著者
原田 善之 田沼 繁夫
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.111-116, 2021 (Released:2022-12-29)
参考文献数
2

Microsoft365における“Word”では,UnicodeやLaTeXによる数式の記述が“数式”挿入から使用可能なった.これによって数式入力は格段に進歩した.しかしながら,数式の美しさはLaTeXと比べて数段に劣っていると言わざるを得ない.そこで,“Word”の数式機能を用いてLaTeXに勝るとも劣らない美しさで数式を記述する方法を紹介する.
著者
福島 整
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.28-36, 2010 (Released:2011-09-07)
参考文献数
2

分析業務にとって,数字の取り扱いは命である.有効数字やデータのばらつきは,ほとんどの現場担当者が無意識のうちに正当な方法で処理しているはずであるが,あらためて統計学の用語を目の前にすると自信を無くす人が多い.本講は,そのような人たちに自信を持たせ,あるいは体系的な知識を学習するための出発点と成ることを意図したものである.今回は,データの丸め方と,誤差の最も基礎的な部分について説明する.
著者
伊藤 克 松田 和大 青柳 里果
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.110-126, 2022-02-10 (Released:2022-10-01)
参考文献数
15

飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)は質量スペクトルが複雑で解釈が難しい場合が多いため,主成分分析(PCA)や多変量スペクトル分解(MCR)などの多変量解析がTOF-SIMSデータの解析によく用いられているが,複雑な試料を解釈するためには,新たな解析手法を組み合わせて判断することがさらに効果的である.本研究では,4層高分子膜試料のTOF-SIMSデータに対して人工ニューラルネットワークに基づく次元削減手法である自己符号化器を用いた特徴抽出および特徴の分類を行うことで,autoencoderの有用性を評価した.
著者
松本 凌 西澤 侑吾 片岡 範行 田中 博美 吉川 英樹 田沼 繁夫 吉原 一紘
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.155-167, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
9 9

XPSスペクトルのバックグラウンド推定の方法は任意性が高く,バックグラウンドの形状によってピークの強度が変わるため定量分析の結果に大きく影響する.特に,最も多用されているiterative Shirley法では,指定されたXPSスペクトルの始点と終点でのデータ点の強度に大きく依存してバックグラウンド形状が変わる.本研究では,この依存性を低減する為,バックグラウンド推定をピークフィッティング中で行う動的Shirley法に着目し,これをCOMPROに組み込んで銅酸化物超伝導体のCu 2pスペクトルやSiO2薄膜のSi 2pスペクトルに対して適用した.その結果,バックグラウンドの端点位置やピークの関数型を変化させてもバックグラウンドの形状やピーク面積について変動の少ない安定した解が得られることが明らかとなった.

1 0 0 0 OA 標準化の軌跡

著者
吉原 一紘
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.2-10, 2015 (Released:2016-04-08)
参考文献数
16

表面分析法が測定科学である以上,定量性に優れた最も良い方法は何かを探し求め,それを決定していくことが標準化のプロセスである.すなわち,標準化という作業は,表面分析を行う際に発生する誤差やばらつきを与える原因を一つ一つ科学的な検証に基づいて潰していき,最後に,それらが最も小さくなる「ワン・ベスト・ウェイ」を見つけることである.本解説では,互換性という概念から標準という概念に発展した経緯と,VAMASやISOなどの標準化活動と表面分析研究会の関わりを紹介する.
著者
鴨井 督
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.160-166, 2017 (Released:2017-10-06)
参考文献数
12
被引用文献数
1

オージェ電子分光分析(AES)は物質の数nmの最表面組成を判定できる反面,その測定対象は導電性を持つ材料に限定される.そのため,AESによる絶縁物観察のためには極薄の金属膜コートにより,試料表面に導電性を付与する等の前処理が必要となる.本報告では導電性付与のため,1原子層状物質であるグラフェンを測定対象上に保持することで,絶縁材料の微小領域におけるAES分析を実現した.
著者
松村 純宏
出版者
一般社団法人 表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.110-117, 2015

AESにおいてスパッタ深さ方向分析を行う場合,試料表面に対するイオンの入射角度はその目的に応じて選択される.スパッタイオンを試料表面に対して低角度で入射すると深さ分解能を向上させることできる.イオンの低角度での入射を実現するためには傾斜試料ホルダーとサンプルステージの回転を用いる必要がある.ステージの傾斜角と回転角の誤差がイオン入射角に与える影響について検討し,いくつかのAES装置のイオン銃の配置の場合について計算した結果を報告する.
著者
J. D. Lee Nagatomi T. (Translator) Mizutania G. (Translator) Endo K. (Translation Supervisor)
出版者
表面分析研究会
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.196-213, 2010

Photoemission process leaves the target system in several final states that are lacking one electron with respect to the initial state. Except for the trivial noninteracting case, the final state effect leads to nontrivial features in the photoemission electron spectroscopy (PES). They are distinguished as the main feature and its satellites. In this issue, we discuss the satellite features in PES when the final state is reached by the extended excitations, that is, corresponding to the collective excitations of charges, spins, or vibrations. In particular, we focus on the basic PES problems of the metallic system with the Fermi sea of conduction electrons. : 光電子放出過程によって,試料構成系は始状態に比べて電子が一つ少ないいくつかの終状態に至る.相互作用のない場合を除いて,この終状態の効果によって光電子分光(PES)に顕著な構造が見られることになる.これらの構造は主ピークとは別にサテライトとして区別される.本稿では,拡張励起,すなわち電荷やスピン,あるいは格子振動の集団励起を経て終状態に至った場合にPE スペクトルに見られるサテライト構造について議論する.特に,伝導電子によるフェルミの海をもつ金属系の基本的なPES 問題に焦点を絞って議論する.
著者
Lee J. D. Nagatomi T. (Translator) Mizutani G. (Translator) Endo K. (Translation Supervisor)
出版者
Surface Analysis Society of Japan
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.64-86, 2010-12

The angle-resolved photoemission spectroscopy (ARPES) is a powerful experimental tool to probe themomentum-resolved electronic structure, i.e., the electronic band dispersion ε(k), of solids and their surfaces. ARPES is also an ideal tool to address the question concerning the electron correlation effect on quasiparticle excitations in the low-dimensional (one- or two-dimensional) correlated electron systems. In this issue, we briefly introduce representative studies of ARPES and their fruitfulness from the free-electron-like three-dimensional systems to the low-dimensional strongly correlated electron systems. : 角度分解光電子分光法(ARPES)は,固体とその表面の電子構造の運動量依存性,すなわち電子構造のバンド分散 ε(k)を測定する有力な実験手法である.ARPES は低次元(一次元あるいは二次元)相関電子系における準粒子励起における電子相関の影響を調べるための理想的な手法でもある.本稿では,自由電子的な三次元系から低次元強相関電子系までの系に対するARPES の代表的な研究とその有効性について概説する.
著者
Lee J. D. Nagatomi T. (Translator) Mizutani G. (Translator) Endo K. (Translation Supervisor)
出版者
Surface Analysis Society of Japan
雑誌
Journal of Surface Analysis (ISSN:13411756)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.36-57, 2011

Novel potentials of photoemission electron spectroscopy have been recently enabled to be explored by an advent of upgraded relevant technology. The enhanced signal-to-noise ratio by an advancement of measurement technology has revived attention to the extrinsic loss beyond the sudden approximation of photoemission spectroscopy. The ultrashort laser pulses and their control by the state-of-the-art laser technologyhave given birth to the time-resolved photoemission spectroscopy. In this issue, we introduce somestudies of the extrinsic loss and the time-resolved mode of the photoemission spectroscopy. : 光電子分光法のもつポテンシャルは,関連技術の発展によってさらに高まっている.測定技術の進歩によって信号雑音(SN)比が向上したことで,従来の突然近似では取り扱えない,光電子分光のエキストリンシックなエネルギー損失に再び注目が集まるようになっている.また,超短レーザーパルスと最新のレーザー技術によって時間分解光電子分光法が実現された.本稿では,エキストリンシックなエネルギー損失と時間分解光電子分光に関するいくつかの研究について紹介する.