著者
辻本 志郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.22-27, 2020-01-07 (Released:2020-03-02)
参考文献数
3

米ワシントン州シアトルを拠点とする「DENSHO」という非営利団体がある。太平洋戦争中に米国内で行われた日本人・日系人に対する強制収容の歴史をデジタルアーカイブとして後世に伝える目的で1996年に設立された。具体的には、強制収容された日系人らにインタビューを重ねている。団体のホームページには入植時から戦時中、そして戦後の日系人らの様子を伝える写真、新聞記事など多数の資料に加え、計1700時間以上に及ぶインタビュー動画を掲載してきた。コンテンツはいずれも無料で閲覧でき、「テーマ」「場所」「時代」などごとに検索できる仕様になっている。本稿ではDENSHOの設立経緯、デジタルアーカイブ資料の内容、HP以外の活動について検証する。
著者
宮本 聖二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.16-21, 2020-01-07 (Released:2020-03-02)
参考文献数
6

鹿児島県奄美群島から沖縄本島、先島地方には民謡を始め琉球王朝の古典音楽、あるいは祭祀のための音楽が豊潤にあって、暮らしや様々な行事、あるいは盛んに行われるコンクールなどのためにいまも盛んに歌われている。さらに、そうした音楽をベースにした新民謡やポップスも次々に生み出されている。しかし、小さな集落や島で生まれた民謡や戦後次々に作られた新民謡などは、歌う人がいなくなったり、レコードが廃盤になったりするなどして消え去る危険に直面している。また、同じ曲でも時代や場所や流派によって演奏の仕方が変わる。これらの音源を収集し、何らかのプラットフォームなどで体系的に保管し、公開することでこの音楽文化をしっかり留めたい。現状と進められている様々な試みを調査・報告し、これからの南島の音楽のデジタルアーカイブの可能性を考えたい。
著者
大川 功
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-15, 2020-01-07 (Released:2020-03-02)
参考文献数
19

他校に先駆けて専用HPを構築した東京の聖学院中学校・高校図書館では、1906年(明治39年)の創立以来の史料を、随時デジタルアーカイブ化して公開している。当初のねらいは、在校生、卒業生、教職員、また、将来本校に関わるすべての者に、建学の精神と本校教育活動の歴史を視覚的遺産として残すことを目的として始めた取り組みであった。しかし、次第にコンテンツ自体が反響を呼び始め、「未来と過去、人と人をつなげる媒介」に成長していった。本稿では、その経緯を省察すると同時に、今後のデジタルアーカイブの可能性について論考する。
著者
宮本 聖二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.3-6, 2020-01-07 (Released:2020-03-02)
参考文献数
5

デジタルアーカイブは、そのコンテンツの種類やジャンルによって利活用の手法は様々である。今回の特集では、個別のアーカイブの設計や運営に当たっている人々、アーカイブを積極的に使っている研究者などにそれぞれのデジタルアーカイブの利活用の手法について報告していただく。設計や構築に当たった人々が当初想定したものとは異なる利活用の手法をユーザーが発見することもある。そうしたデジタルアーカイブの潜在力も確認したい。

2 0 0 0 OA 学会規約

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.415-416, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)

2 0 0 0 OA 活動報告

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.412-414, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
著者
渡邉 太郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.399-402, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
5

本稿では、2019年6月11日に千代田区立日比谷図書文化館において開催された「アーカイブサミット2018-2019」の概要を報告する。同サミットでは、これまでの成果と課題に関する基調講演、異なるテーマの3つの分科会、有識者・専門家によるラウンドテーブル等が行われ、活発な議論が交わされた。2015年にスタートしたアーカイブサミットは、我が国におけるアーカイブ及びデジタルアーカイブの現状や課題等について議論すると共に、民産学官の関係者を横につないでいく機能を果たしてきた。しかし、デジタルアーカイブ学会の設立等の環境変化に対応し、位置付けを再定義すべき時期に来ている。
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.388-393, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
43

欧州は映画発祥の地でもあり、各国に独自の映画アーカイブが存在する。ここでは文献調査と面談により、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、オーストリアの映画アーカイブの歴史と現状についてまとめた。
著者
太田 米男
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.379-382, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
2

「映画の復元と保存に関するワークショップ」も2019年には14年目になる。この間に、「アナログ」から「デジタル」へ、映画製作や上映を取り巻く環境も大きく変わってきた。過去に、サイレントからトーキーへ、ナイトレートからアセテートへと、映画の歴史を見ても、規格が変った時に、過去のソフトは失われている。この点を危惧する思いで、ワークショップを提案した。120年以上の歴史を持ち、世界で唯一の共通規格である35mm映画フィルムは膨大な量の映像遺産を残した。それをどのように生かすのか。「ビネガー・シンドローム」、「デジタル・ジレンマ」の問題を抱え、山積する難問は多い。この「ワークショップ」を多くの人たちの情報交換の場と考えている。
著者
岡島 尚志
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.370-374, 2019-12-16 (Released:2019-12-16)
参考文献数
5

2018年4月にわが国6番目の国立美術館組織として誕生した国立映画アーカイブについて、組織の構造と名称の由来を述べ、映画フィルムの収集に関する“網羅的”な原則とそれを実現するための多年にわたる努力、対象となる自国映画遺産の巨大な量などを論じる。また、映画保存の観点からフィルムアーカイブに相応しい上映番組の在り方や、コレクションの利活用に関して期待されるデジタル・アーカイビングの方向性について分析し、世界のアーカイブ・コミュニティで、復元の倫理を逸脱するものとして問題視されている“スーパーエンハンスメント”についても短く言及する。