著者
内藤 優介
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.18-23, 2015

最近,ウォーターフォール開発に代わって,アジャイル開発が話題になっている.本論では,弊社富士通エフ・アイ・ピー株式会社(以下FIP)で初めて本格的にアジャイル開発を採用したプロジェクトを題材に,組織内部に対する効果について分析する.アジャイル開発で重要となるのは,コミュニケーション及びリーダーシップの方法であり,開発者全員の参加を促す形のスタイルが最も効果があるという仮説を立て,「スクラム」という方法論を実行した.その結果,「セルフリーダーシップ」「組織学習」「自己組織化」の3つを達成した.「セルフリーダーシップ」とは自らの意志の下で状況に対して正しく判断し,自ら主体的に行動することである.若手社員が成長し,自らの考えのもと発言・行動するようになった.「組織学習」は組織構成員がビジョンを共有しながら,行動と学習を自発的に繰り返すことで,組織全体の能力が高まっていくことである.初めてのアジャイル開発であったが,数々の試行錯誤を通し,アジャイル開発を身に付けていった.「自己組織化」は状況に応じて柔軟に対応すると共に,メンバーのベクトルが一致し,大きな力を発揮することである.小さな成功を通してチームが活性化し,チーム内外の環境変化に柔軟かつ的確に対応した.アジャイル開発を通して,個人およびチームとして大きな成長を得られた.
著者
竹ヶ原 郁子
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.35-40, 2008

システム構築プロジェクトでは,QCDの観点での問題が発生する場合がある.原因として,提案活動時における見積もり項目の漏れや曖昧な前提条件,提案活動を行う担当者からの見積もり根拠の曖昧な引継ぎ等が考えられる.リスクマネジメントの一環として,この原因に働きかけリスク顕在化を未然に防止するため見積もりシートを作成し,提案活動での活用を推進することにより確実な統合変更管理の実施を試みた.そして,提案活動時の検討漏れの防止や前提条件の明確化の重要性と,仕様確定までがプロジェクトサイズを決定する重要なフェーズであり,システム構築プロジェクトを成功裏に導くQCD遵守の鍵であることを再認識した.今回の一連の試みから,実際のリスク対応実施時の問題点と対処,リスク顕在化時の対処,効果について報告する.
著者
岡田 清久
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.42-46, 2006

各企業(ないしは組織)において,失敗プロジェクトの原因分析による教訓をそれぞれの組織内に活かす工夫がなされている.当社においても,実際に本番遅延等の重大問題を起こしたプロジェクトに関して,その原因分析を行い,同種の問題発生を防ぐため,その結果を失敗事例分析検討会にてビジネスユニット内に開示し,各事業部,各プロジェクトに活かす努力をしている.本稿では,過去の事例分析を振り返って,失敗プロジェクトを取り巻く問題点について考察する.
著者
佐野 浩 弓取 修二 進藤 秀夫 日下部 祐子 井田 久雄 北田 貴義
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.26-31, 2005
被引用文献数
2 3

公的資金によって推進された研究開発プロジェクトについては,進捗段階における評価のみならず,プロジェクト終了後の状況を追跡的に調査し,得られた社会的・経済的波及効果やプロジェクトの運営管理を評価し,国民に対するアカウンタビリティの向上を図るとともに,技術開発戦略やプロジェクトの運営管理手法を改善していくことが重要である.本稿では,プロジェクトの追跡調査・評価手法についての検討結果を報告するとともに,試行的に行っている追跡調査・評価の途中経過を踏まえ,追跡調査・評価手法についての提案を行った.