著者
佐藤 和枝 相原 憲一
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.117-127, 2010-09-28

地域活性化は不確実性を伴うオープンイノベーションの土俵で如何に地域価値を活かすのかという議論が中心である。地域自身の扱いが、行政区画でなく、本来の文化・生活・産業的な範疇とすることが今日では自然の認識であり、そこに存在する産業構造と地域価値創出の人間力が注目される。そこでは、地域活性化に関してP2M V2コンセプトは大いに参考になる。地域価値を創出するにはプロデューサ(いわゆるプロジェクトのオーナー)とコーディネータ(いわゆるプロジェクトマネージャ)の存在は当然として、実は多様化、オープン化時代には、ある接の業務遂行能力を備えたブリッジパーソン(いわゆるプログラムマネージャ)の存在が不可欠になることを本論文は提唱する。
著者
小松 昭英
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.124-132, 2009-09-12

既に製造業企業約660社について、その設備投資および情報投資効果の事後評価を行い、設備投資および情報投資の各々の利益率をもとめた。しかし、設備投資あるいは情報投資より大きいこともある研究開発費の利益率については未検討である。特に研究開発費の大きい製薬業企業については、その研究開発費利益率の検討は不可避と考える。そこで、既に発表した設備投資と情報投資の2変数モデルに研究開発費を加えた拡張3変数モデルを適用し、大手製薬企業25社について検討する
著者
辻 高明
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.159-168, 2009-10-30

フィールド情報学とは、フィールドで生じる諸問題に対して、情報学の視点からその解決法を提案することを目的とした新しい学問領域である。本論文では、フィールド情報学の特徴を、それを構成する9つの手法の紹介を通して解説する。次に、フィールド情報学はどのような情報学として捉えられるのか、また、どのような点が文理融合として捉えられるのかについて分析することで、領域横断的な新しい分野としてのフィールド情報学の姿を提起する。最後に、フィールド情報学の方法論がP2Mにどのように寄与し得るのかについて考察する。
著者
遠 征 清水 基夫
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.85-95, 2007-10-10

100年単位の長期間における将来の中核的エネルギー源と想定される太陽光発電方式に関し、グローバルなエネルギーの発生と輸送のトータル・システムについて工学的開発プログラムの視点から考察を行った。屋上設置型などの現状の地域分散型太陽光発電方式は、発電規模と発電可能時間の面で能力は限定的で、その役割は補完的である。将来、太陽光を中核的な一次エネルギー源として使用するためには、世界各地に設置した大規模な基幹的太陽光発電施設とグローバルな超電導ケーブル網の連携運用が必要である。本研究では三つの主要な消費地(中国、米国、EU)と5つの基幹太陽光発電基地を結ぶグローバル電力ネットワークの原型的モデルについて考察し、必要となるシステムへの要求を検討した。
著者
梅田 富雄
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.125-134, 2009-04-18

システムエンジニアリング方法論は、1960年代に基本的な枠組みが提唱され、代表的なA.D.Hallの方法論には、プロジェクトのライフサイクルに基づく業務遂行フェーズと課題設定から始まる業務遂行ステップおよびそのために必要な専門領域に関わる知識群が織り込まれ、3次元の形態学的フレームワークとして構造化されている。しかしながら、現在ではプロジェクトマネジメントとシステムエンジニアリングは、統一されたフレームワークとして認識されていないように感じられる。本研究では、方法論に関する共通理解がグローバルな業務展開には必要であると考え、プロジェクトをコンテキストとして実行する視点から、企業の求める事業戦略と合致した問題解決のためのシステムエンジニアリング方法論を展開する。
著者
田中 和夫 小原 重信
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.230-240, 2006-05-12

長引く建設需要の冷え込みの中で近年大きな変化が出てきている。それは建物所有者や事業者を取り巻く経営環境が大きく変化したことで、建物に対する新しい価値を見出そうとする意識がそこに芽生えたものだと思われる。つまりそれは建物を一つの経営資源として捉える視点のことであるが、その背景には建物自体の価値をより高く維持することに一層の経営努力を払っていく経営者の姿が理解できる。そこで本論文のテーマは、"建物価値の再認識"という建築リニューアルの領域を、建物所有者がリニューアルに求める価値とは一体何か、またどのようにその価値は創出されるのかを建築のライフサイクルを考えることで、多様な価値観を見せるリニューアルの領域にどのようなサービスモデルが築けるのかを考察するものである。
著者
山本 秀男
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.79-88, 2009-09-12

新たなシステム導入をともなう業務改革や大規模研究開発では、現場に密着した課題の発見と創造的な解決策の提案が必要となる。このようなイノベーションを前提とするプログラムのマネジャーは、最終意志決定者に対する適切なフィードバックと、価値観の異なる組織の間の調整能力を持たなければならない。つまり、最終意志決定者のビジョンを実現する実行計画の策定と、フォロワーのインセンティブを高揚させる指導力の発揮が期待される。価値観の異なる組織の意識を統一し牽引していく"柔軟な指導力"の例として、NTTの総合プロデュース活動と産学官連携コーディネーション活動を紹介し、P2M Version 2.0においても、フォロワーに対するコーディネーション機能が重要であることを述べる。
著者
清水 基夫
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.27-36, 2009-04-18

マネジャーの活動は3種類の複雑なシステムを対象とする。製品やその生産設備など活動の直接的対象である「ターゲット・システム」は「詳細化の複雑性」が基本で、マネジャーの主要な武器はシステムズエンジニアリングである。ターゲット・システム実現のために活動する「組織」はマルチエージェントという意味で「動的複雑性」であり、マネジャーはリーダシップを頼りとして対処する。そしてこれらを包み込み影響を与える「環境」(市場、社会など)という非線形に変化する「動的複雑性」に対し、マネジャーは「戦略」を武器に、ターゲット・システムという「詳細化の複雑性」を用いて対処する。本稿では、複雑性とマネジメント、そして組織の戦略について考察する。
著者
鴈野 聡
出版者
一般社団法人国際P2M学会
雑誌
研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.57-63, 2008-09-19

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント、またはコンティニュアスリレーションシップマーケティング)では、顧客の具体的なペルソナを描き、継続的にコミュニケーションのチューニングを行い、関係性の最適化を図る必要がある。顧客の取引履歴はCRMにおける最も重要なデータではあるが、基本的には定量分析に適したデータであり、顧客の具体的なペルソナ(顧客像)を描く定性情報は少ない。顧客調査は、取引履歴から読み取れない定性情報を補完するための重要な手法であり、顧客データベース分析と組み合わせることで、より具体的な顧客のペルソナを明らかにし、さらには同じ傾向をもつ顧客に対するセグメンテーションおよびアプローチ仮説構築に役立つ。本稿では、CRMの一環として実施される顧客調査を取り上げ、P2Mのバリューマネジメント体系に照らしながら、顧客調査のプロセスを考察する。