites (5mCG/5mCG) through a conserved MBD, and recruit transcriptional repressors or chromatin modifiers. One of the MBD proteins, MBD4, uniquely contains a C-terminal glycosylation domain together with an N-terminal MBD, and functions as a mismatch DNA repair enzyme specific for T/G or U/G mismatch bases generated by spontaneous deamination of 5-methylcytosine. The base excision activity of MBD4 is also implicated in active DNA demethylation initiated by the conversion of 5-methylcytosine to thymine by deaminases. Unlike other MBD proteins, MBD4 recognizes not only 5mCG/5mCG but also T/G mismatched sites generated by spontaneous deamination of 5-methylcytosine (5mCG/TG). In addition, our biochemical data demonstrate that MBD also binds to intermediates in DNA demethylation pathways, such as 5-hydroxymethyl-cytosine (hmC), 5-carboxyl-cytosine and 5-hydroxy-uracil. The crystal structures of MBDMBD4 in complex with 5mCG/TG, 5mCG/5mCG or 5mCG/hmCG provide new structural insights into the versatility of base recognition by MBD4. A DNA interface of MBD4 has flexible structural features, in which an extensive hydration water network supports the versatile base specificity of MBD4. The versatile base recognition by MBDMBD4 implies multi-functional roles of MBD4 in the regulation of dynamic DNA methylation patterns.
著者
鄭 曜 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.473, pp.51-56, 2013-03-11

スーパーやコンビニなどの店舗にとって、マーケティング調査は重要な課題であり、特にPOSシステムに記録が残らない顧客の購買時の迷いの有無は重要性が高い。本稿では、顧客が「迷わず購入した」、「迷って購入した」、「迷わず購入しなかった」、「迷って購入しなかった」の4つの行動を認識する方法を検討した。このような顧客の行動は個人や場合により大きく変動するため、ペイジアンネットワークによる認識が有効と考えられる。店舗内のビデオ映像から得られると考えられる画像特徴を手動で抽出し、ペイジアンネットワークを用いる方法の有効性の検討を行い、有効性の見通しを得た。
著者
砂川 紘子 大谷 淳二 佐野 良太 椿本 昇子 藤田 正 丹根 一夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR JAW DEFORMITIES
雑誌
日本顎変形症学会雑誌 = The Japanese journal of jaw deformities (ISSN:09167048)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.8-14, 2010-04-15
参考文献数
32
被引用文献数
2

Idiopathic scoliosis is a well-known orthopedic disease in childhood and the onset and progress are observed during adolescence. It is speculated that the progress of idiopathic scoliosis affects the maxillofacial growth and the function of the temporomandibular joint because the craniofacial skeletal is located on the top of the spinal column. Another reason may be that asymmetric craniofacial growth changes the head posture and/or spinal column. In this study, we examined the association of scoliosis with jaw deformity and temporomandibular joint disorders.<br>The subjects were 44 patients who underwent orthognathic surgery for treatment of a jaw deformity at Hiroshima University Hospital. We measured the Cobb angle, an indicator of scoliosis, and the curve of the spinal column in vertebrae thoracicae on the chest radiograph. Moreover, the lateral shift of points A and B, cant of the occlusal plane and ANB angle were measured on the postero-anterior (PA) plane and lateral cephalograms. Association between the curve of the spinal column and maxillofacial morphology was examined by correlation analysis. The degree of scoliosis was examined in association with the pathological status of temporomandibular joint.<br>The prevalence of subjects diagnosed with scoliosis was 22.7%. Among the scoliosis patients, 70% were female. In all subjects with a jaw deformity, a significantly positive correlation was not found between the following variables and the Cobb angle: ANB angle, lateral shift of points A and B, cant of the occlusal plane. Moreover, no significant association between the curve of spinal column in the vertebrae thoracicae and previous variables was revealed. In addition, there was no relationship between the degree of the scoliosis and progress of the temporomandibular joint disorder.<br>These findings suggested that the progress of scoliosis exerts no substantial influence on the growth of the maxillofacial skeleton and the progress of temporomandibular joint disorders.
著者
岩澤 昭一郎 海老原 一之 竹松 克浩 坂口 竜己 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.98, no.394, pp.15-22, 1998-11-12
被引用文献数
15

本報告では, 人物の姿勢を画像解析により推定し, CGキャラクタにより実時間で再現することが可能な"Shall We Dance?"システムについて述べる.筆者らは既に, 単眼画像を用いた非接触な人物の姿勢推定手法を開発したが, 姿勢推定結果は2次元的であった.本報告では既提案の単眼像アルゴリズムを多眼画像へと発展させる.まず, 各画像におけるシルエット領域とその輪郭のヒューリスティックスに基づいて頭頂・手先・足先の各特徴部位を実時間で検出し, それら結果を用いて3次元復元を行なうことで姿勢を推定する.併せて本手法の有効性を実験により示す.
著者
榎本 誠 高野 晃 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.479, pp.19-24, 2012-03-05

似顔絵画家(研究者)自身が似顔絵を制作する過程を内観的に考察し、それを論理化してプログラミングすることで「自動似顔絵ソフト」を開発した。入力画像をトレースすることなく、特徴を解析して顔の分類ができることで、文字やイラストなど様々な変換が可能となった。本システムは入力画像とのアナロジーに束縛されないので、画家の意図する大胆なデフォルメが可能である。また、必要な特徴抽出点をわずか25ポイントに抑えた。
著者
大川内 隆朗 大谷 淳 米村 俊一 徳永 幸生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.332, pp.13-18, 2011-12-01

本論文では,非同期型(オンデマンド型)e-learningシステムにおける講義の改善のために重要な,学習者の主観的難易度の把握方法の基礎的検討を行う.非同期型e-learningシステムでは,対面型の講義とは異なった,学習者の主観的難易度把握法が必要である.具体的には,講義のテープの巻き戻しや一時停止などについての時系列的な挙動が,主観的難易度を反映すると考えられる.数名の学習者を対象に実験を行い,e-learning講義受講中の行動データを取得するとともに,授業後に学習者に対してインタビューを行った.その結果,巻き戻しの回数や,一時停止の時間の長さなどが,学習者自身がそのときに感じている,講義内容に対する理解の困難さと関係のあることが確認できた.
著者
大塚 尚宏 大谷 淳 中津 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.2129-2137, 1997-08-25
被引用文献数
17

表情認識は, マン・マシンインタフェースの高度化, 画像通信における伝送量の削減等を実現するためには重要な技術である. 本論文では, 連続出力確率密度分布をもつ隠れマルコフモデル(HMM)を用いて不特定多数の人物の顔動画像から表情を認識する手法を提案する. 本手法では, まず動画像中の連続する2枚の画像から得られるオプティカルフローを積算して顔の各位置の移動ベクトルを求め, そのフーリエ変換の低周波成分を認識のための特徴ベクトルとして抽出する. 次に, 連続出力確率密度分布をもつHMMを使って基本表情ごとに特徴ベクトルの時間変化のパターンを学習させて認識のためのモデルを作成する. HMMの出力を連続的な特徴ベクトルとすることにより, 離散的なシンボルを用いる場合に問題となる量子化誤差のない高精度なモデル化が実現できた. また, 出力確率分布を多次元正規分布の荷重平均として近似することにより, 人物ごとに異なる表情の特徴をモデル化することができた. 4人の被験者(男性3人, 女性1人)からの顔動画像を用いて実験したところ高い認識率が得られた.
著者
内田 英子 四倉 達夫 森島 繁生 山田 寛 大谷 淳 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.722, pp.1-6, 2000-03-21
被引用文献数
9

顔面表情に焦点をあて、意図的なコントロールを受けたものと、なんらかの情動喚起に伴い自発的に現れるものとの違い、特に動的な変化の違いを実験的に検討した。被験者の顔面表情の変化を次の2条件下で高速度カメラにより撮影した。1つが意図的表出(動作教示)条件、もう一つが自発的表出条件である。意図的表出条件では、顔面動作教示に従って被験者に6つの基本表情を演じさせた。一方、自発的表出条件では、情動喚起映像(喜び、驚き、怒り、悲しみ、嫌悪、恐れ)を提示し、被験者に自然な表情を自発させた。高速度カメラで撮影した顔面表情の動的変化(特徴点の変位)を、画像解析ツールを用いて測定した。
著者
坂口 竜己 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1060-1067, 1995-08-20
被引用文献数
35 8

従来の人物顔表情認識では, 静止画像の複雑な処理が必要であった.これに対し, 静止画像内の特徴と, 時系列の特徴を統合して認識率を向上させる検討を行った.画像内特徴には, 雑音や撮影環境に比較的ロバストな周波数特性として, ウェーブレット変換により得られる帯域内平均電力を用いている.時系列処理には, 信号系列を時間的変化の特徴によってカテゴリー分類する際に有用な隠れマルコフモデル(HMM)を採用し, 学習による認識を行っている.また特徴量の量子化には, 表情のように認識対象カテゴリー間の類似度が高い場合に, 有効なカテゴリー別VQとカテゴリー外コードワード選択追加によるコードブックの作成を提案する.これにより, 特定被験者の4表情の認識実験では, 平均93.7%の正答率が得られた.
著者
栃折 泰史 大谷 淳 江畑 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.469, pp.1-6, 2010-03-08
参考文献数
2

本論文では,パン・ティルト・カメラから獲得された動画像における各フレームでのカメラの姿勢(回転パラメータ)を推定する手法を提案する.特に,撮像対象シーンに動物体を含む場合への対処法を検討する.まず検出・追跡した2つの特徴点を,カメラの光学中心を中心,焦点距離を半径とした仮想球体上に投影を行い,仮想球体上の特徴点2個と光軸と仮想球の交点が作る三角形の合同を利用して,回転パラメータを推定する.動物体を含む撮像シーンにおいてもロバストに推定するために,特徴点が物理空間上で静止物体・動物体のいずれかに対応しているかの識別を,特徴点2点間の距離がパン・ティルト後も等距離を保つかどうかを判断することにより行う.本論文では提案手法についてシミュレーションと実画像を対象とする実験を行い,その有効性を検証する.
著者
坂口 竜己 森島 繁生 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.61-68, 1994-01-26
被引用文献数
17

よりユーザフレンドリーなコンピュータとのコミュニケーション環境実現のため、顔表情動画像を用いたインタフェース構築の研究を進めている。筆者らはすでにモデルベース手法を応用した表情動画像の作成について提案しているが、この表情変形規則は2次元的な計測を基に作られたものであったため、満足な性能は得られていなかった。本稿では、顔表面の3次元計測により、各表情表出時の顔面皮膚の移動量を求め、新たな移度制御点(特徴点)の設定と移動規則の決定を行なっている。3次元計測では正面・側面画像を利用する手法を採用し、誤差±1.2%程度の精度を得ている。更に得られた特徴点位置についての測定結果よりFACSのAUの定量化を見直し、特徴点以外の点の補間法を検討してより自然な画像合成を行なっている。
著者
森 大樹 内海 章 大谷 淳 谷内田 正彦 中津 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.102-110, 2001-01-01
被引用文献数
27

非同期多視点画像を用いて人物追跡を行う手法を提案する.提案手法では, 多視点で非同期に得られる観測情報をカルマンフィルタにより統合し人物追跡を効率的に行う.試作システムは, 非同期に動作して各視点の画像を処理する複数の観測ノードと人物の追跡を行う追跡ノード, 発見を行う発見ノードからなる.各観測ノードは追跡ノードから送られる予測観測値に基づいて画像特徴と追跡モデルの対応付けを行う.モデルに対応づけられた画像特徴は追跡ノードに送られ, 追跡モデルの更新が行われる.対応づけられない画像特徴は発見ノードに送られ, 新規人物の発見に用いられる.本手法により, 同期型システムに見られる視点数の増加による処理効率の低下, 観測間の冗長性の増大といった問題の発生を抑制しながら, 大規模な追跡システムの構築が可能になる.実画像を用いた実験により, 本手法の有効性を示す.