著者
三上 正男
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.45-62, 1997-02-01 (Released:2019-03-28)
参考文献数
32
著者
小柳 賢太 五味 高志
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.34-51, 2018-02-01 (Released:2019-04-05)
参考文献数
37

平成28年熊本地震により阿蘇山の中央火口丘群に生じた崩壊は,森林と草地で分布と土砂移動の特徴が異なることが分かった。森林斜面に比べ草地斜面では崩壊密度が高く,特に35度以上の急斜面では草地斜面の崩壊が顕著であった。草地の牧野道や林道の崩壊も顕著であり,農林業の再建に向けて,土地被覆に応じた斜面崩壊危険度の判定を進める必要がある。また,地震後は草地斜面に比べ森林斜面で土砂の滞留が多く,今後の豪雨による土砂の再移動,それに伴う土石流などの二次災害が懸念された。地域の復興に向けては,上流域に滞留する土砂の再移動にも配慮する必要があり,長期的な土砂移動の観測が必要である。林業の復興という観点では倒流木の撤去などによる荒廃した林地の再生が必要であるが,倒流木が撤去されることによる土砂移動の変化については不明瞭であり,流域の復興と二次災害の防災・減災を両立して進めることが今後の課題である。
著者
吉武 孝
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1-8, 1996-12-01 (Released:2019-03-31)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
竹田 麻里
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.57-84, 2005-04-01 (Released:2018-01-08)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
山口 晴幸
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.56-88, 2016-06-01 (Released:2017-07-31)
参考文献数
22

東日本大震災から 4 年以上経過したが,未だに約150万トンの流失震災がれきが太平洋上を漂流し続けているとされ,北アメリカ太平洋岸のみならず,震災地域から約1, 800km 以南の沖縄県島嶼でも流失した小型漁船の回収などが今もなお報告されている。 筆者は,震災年の2011年 9 月から漂流震災がれきの調査に着手し,3 年間の太平洋上離島の小笠原諸島硫黄島・南鳥島での追跡調査に加え,琉球列島と関東沿岸の三浦・房総半島でのこれまでの 5 年に亘る調査成果を総括し,漂流震災木材類を対象とした震災がれきの漂着実態や漂流動向などについて検討した。 2012年 8 月の硫黄島調査で初めて家屋建材等に使用された250本の漂流震災 木材類を確認すると共に,琉球列島の調査では2014年と2015年の 2 年間で4041 本を確認している。これまでの 5 年間で延べ128海岸を調査し,確認した漂流震災木材類は5596本に達している。2014年10月の三浦・房総半島での調査は台風襲来直後に実施しており,未だに太平洋上に流失した家屋建材類が高潮や暴風で押し戻され,海岸に打ち上がる実態を確認している。今なお洋上漂流している流失木材類は,台風シーズンには日本列島の太平洋岸に広く漂着する可能性が高く,今後も高潮・暴風時には注意して観察する必要性がある。 また,家屋建材類などに混じって,貨物の荷崩れ・損傷防止等に用いられる三角形状の梱包用「歯止め材(ストッパー)」の漂着を,これまで延べ128か所の調査海岸で445本確認している。歯止め材は同時期頃に打ち上がった家屋建材類を,震災地域からの流失木材類として判別するのに有効な一つの指標となる。 なお,2014年に続く2015年春季の沖縄県八重山諸島での追跡調査では,漂流震災木材類の確認数量は約1. 5倍に増加していたが,4 年以上の漂流過程で,腐食・劣化したものや折損・破断し短小・小片化したものが多くなっていることを明らかにしている。今後は,震災起因の流失木材類として判別することが一段と難しくなると同時に,漂着しても 1 〜 2 年後には分解し無害化するため海岸環境や動植物生態系への影響はないものと判断される。 また,放射性物質が付着・吸着した震災がれき等が遠距離に亘って洋上を拡散・漂流することが懸念されていたが,小笠原諸島硫黄島・南鳥島や琉球列島に漂着した震災木材類などの空間放射線量の測定結果から判断して,放射性物質による影響のないことを検証している。
著者
安田 幸生
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.102-130, 2017-12-01 (Released:2019-02-15)
参考文献数
54

福島第一原子力発電所の事故後,森林内における放射性物質の分布や挙動,そして空間線量率に関する多くの調査が行われてきた。本稿では,まず空間線量率と森林内でのその形成について概説した後,これまでの調査結果に基づき,森林内における空間線量率の事故後5年間の推移についてまとめた。空間線量率は,放射性物質の壊変による減少とウェザリング効果によって時間の経過とともに低下していた。しかし森林では,放射性セシウムが林内に保持されるため,他の土地利用形態(裸地,道路)と比較するとウェザリングの効果が少なく,空間線量率の低下速度が遅いことがわかった。また,森林は立体的な構造を持ち,その中で物質が循環・移動しているため,沈着した放射性物質の分布がそれに伴って時間的に変化し,それが林内の空間線量率を変化させていると考えられた。この空間線量率の変化傾向は,森林のタイプ(常緑針葉樹林と落葉広葉樹林)によって違いがみられた。