著者
小江 和樹
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.75-80, 2011

本稿では、色彩イメージと具体的な造形表現との結びつきを考え、「季節のイメージカラー」についての調査を行い、それぞれの季節からイメージされる色彩、色相及びトーンの分布状況から、色相やトーンへの依存度とその特徴を明らかにした。その結果、それぞれの季節において、色相やトーンの依存度が異なる点、そして「季節のイメージカラー」は、暖寒感だけではなく、その季節からイメージされる具体的な事物や事象なども、選択される色彩の傾向に影響を与えている点が明らかになった。
著者
田島 康弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.1-15, 2005-03-25
被引用文献数
1

日本で初めてワーキングホリデー制度を導入した宮崎県西米良村や,その後この制度を導入した九州中央山地の熊本県多良木町で,この制度の導入経過や問題点,地域振興との関わり等について検討した。その結果,1)ワーキングホリデーは,旅行者にとっては本当の観光に近いものであること,2)農家等の受入者の状況こそが,この制度の中心的なポイントであること,3)地域振興につなげるためには,就業機会=仕事の創出との関連が意識的に追究されるべきであること,などのことがわかった。
著者
桶田 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.89-102, 2005-03-25

アクリル絵の具を用いて写実的絵画を制作するための描画法を,代表的な作家の描画法から検証し,より客観的,概念的な描画法を導き出したうえで,それらの技法を自身の試作によって実証していく。本研究により,特にアクリル絵の具による,写実的な再現描写による作品の描画法を理解することで,本来アクリル画が苦手と見られていたタイプの絵を制作する時の手助けとなることができる。
著者
田島 康弘
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.49-61, 2004-02-23

本研究は, 石垣島の郷友会について, 奄美の郷友会を念頭に置きつつ, その実態や特色を検討したものである。石垣島の郷友会という場合, 2つの意味が考えられる。その1つは, 石垣島の人が石垣島の外でつくる郷友会であり, もう1つは, 石垣島に存在する外から来た人びとによってつくられた郷友会である。本研究はこのうち, 主として後者を中心としたものである。郷友会の形成は人口移動が前提になっている。そこで, 石垣島に入って来た人の動き, および石垣島から出ていった人の動きについて把握した。その際, 石垣島からの出郷者がつくる郷友会についても, 若干の検討を行った。石垣在郷友会では周辺八重山離島民により形成された郷友会を中心に扱ったが, その結果, これらの郷友会では, とくに奄美の郷友会と比べると, 母村とのつながりがきわめて強いこと, 多くの会で「親睦大運動会」が会の中心的な活動として位置付けられ, しかも, これが非常に活発であること, などの特色があることがわかった。
著者
日隈 正守
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.17-30, 2004-02-23

本稿では, 江戸時代の編纂物である『神代三陵志』可愛山陵項に収められた『新田神社文書』の具体的内容と全体としての史料的性格について分析した。その結果『神代三陵志』可愛山陵項に収められた『新田神社文書』は, 主に八幡新田宮(現新田神社)の前身及びそれ自体が可愛山陵(環環杵尊の陵墓)である事を記載した文書群であった。『神代三陵志』可愛山陵項に収められた『新田神社文書』を使用すると, 八幡新田宮がいつ頃から可愛山陵との関係を主張し始めたかを解明する事ができる。この課題に関しては, 鎌倉前期に八幡新田宮が阿多北方内の所領を地頭鮫島家高に押領された際, 再び地頭に所領を押領されない様にする事と, 進まない修造を促進する意図, 薩摩国内において八幡新田宮よりも神社としての序列が高い開門神社に対抗する目的等のため, 八幡新田宮は瓊瓊杵尊との関係を主張し宗教的権威付けをしたと考えられる。