著者
人見 諭典
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.145-160, 2006-03-25
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to examine how small-scale production met demands of the time, the pursuit of quality and quantity, with reference to Saint-Etienne ribbon industry during the inter-war period. In those days feminine dress was unfashionable, and demands for ribbon decreased increasingly. As compensation for the shortage, Saint-Etienne ribbon industry began to produce new merchandises suitable for mass production. But the organization of production was never changed. Saint-Etienne ribbon industry produced news merchandises with traditional organization called chef-d'atelier. Because it was important for Saint-Etienne to supply to the upper class traditional high-grade ribbons which only chef-d'atelier could produce. In other word Saint-Etienne actively wanted to participate in the creation of Paris fashion. In fact it was to pursuit of quality that was the essential subject for Saint-Etienne ribbon industry. This choice had steered Saint-Etienne ribbon industry to turn down finally. But it is undeniable that Paris fashion was sustained by many kinds of high-grade ribbons made in Saint-Etienne.
著者
八木 充
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-69, 2006-03-25

知的障害者更生施設の現在的課題の1つは,施設での支援経過を踏まえて地域支援へ移行した際の課題を明確にすることである。福祉施設で蓄積してきたケースカンファレンスは,各専門スタッフ相互の学際的なアプローチであり,個別支援計画を策定する為に有効なものであることを体験事例で示す。筆者は,本学研究紀要第10巻2003年度において,知的障害者更生施設の入所に関する体験事例を示し,ケースカンファレンスは各専門スタッフによる学際的なアプローチであり,それを支える社会福祉士の業務領域や専門性のあり方について一定の提言をした。また,本学研究紀要11巻2004年度では,知的障害者更生施設での高齢化対策の体験事例を示し,高齢化対策を実現するための判断となるデーターはケースカンファレンスが提供したことを示した。今回は不適応行動を示すAさんに対するケースカンファレンスの体験事例を示し,地域移行する際の具体的課題をを検討する。福祉の動向は162通常国会で郵政民営化関連法案が参議院で否決された事により,衆議院が解散となり,既に参議院で継続審議を決めていた障害者自立支援法(案)は廃案となった。しかし,10月31日特別国会衆議院で障害者自立支援法は可決成立した。この制度により我が国の総合的な障害者福祉のあり方が方向付けられるが,筆者が問題にしたいのは,施設支援を単に否定するのではなく,地域移行する際の課題を個別的に検討する援助技術の必要性を指摘したい。利用者への個別的援助計画を策定することにより,地域移行を実現する際の課題が具体的に示されるである。
著者
池田 正雄
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-17, 2007

In this text, first of all, an economic developmental process in the East Asian countries is clarified. Next, it considers why a violent currency crisis was generated in the latter half of the 1990's in Thailand, South Korea, and other East Asian countries. Finally, the historical meaning of the Asian currency crisis is clarified while examining various opinions concerning the crisis. The theory that valued vulnerability in the institutions of the East Asian countries is criticized ; and, the perspective that the financial globalization that progressed rapidly with financial deregulation was a factor of the crisis after the 90's is evaluated. However, it is discussed that it would have been necessary to value the decrease in global competitiveness in nations such as Thailand in the latter half of the 1990's and the burst of the economic bubble as factors to cause the rapid outflow of money.
著者
竹内 恒理
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.83-96, 2004

Argentine national economy has faced the most difficult situation in her history because of running away huge foreign capital flow outward the country. This article puts forward two main arguments. First, to examine how FDI towards Argentina increased so rapidly through 1990's under the new conditions appeared in Argentine. Second, to analyze the "foreignization" process which was observed in the Argentine corporate community after flowing huge FDI under the strategy made by multinational big companies.
著者
中村 俊也
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.109-123, 2008

ロシアの研究書、中国の近人、梁啓超を対象とした内容につき論述する。著者は資料として『専集』、とりわけ、そのうちの『新民書』などを選び、中国近時の1898〜1908年という時期に彼の国の政治が、君主政から共和政、そしてやがて社会主義に臨むという変動の際、中国の典型的知識人が、理想の政治形態は何で、それを荷なう人民はどのようであれば、国民国家としての責任を果し得るのか、という問題を扱う。結論としては徳性の有る、自覚の有る人民に期待するのが、当時も、今日も望まれる、という。著者も2001年という激動の時期に本書を著わしたわけで、つまりは、ロシアの社会主義から資本主義へのシステム交替の時に自からの身をそこに置いており、そのことは、行文の間に表出し、一層のリアリテイ、現代性を与えている。これを、心理-社会をとらえるメソドロジイーとして、当面6つの角度から考察し、著者の見解が当時の単なる掘り返しに止まらず、目下の社会の生動の行方を見定めており、解釈学的立場に立っていることが、確認できた。
著者
小島 一夫
出版者
つくば国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13412078)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.73-85, 2008

本研究は,エリクソン(1959)の「アイデンティティ形成は,青年期に始まり終わると言うものではなく(中略)その大半が一生涯を通じて続く無意識的な発達プロセスである」の理論に基づいた生涯発達心理学の視点に立って,ライフサイクルの中で現役を引退し,キャリアトランジションすることが,あるアスリートにどのような意味を持ち,そして,どのような引退後の適応過程を辿ったかを元アスリートへのインタビューをもとにアイデンティティ再体制化の過程について豊田・中込(1996),豊田(1999)の仮説の検証と考察を(1)競技引退に伴うアイデンティティ再体制化のプロセス,(2)社会化予期と時間的展望について,(3)競技引退がその後の職業期危機に与えた影響,という3点に絞って行った。そこから以下の4つの点が推察された。(1)競技引退に伴うアイデンティティ再体制化のプロセスにおいては5つの過程がある。(2)社会化予期と時間的展望については事例により異なる。(3)競技引退がその後の職業期危機に与えた影響については,競技期間中におけるアスリートのアイデンティティ確立の心理・社会的背景(性差,投入の個人差,種目,競技実績,競技の知名度等)とトランジションに伴う社会化予期・時間的展望が密接に関係している。(4)アスリートのキャリアトラジションはアイデンティティを形成する過程の特殊性と相まって,その難しさがある。