著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.548-561, 2014-11-01 (Released:2014-11-01)
参考文献数
51

大学図書館の協同デジタルアーカイブ事業HathiTrustについて解説した。HathiTrustはGoogle Booksプロジェクトに参加した米国大学図書館が,Googleから得た書籍デジタルデータをアーカイブするために2008年に始まった。現在はこれにInternet Archiveのデジタル書籍や連邦政府文書などが追加されており,1,141万2,713点のコンテンツ,うち書籍588万8,922点,約35%の397万8,007点がパブリックドメインである。Google Booksプロジェクトの歴史と訴訟や和解の経緯,HathiTrustの設立の経緯と現状,会員制度,コンテンツの詳細,システムの概要,研究活動などについて解説した。
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.1, no.Pre, pp.76-79, 2017-09-08 (Released:2017-09-08)
参考文献数
12

著作権を始めとするコンテンツに対する権利は、デジタル化する際だけでなく、これを公開する際にも重要である。「デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連絡会・実務者協議会」の「ガイドライン」、国内、海外の事例、Europeana/DPLAの開発によるRights Statementsについて調査したので報告する。
著者
東 由美子 時実 象一 平野 桃子 柳 与志夫
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-40, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

欧米と比較すると、我が国ではデジタル編集導入以前の過去に発行された地方新聞のデジタルデータは、活用以前に公開自体ほとんど進んでいない。しかし、古い新聞原紙の劣化の進行、地方紙の地域における役割の重要性等に鑑みて、過去の地方紙のデジタル化は今後の我が国のデジタルコンテンツ形成、及びデジタルアーカイブ構築にとって極めて重要な課題といえよう。筆者らは2017年2月から5月に日本新聞協会の協力を得て、協会に加盟する地方新聞社73社に対し、デジタル化に関するアンケート調査をおこなった(回収率64.4%)。本稿ではその概要について報告し、地方紙のデジタル化やデータの公開に関する課題、問題点等を検討する。
著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.383-388, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)

欧米における民間の新聞デジタル・アーカイブについて調査・解説した。米国ではルーツ探しのため新聞アーカイブが商用として成り立っている。また大学向けにいくつかの新聞アーカイブが提供されている。Googleも一時挑戦したが途中で中止している。大英図書館は公的機関であるが,民間にデジタル化とサービスを委託している。これらの収録範囲,特徴などについて述べた
著者
時実 象一 神谷 枝里
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第12回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.119-122, 2015 (Released:2015-12-04)
参考文献数
5

全国の公共図書館のうち、デジタル・アーカイブを提供していると思われる図書館167館を調査し、85図書館、523件のアーカイブ・コレクションを見出した。情報資源点数は63,508件であった。図書館数では書籍をデジタル化した図書館が多く、続いて写真、地図、絵図、絵画、古文書などを手掛けた図書館が多かった。資源点数では、圧倒的に写真が多かった。続いて絵画、書籍であった。提供されている情報タイプについては、図書館単位で見ると画像と電子書籍が多かった。
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.426-434, 2014-10-01

この記事は,ここ数年のオープンアクセスの動向について詳述するもので,前後編に分かれる。この前編では,はじめにオープンアクセスの定義と歴史について,特にゴールド・オープンアクセスとグリーン・オープンアクセスについて簡単に説明した。近年研究助成機関と各国政府のオープンアクセス志向が強まり,米国・英国など主要国で助成研究成果論文の無料公開が義務付けられている。なかでも,2013年2月の米国OSTPのメモ,2012年6月の英国のFinch Reportとその影響,ECの動向などについて解説した。さらに,米国では,この義務化に対応するための出版社の取り組みCHORUS,図書館の取り組みSHAREなどの動きがある。 CHORUSはCrossRefのFundRefに支えられている。こうした,義務化を支えるインフラストラクチャーについて述べた。
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
時実 象一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.287-293, 2018 (Released:2018-07-17)
参考文献数
22

フランスの国立デジタルアーカイブ機関のうち、フランス国立図書館(BnF)とフランス国立視聴覚研究所(INA)に訪問調査をおこなった。BnFのGallicaプロジェクトでは年約10億円の予算で蔵書のデジタル化を進めており、すでに新聞・雑誌210万号、画像120万点、書籍55万冊を公開している。BnFはEuropeanaの創設メンバーであり、今も強力に推進している。INAはテレビ・ラジオ番組の法定納入機関として、1400万時間の番組を収集し、INAthèque を通じて学術研究者に公開している。また、商業利用できる番組200 万時間分をINAmediaproを通じて世界に販売している。その一部はina.frから一般公開している。
著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.206-210, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)

全米デジタル新聞プログラム(National Digital Newspaper Program: NDNP)は米国議会図書館(Library of Congress: LC)と全米人文科学基金(National Endowment for the Humanities: NEH)との共同プロジェクトで,1836から1922年までに発行された米国の新聞1070万ページをデジタル化し,Chronicling Americaという検索サイトから提供している。全米40州と自治区が参加している。NDNPの仕組み,記述,Chronicling Americaの検索例,活用例について述べた。またオーストラリア国立図書館が構築したAutralian Newspapers Onineについても述べた。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.534-542, 2009 (Released:2009-12-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Internet ArchiveはBrewster Kahleによって1996年に設立された非営利団体で,過去のインターネットWebサイトを保存しているWayback Machineで知られているほか,動画,音楽,音声の電子アーカイブを公開し,またGoogleと同様書籍の電子化を行っている。Wayback Machineは1996年からの5,000万サイトに対応する1,500億ページのデータを保存・公開している。書籍の電子化はScribeと呼ばれる独自開発の撮影機を用い,ボストン公共図書館などと協力して1日1,000冊のペースで電子化している。電子化したデータを用いて子供たちに本を配るBookmobileという活動も行っている。Kahle氏はGoogle Book Searchの和解に批判的な意見を述べているほか,孤児著作物の利用促進やOne Laptop Per Child(OLPC)運動への協力も行っている。
著者
時実 象一 小出 直輝
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.71-76, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
9

文庫本などシリーズで長期間にわたって刊行されている書籍を対象にレイアウトがどのように変化してきたかを調査した. 愛知大学豊橋図書館が所蔵する19種類の文庫本等 (新書含む) の文字サイズ, 字間, 行間はほぼ同一であった. 「岩波文庫」の面積あたりの文字数は2007 年前後に低下した. 村上春樹著「ノルウェイの森」(講談社) では, 単行本版は行間・余白が最も広く, したがって文字密度が最も低い. 電子書籍では, Kinoppy (iPad, HTC), i文庫 (iPad-ゴシック体, HTC), はこの字間/行間の比率はほぼ同一であったが, i文庫 (iPad-明朝体), GARAPAGOS (HTC) は字間が行間に比べて広めであった.
著者
時実 象一 小出 直輝
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.71-76, 2012

文庫本などシリーズで長期間にわたって刊行されている書籍を対象にレイアウトがどのように変化してきたかを調査した. 愛知大学豊橋図書館が所蔵する19種類の文庫本等 (新書含む) の文字サイズ, 字間, 行間はほぼ同一であった. 「岩波文庫」の面積あたりの文字数は2007 年前後に低下した. 村上春樹著「ノルウェイの森」(講談社) では, 単行本版は行間・余白が最も広く, したがって文字密度が最も低い. 電子書籍では, Kinoppy (iPad, HTC), i文庫 (iPad-ゴシック体, HTC), はこの字間/行間の比率はほぼ同一であったが, i文庫 (iPad-明朝体), GARAPAGOS (HTC) は字間が行間に比べて広めであった.
著者
時実 象一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.426-434, 2014-10-01

この記事は,ここ数年のオープンアクセスの動向について詳述するもので,前後編に分かれる。この前編では,はじめにオープンアクセスの定義と歴史について,特にゴールド・オープンアクセスとグリーン・オープンアクセスについて簡単に説明した。近年研究助成機関と各国政府のオープンアクセス志向が強まり,米国・英国など主要国で助成研究成果論文の無料公開が義務付けられている。なかでも,2013年2月の米国OSTPのメモ,2012年6月の英国のFinch Reportとその影響,ECの動向などについて解説した。さらに,米国では,この義務化に対応するための出版社の取り組みCHORUS,図書館の取り組みSHAREなどの動きがある。 CHORUSはCrossRefのFundRefに支えられている。こうした,義務化を支えるインフラストラクチャーについて述べた。
著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.34-37, 2017-01-01 (Released:2017-01-01)

Europeana Newspapersは欧州委員会のプロジェクトで,12ヵ国,17機関が参加した。1800万ページの新聞紙面をデジタル化,そのうち1000万ページは全文検索可能である。さらにそのうち200万ページは記事のレイアウトが解析済みで,中には名称要素が抽出されている記事もある。このデータベースの内容,用いられている技術,メタデータの構造,検索例などを示した。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.2-10, 2007 (Released:2007-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

中国における電子ジャーナル・サービスの現状について調査した。中国では清華同方知網(北京)技術有限公司の中国知識基礎設施工程(China National Knowledge Infrastructure: CNKI),万方数据の万方数据資源系統(Wanfang Data),維普資訊社の維普資訊網(VIP Information)の3つもの電子ジャーナル・サービスが競合しており,それぞれ5,000-9,000タイトルの雑誌,1,200-1,800万件の記事がオンラインで提供されている。数量的には西欧のすべての電子ジャーナル記事の合計を上回る勢いである。過去分の電子化も進んでおり,またCNKIやWanfang Dataからは引用文献データベースのサービスも開始されている。またWanfang DataやVIPの電子ジャーナルはGoogle Scholarにも索引されており,簡単に雑誌記事全文にアクセスできる環境が整っている。
著者
時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.571-579, 2008 (Released:2008-11-01)
参考文献数
18
被引用文献数
5 6

各種雑誌リストを用いて日本で発行されている科学技術医学系雑誌の数を調査したところ,論文誌2,899誌,大学等論文誌603誌,大学紀要2,886誌であった。うち英文誌はそれぞれ416誌,83誌,33誌であった。論文誌のうち2005年に実際に発行されていたもの2,655誌のうち949誌(35.7%)が何らかの形でオンライン化されていた。またそのうちの英文誌は351誌で,うち267誌(76.1%)がオンライン化されていた。主な電子ジャーナルサイトNII-ELS,J-STAGE,メディカルオンラインの収録誌を比較した。