- 著者
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飯田 寛志
後藤 顕一
- 出版者
- 一般社団法人 日本理科教育学会
- 雑誌
- 理科教育学研究 (ISSN:13452614)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.3, pp.285-297, 2015
- 被引用文献数
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理科授業における, 資質・能力を育成する教育改革に対応した学習評価の在り方について, 国内外の調査では資質・能力の育成の柱の一つである「子供の主体的な学びを引き出す学習を促進させていく」ことに課題があることがわかっている。その改善のためには「内容と学習活動と学習評価」を一体としてつないでいき, 子供の学習意欲を引き出し, 主体的・協働的な学びを促進し, それらを含め資質・能力に結び付けていくことが求められる。さらに, カリキュラム・マネジメントに基づき, 行った実践や学習評価を検証・再構成していくことが必要であると考えられる。そこで, 主体的な学びを引き出すために, 相互評価表を用いる学習活動を取り入れた授業の実践を試行した。相互評価表を用いる学習活動とは, 授業における学習課題に対する記述について, 一定の評価規準を用いて生徒それぞれが自己評価と他者評価を行い, 評価結果とともに課題に対する記述を振り返る中で, 主体的に学習に取り組みながら表現力等を育成することを目的とするものである。本研究は, 相互評価表を用いる学習活動をデザインし, 実践を試行, 検証するPDCAサイクルを授業づくりのプロセスとして意識して取り組む中で, 相互評価表を用いる学習活動の持つ主体的な学びを醸成する仕組みについて明らかにすることをねらいとして行った。実践の結果, 相互評価表を用いる学習活動を取り入れた授業の実践とその授業づくりの過程は, 教師の評価観の転換を促すとともに, 生徒の主体的な学びを引き出すために必要な要素の一つである, 学習意欲の向上に寄与する可能性があることが示唆された。